「横道世之介」に続くような
“普通であること”の輝かしさが気持ちいいす。

「舟を編む」78点★★★★




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1995年、某出版社の辞書編集部に
新人


その名も
馬締(まじめ、松田龍平)。

変人だが、言葉を愛する
辞書編集にぴったりの人材だ。


そして編集部は念願だった
新しい辞書作りに取りかかろうとする。

しかし、辞書編集は地味で根気がいる、
下手をすると数十年かかりの大仕事。

ノリの軽い編集者(オダギリジョー)らともに
辞書作りに着手する馬締だったが――?!

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三浦しをん原作、
2012年の本屋大賞第1位の映画化。

まず松田龍平がオーラを完全封印。

「眠った猫」のような役っぷりに驚かされました。

そしてその主人公と対照的な
オダギリジョーの存在が
必然にして不可欠でとてもよい。

コミュニケーション不全な馬締と対照的な彼の軽いノリが、
映画に大きな作用をもたらしています。


ウィキペディアもなかった1995年、
“辞書”の持つ大きな意味と
それが人の手によって
膨大な時間をかけて行われるさまには



「そうか辞書って“人”が書いているんだよな・・・

再認識する不思議なおもしろさがあります。
時代とともにどんどん変化する言葉を
捕まえる難しさも、ひしひしと。

そして一番大きいのは
真面目に根気よく、地道に物事を積み重ねる美徳を目にしている

ありがたく、素敵な高揚ですね。

淡々として軽妙なセリフにも笑いました。
それを転がす芸達者な役者たち
――渡辺美佐子、伊佐山ひろ子さんのセレクトも見事。

猫のトラもいい演技!(笑)

ただ試写後のTwitterにも書いたけど
この手の映画の“凜として清く愛らしい、古民家の似合うヒロイン”が
決まって宮あおい氏というのは
そろそろ苦しい気もする。

もちろん彼女はとてもいいんですけどね。
ネクスト宮が欲しいところではあります。


★4/13(土)から丸の内ピカデリーほか全国で公開。
「舟を編む」公式サイト