「預言者」のジャック・オディアール監督の新作です。


「君と歩く世界」63点★★★



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南仏アンティーブ。
シャチの調教師スティファニー(マリオン・コティヤール)は
仕事中、事故に遭う。

病院で目覚めた彼女の両脚は
膝から下が失われていた――。

ショックと絶望から引きこもるスティファニーだが

ふと思いつき、ある男に電話をする。
それは彼女が事故の前に出会った
謎の男アリ(マティアス・スーナーツ)だった――。

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仕事中に両足を失ってしまった女性・・・

この悲劇的な設定から
おそらく万人が思い描く「いい話」や「感動!」を
あえて裏切ってくる作品です。

その姿勢は好きだし


なんだけど
あまりに感情に訴える描写が少ないと、
それはそれで物足りないという、微妙なことになっとります(笑)

主人公のアリは
思いやりとか、心のつながりとか
考えもしない雑な男なんですが

彼女に足が無いことをやすやすと越えて
関係を持てるんですよ。

ここらへんの人間関係の描写は
実におもしろい。
雑ゆえに「こだわらない気質」だから?とか
いろいろ考えたくなるし、
足を無くしたヒロインよりも、
彼のほうがクローズアップされるのも意外でいい。

ヒロイン側もまた意外な方面に進み
強面のワル連中の前で
海賊フック船長のごとく、
その障害を“箔”





と、新しい視点とおもしろ要素満載なんですが
なんでだろう、あまり心にグッとこない。

足を無くした女性と、愛を知らない男、
主軸がどちらもくっきりと、ふたつあるゆえの
ジレンマで
伝わるものが分散されたのだろうか。

後半の展開に
「いくらダメ男でもここまでずたぼろにならないと、
大事なものに気づかないのか!

あきれたのもあるけどね。

評価は高い作品なので
試してみる価値はあるかと思います。


★4/6(土)から全国で公開。
「君と歩く世界」公式サイト