前川前文科事務次官が会見で述べた「出会い系バー」に行っていた理由を揶揄する声があります。
「貧困の実地調査」とかいうアレです。
確かにとってつけたような理由です。
でも、だからこそリアリティがあると思っています。
東大卒、官僚のトップに上り詰めた人物が絞り出した「嘘」にしては「嘘っぽい」ことにこそリアリティがあると。
つまり、嘘をつくならもっと巧みな嘘をつくだろうということです。
ドキュメンタリーをとっていると嘘のような事実に遭遇することはままあります。
それは必ずしもラッキーなことではありません。
事実にもかかわらず、嘘いわゆる「やらせ」に見えてしまうことが少なからずあるからです。
事実は小説より奇なり。
そういうことです。
人生は不可解なものです。
人間もまた不可思議なものです。
大学生の頃、旅先の九州で、高校時代の同級生にバッタリ出会ったことがあります。
そんな不思議もあるんですね。
前川氏の理由を揶揄したり否定したりする人は、そうした人生の機微や深み、不可解さを理解できない残念な人だと思います。
もっとも、そうした不可思議さを逆手に取るという高等テクニックもありますが、素直な僕は、あの理由を事実として受け止めています。