白状すると、このトム・ハーディを観て
「マッドマックス」をどうしても観たくなったんですハイ。
「オン・ザ・ハイウェイ」73点★★★★
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アイヴァン・ロック(トムー・ハーディ)は
その夜、仕事を終えて
愛車のBMWに乗り込んだ。
若干の躊躇をしつつ
彼は交差点でいつもとは逆にハンドルを切り
妻と息子たちの待つ自宅から離れ、
ロンドンへと向かう高速道路に乗った。
車にはひっきりなしに電話がかかってくる。
いったい、彼はなんのために、どこに向かっているのか――?
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86分間、夜のハイウェイをひた走る主人公と
同じ時間を過ごすという映画。
全編、トムー・ハーディの一人芝居で、
今までにない、新しい表現が見たい人におすすめです。
ワンシチュエーション劇としては
棺桶に閉じ込められるスペイン映画「リミット」(10年)に通じるけど、
ハイウェイを疾走する車中という
一歩間違えば事故る舞台が生み出す
緊張感の使い方がうまい。
さらに運転しながら
ハンズフリーフォンで次々と着信する電話に出続け
相手との声だけの会話で芝居を成立させるという試みも
斬新。
最初は何の説明もないんだけど
次第に主人公が大手建設会社の現場監督で
仕事でも成功し、愛する家族を持つ“出来る男”だとわかる。
しかし、まあ
その責任感を別のところに燃やしちゃったのかなんなのか
86分間を過ごすことで
男性の思考の経緯やら、
いろんなことがわかってくるんですね。
そして、そんな
男の時間と人生が、窓の後ろへと流れていくさまを
助手席に座っているかのようにボーッと観ているだけで
ハラハラできる、という。
観客の想像力を喚起させ、
狭い箱(BMW)のなかで芝居をやりきった
トム・ハーディ、見事です。
★6/27(土)からYEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開。
「オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分」公式サイト