北島シネマサンシャインで、瀬戸内寂聴のドキュメンタリーを観た。
これはホームビデオだと思った。
ダメだと言っているのではない。
褒め言葉として使っている。
家族でなければ撮れないところまでとっている。
初めはその密着感も馴れ馴れしい会話も、ディレクターの過剰な露出もうざったいと思っていた。
冒頭でディレクターが離婚していると言う自己紹介があった。
無意味だと思ったが、これが後で効いてくる。
制作者と被写体の距離感は大事で、近すぎると観客(視聴者)は置いてけぼりにされて白けるものだと思っている。
だが、いつの間にかその思いは払拭されていた。
ホームビデオだと思えたからだ。
距離は近すぎたのではない。
無かったのだ。
17年の密着取材。
カメラは次第に老いて行く姿を冷徹に映し出す。ユーモラスに、チャーミングに、残酷に。
寂聴さんは人生の最期に恋をしていたのではないか。
そうであれば良いと思った。
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