dtnkanother_Buchilog_Jaken

碑文谷アピアに2ヶ月に一度出演する二人楽団でたんの大きい方。スカイツリーが見える町に住む。

13th Floor Elevators

2006年01月14日 19時17分13秒 | 足が不自由だとこんなに不便だ日記
世の中、バリアフリーが叫ばれて既に久しいわけですが、そんな声に呼応するかのように、東京都内の各鉄道、地下鉄駅にはエスカレータやエレベータが順次設置されております。だもんで、バリアフリー化が着々と進んでいるのだなあ、などと呑気に思っておりました。

しかし。エスカレータやエレベータは、どれほど足が不自由なヒトにとって有効であるのかということを、大腿骨顆部骨折により、車椅子の場合と松葉杖の場合の2パターンについて、図らずも我が身を持ってテストをすることになったんであった。

まずエスカレータ。これは当然ながら車椅子のヒトには利用できません。この恩恵を受けるのは松葉杖のみ。ただし、エスカレータの昇降スピードというのは、我が身のバランスが不安定だったときには結構、侮れないんである。特にエスカレータに乗るときなど、しっかりとタイミングを計らないと、エスカレータの動きに足をとられ、フラついて倒れそうになるんである。

階段はそれ自体が動いていないため、移動自体に時間はかかるものの、エスカレータのような危険性は無い。松葉杖にとって、エスカレータは諸刃の剣とも言えるんである。
今まで、エスカレータの前でマゴついているご老人などの真後ろに立ってたときなどは、シツレーながら少しイラついたりもしたもんであるが、これからのわしはそんなことはありません。むしろ、心からのエールを送ることができますです。

車椅子はエスカレータには乗れないものの、車椅子用昇降機が階段に設置されている駅もあります。しかし、これがまた造りが甘い。
フロア~昇降機間を乗り降りする際、スロープ部分の傾斜が急すぎるため、昇降機から降りるときに車椅子が自転車で言うジャックナイフ風に、前につんのめりそうになるんである。
つんのめりそうになると、骨折した脚で車椅子を踏ん張らなければならない状態になり、ヒジョーに危険なんである。



そしてエレベータ。
東京で言えば地下鉄大江戸線など比較的新しくできた路線では、始めからエレベータを含めた設計がされているのでそれほど気にならんのだが、その他の多くの駅においては、エレベータは概ね後付けなんである。

そうした駅は、そもそもエレベータを念頭に考えた造りになってないため、階段、エスカレータでのアクセスが便利なつくりになっている。多くのヒトが便利だと感じる位置に階段が設置されているところにエレベータをつけようとすると、どうしても無理繰りにスペースを捻出せねばならんくなる。そして、それは概ね駅の中でも端っこの方になってしまうんである。

これはどういうことかというと、エレベータを用いることで垂直移動が楽になる反面、エレベータに乗るために水平移動距離が著しく長くなってしまうということなんでる。

松葉杖だと、時間はかかるものの汗かきかき頑張れば階段やエスカレータの上り下りも可能である。一方、これがエレベータなら垂直移動は極めて楽チンである。しかし、駅によってはそのエレベータの設置された位置まで行くために、階段を用いるのと同じくらいの時間と労力を水平移動に費やさねばならない場合があるんである。これではエレベータのバリアフリーへの寄与は限りなくゼロに等しいと言わざるを得んだろう。そして悲しいかな、ウチの最寄り駅は、まさにそうした構造の駅なんであった。

このように、バリアフリーのためにはエレベータやエスカレータをつけりゃいいってもんではないということを痛感したわけである。そんじゃどうすりゃえぇんじゃい、ちうことになるんであるが、車椅子、松葉杖の両方を体験したうえで、わしの考える結論は

「完全バリアフリーってのは、どだい無理!」

てことなんであった。
目の不自由なヒト向けに、道路には点字ブロックが敷いてあるわけであるが、この点字ブロックってのが、車椅子は車輪が取られやすいわ松葉杖はつまづきやすいわで、足の不自由なヒトにとっては障害物となってしまうんである。誰もが便利な状態ってのは、所詮は夢物語。

退院して外を出歩くようになって以降、からだのどこかが不自由になれば行動が制限を受けるのは至極当然であると言う、当たり前と言えば当たり前のことを思った1ヶ月なんであった。


※写真は大江戸線・大門駅。ここのエレベータはまだマシな方。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿