栃木県はが郡の

陶工のつぶやき

鋳込みの話を少々

2011-01-07 21:27:10 | Weblog
実は私は陶工です。(笑)

たまには陶芸の話もしないと信じてもらえないかもしれないので

少々・・・

今は鋳込みと言う方法で制作をしているのですが

これは粘土と水と邂逅剤(水ガラス)の三種類を組み合わせて

トロトロのチョコレートみたいな状態にして

石膏型に流しこみ形を作る方法です。

粘土を細かく分解していって、10万倍くらいに拡大すると

トランプを10枚くらい重ねたような形をしていて

その表と裏がマイナス

四つの側面がプラスになっています。

通常は磁石のようにマイナスとプラスがくっつきますから

トランプを立てかけたような立体的にくっついた形になって

ある程度の集合体になっています。

これが粘土の形が自由になる理由です。

つまりある程度不安定なくっつき方なんですね。

邂逅剤というのはこの側面のプラスを強くする作用があって

つまり分子間のプラスだけが強くなってお互い反発するようになるんです。

そうするとトランプがバラバラの状態になって液体状になるということです。

水を入れてゆるくした泥は

乾燥収縮が大き過ぎたり、歪みが出たり

あるいは石膏型を逆さにしても、余分な泥が出てこなかったり

非常に使いにくいものになりますので

このような工夫がなされたわけです。

実際に作業をする時は10万分の1まで見ることが出来ないので

テストをしてデータを取って調合をすることになります。

その時に役に立つのが比重計。

粘土の種類にもよりますが

1リットルの泥で1.6キログラムから1.9キログラム程度が使いやすい泥だと思われます。

邂逅剤(水ガラス)も比重を測っておいたほうが正確です。

仕事をしていると、ピンホールが出たり、割れが入ったりすることがあります。

その都度原因を考えてトライアンドエラーを繰り返すことになります。

いつもと同じようにしているのに

なぜ今回は割れが一杯出たのだろうか?

もしかすると邂逅剤の濃度が濃くなっていないか?

石膏型の水分が多くなっていないか?

泥を作ってからまだ時間がたっていないか?

ふるいを通しすぎたか?などなど

こう言うことをやっていると

陶芸は化学だ!と。(笑)

陶芸は爆発だ!・・・ん?