☆ほとんど目が見えないわんこ
またひとつ、シェラの老いが進行した。どうやら、目がかなり弱ったようだ。
老いの衰えは突然やってくる。人間もまた同じなのかもしれないが、わんこの場合、人間の7倍の早さで成長し、年老いていくというから老化現象もまた駆け足で進行するのだろう。
ぼくのキャンプ仲間で姫路在住の方がいる。シェラと同じ歳のシバイヌ(♀)のサクラがいて、数年前に本栖湖のキャンプ場ではじめてシェラと会った。シェラが吠えたので、普段は吠えないはずのサクラも吠えることを憶えてしまったと、あとで飼主さんから文句をいわれた。
今年、7月のキャンプで久しぶりにサクラに会った。もう目がほとんど見えなくなって、においだけを頼りにぼくを確認していた。老いて得た穏やかな顔つきがぼくにはとても好ましく見えた。
シェラよりも早く老いの症状が進んでいたが、シェラもまたすぐサクラのようになるのだと悟ることができた。
サクラは昼間もキャンプベッドの上でほとんど寝ていた(写真=下)。たまに下ろしてやると、ぼくのまわりをぐるぐる回るだけだった。目が見えないからどこへもいかれないのだろう。
いよいよ、シェラも目があやしくなっているとすると、散歩のときにそれなりに気をつけてやらなくてはならない。サクラの様子を思い出す度にシェラの近未来を想像して緊張する。
☆一緒に散歩は無理かもしれない
視力の衰えたシェラの散歩に、どんな行動をとるかわからない突貫小僧のルイを連れて歩くのは危険きわまりない。今月末に三回目、最後のワクチンを投与するとルイを散歩に連れ出せる。連れていってやらなくてはならない。
ルイにとってもうれしいだろうし、ぼくも楽しみにしてきた。しかし、いま、不安を感じざるをえない。
いつぞや、シェラが倒れ、意識を失ったときも、ルイをトートバッグに入れて肩から提げていた。ルイがもう少し大きくなり、一緒に歩かせているときだったらもっとぼくは苦労していただろう。
突貫小僧のルイがぼくたちを確実に癒してくれているけれど、ますます身体の自由を失くしていくシェラにとって断じて邪魔な存在にしてはいけない。その鍵を握っているのは飼主であるぼくたちである。
シェラの視力の衰えが、いまはさしあたって散歩の支障が出るまでには至っていないが、目の前の餌を見落としたり、ぼくが近づいたのもわからないときがある。家人は、日々刻々の変化を素早くキャッチしているようだが、いつも一緒にいるわけではないぼくには、かなり進行してから、その異常さがわかった。
ルイの存在がシェラの老いの進行を少しでも緩めてくれることを祈るばかりである。