愛する犬と暮らす

この子たちに出逢えてよかった。

もっと「愛してる」と……

2011-10-12 23:56:34 | シェラの日々


☆いまこそ必要なセレモニー

 むぎがわが家にやってきて一週間経ったころのシェラを思い出す。ショックのあまり自分から家を出て行こうとしたあの夜のシェラの姿を思い出す。ぼくたちに向けられたシェラの暗い瞳の底の絶望の色を思い出す。

 いまはもう、出て行く気力もないほどに老いてしまった。そんなことの無意味さを知る賢さを身につけて……。パピィのルイを怖がるほどに自信を失くしてしまった。だからいまこそ必要なのだろう。シェラに「この世でいちばん愛してるよ」といってやることが。

 昨日、家人から、「シェラを抱いて『愛してるよ。この世でいちばん愛してるんだよ』と何度もいってやって」と強要された。恋人のむぎをうしなってこのかた、ぼくの愛人たるシェラに、家人のいないところでは、何度もやってきた。しかし、いまこそ、この儀式が必要らしい。

 13年前、むぎがやってきて同じくらいの時間が経ったとき、家を出て行こうしたシェラに、やはり傷つき、戸惑う現在(いま)の老いたシェラが重なった。だからもっと「愛している」といってやる必要があるのだ。



☆みんな愛してるんだよ

 ルイは、間違いなくむぎを失って途方に暮れていたぼくたちの空白を埋めてくれた。ルイの存在にぼくたちから笑顔が絶えない。いたずらも楽しませてくれるし、ケージの中のウンコやオシッコの始末にも寛容になれる。
 少しでもルイがおとなしくしていると、家人は「元気がないけど、どうしたのかしら?」と気に病んでいる。
 
 シェラは、ぼくがルイを抱いているのを見ると、スーッと奥の部屋へ消えていく。見たくないものを見てしまったとでもいいたげに……。
 むぎを喪って悲しみの底にあっても、ルイがきてくれて救われたとしても、ぼくたちにとってやっぱりシェラこそが大切な子なのだとわかってほしい。そのためには、抱いて、言葉にして声をかけてやらないとならない。

 みんな愛してる。