ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

コズモポリス

2013-04-12 12:29:05 | か行

巨大なリムジンが象徴的に使われる点が
「ホーリー・モーターズ」と符号していて不思議・・・。


「コズモポリス」32点★★☆


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エリック・パーカー(ロバート・パティンソン)は
28歳にしてすべてを手に入れた大富豪だ。

彼は毎日、巨大な白塗りのリムジンに乗り、
ニューヨークの街を流しながら
情報をやりとりし、指先ひとつで巨万の富を稼いでいる。

ある朝、いつものように
リムジンに乗り込もうとしたエリックだが

その日はいつもと何かが違っていた――。

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デイヴィッド・クローネンバーグ監督の新作は
久々に「?」炸裂、睡魔暴走、の不可解作でした(苦笑)

ジャクソン・ポロックふうの絵の具飛び散らしなバックに
ピコピコミュージックのオープニングは
80年代っぽくていいなと思ったんですけど

途方もない金持ちらしい主人公が
リムジンで暮らし、

いろんな人がリムジンに乗り込んできて、
散文的で内容の乏しい会話をし、
愛人と浮気をしたり、誰かに命を狙われたり、いきなり人を撃ったり……

よくわからん(苦笑)


ポール・ジアマッティ、サマンサ・モートン、
マチュー・アマルリックと役者は「お」という人選なんですけどね。

思うに
どんよりと「現代を覆う病理」を掴もうとして
つかみきれなかったのでしょうか。

主人公がなんだかようわからんけど
「情報」を売り買いして大金を稼いでいるように

現代人が
その仕組み自体をよくわかっていなくても
なんとなくそのなかで生きてるような感覚・・・を描きたかったのかな。

原作はアメリカ文学の巨星ドン・デリーロの同名小説だそうで
読んでみると、そちらから手がかりが掴めるのかもしれませんね。


ちなみに
レオス・カラックスの「ホーリー・モーターズ」との
おもしろい関係性を某映画会社の人から聞きましたよ。

主人公の年上の愛人役で
ジュリエット・ビノシュが出ているんですが
彼女は「ホーリー・モーターズ」でカイリー・ミノーグが演じた
昔の彼女役を打診されてたらしい。
でもそっちを断って、こちらに出演したんじゃないか、と。

確かにあそこにビノシュが出てたら
完全に過去とリンクするもっとベタな感じになってただろうし
本人がいやがったのかなと想像できます。

どちちのオファーが先だったか知りませんが
きっと脚本読んで思ったかもなと、想像するとおかしい。
「え?またリムジン――?」(笑)


★4/13(土)からシューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開。

「コズモポリス」公式サイト
コメント
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