愛する犬と暮らす

この子たちに出逢えてよかった。

再び後悔に襲われて

2011-10-15 23:52:47 | シェラとむぎそれぞれ
☆トリミングルームのコーギーたち 

 昼間、近所のペットショップへ出かけた。ときどき、ルイがケージの中のトイレに敷いたシーツを引っかいてボロボロにしてしまうので、メッシュ・タイプを買うためである。
 シェラのとき、こんなに苦労しただろうか? むぎはどうだったろうか? 思い出そうとしてみるけど、もう10年以上前の記憶はきれいに消えている。少なくともメッシュのついたトイレなど、その当時はなかったと思う。
 
 トイレを探して店内を歩いていると、トリミング・ルームにぶつかった。どこもたいていそうであるようにガラス張りで中の様子がひと目でわかる。数匹の中小型犬がトリマーさんの世話になっている最中だった。
 珍しくコーギーが二頭いる。そういや、むぎをペット美容院でトリミングしてもらったことはなかった。むろん、シェラも……。



☆夏バージョンはぼくの手で 

 毎年、夏が近づくと、シェラの毛を手持ちのハサミと電動バリカンでぼくが刈ってやった。最近はだいぶ上手になったが、最初のころは上の写真のような毛並を下の写真(どちらも2004年7月同日撮影)のように穴ぼこだらけのいわゆる“トラ刈り”になってしまってひどいシーズンを送った年もあった。ひと月足らずで目立たなくはなるが、それは無残な姿にしていた。
 お医者さんによっては、果たして暑さ対策に効果があるのだろうかと疑問視する方もいたが、シェラは明らかに夏バージョンにしてやると楽そうだった。
 
 近年、ぼくがひどい姿にしてしまうので、ちゃんと美容院で刈ってもらおうと家人がいっていたが、連れていく前にぼくがカットしてしまっていた。別に料金を惜しんだわけではなく、家族以外に身体を触られるのを嫌うシェラのストレスが可哀相だったからである。
 まして、預けられて身体を洗われるだけでも大変なストレスになる。挙句にハサミやバリカンで刈られるのである。どんなに怖がるか想像できる。
 だから、シェラが醜くならないようぼくなりに必死にカットをしてきたのでだんだん上手になったともいえる。




☆素直でおとなしかったむぎ 
 
 今日、二頭のコーギーがきれいにトリミングを施されているのを見て、ぼくはむぎのことを思った。むぎもまた、一度も美容院のお世話になったことがない。シャンプーはいつもぼくが風呂場でやっていた。
 足の裏の無駄毛のカットなどもぼくがカットしていた。足の裏の無駄毛カットについては、いやがるシェラをだましだましやっている情景を、むぎはいつも恐るおそる眺めていた。そして、シェラを終えて、「むぎ、おいで。今度はむぎの番だよ」と声をかけると、ビクビクしながらやってきて、ぼくの前でゴロンと身体を横たえた。

 かくのごとく、ほんとうに手のかからない、よくいうことを聞くいい子だった。 
 夏バージョンにするため、美容院に頼もうといいだした家人は、むぎもたまにはプロのトリマーさんの手できれいにしてもらったほうがいいといっていたが、結局、一度も実現しなかった。
 他人の手でやってもらうより、ぼくがシャンプーをしてやったほうがストレスが少なくてすむからと考えたからである。



☆さぞや暑かったろうね 

 ああ、むぎをこうやってきれいにしてやればよかった。
 今日、トリミングのスタジオできれいに整えられているコーギーを目にしたとき、突然、ぼくは激しい後悔に襲われた。こうやってプロにやってもらったら、もっと可愛いコーギーになれたのに……。
 「むぎ、ごめんよ」
 思わず、心の中でつぶやいていた。
 
 だが、クルマに戻りながら考えた。やっぱり、シェラは他人の手にゆだねたくない。むぎもいっときとはいえ、シェラから離され、不本意なトリミングは可哀相だ。シェラを差し置いてむぎだけきれいにしてやるわけにもいかない。
 それよりも、シェラよりも暑さに強いからという理由でむぎに夏バージョンのカットを施さなかった愚を悔やんだ。もう高齢だったむぎもやっぱり短く刈ってやるべきだった。
 ぼくはもう一度、「むぎ、ごめんよ」とつぶやいた。