「アクト・オブ・キリング」の
逆視点からのドキュメンタリー。

ワシにはこっちのほうが見やすくてよかった。

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「ルック・オブ・サイレンス」73点★★★★




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1960年代にインドネシアで密かに行われた大量虐殺。

その加害者たちに
「あなたのやった虐殺を、カメラの前でもう一度やってみませんか」と持ちかけて
それを撮影した驚異のドキュメンタリー「アクト・オブ・キリング」(12年)。

同じジュシュア・オッペンハイマー監督が
今度は虐殺の被害者側の視点から撮ったドキュメンタリーです。

「アクト~」はすごい映画だけど
正直、憤怒



観るのがしんどかったんですが

この映画は「アクト~」より、静かに染みた。


やられた者の痛みと静かな怒りが、
その残虐さと非道を
より強く跳ね返して映し出すんだな、と。


そして虐殺の実行者たちが今も権力を持ち、
被害者たちの隣に住む異常な状況に、改めてゾッとします。

映画の中心となるのは
虐殺で兄を殺された青年アディ。

彼が殺人者たちを訪ね歩いて
話を聞くんですが



そのアプローチ方法が
彼がメガネ技師であるということを利用し
「無料の視力検査をしますよ」というもので
こりゃうまいなあと。


アディ氏は「アクト~」の映像を見て衝撃を受け

自ら、この方法を監督に提案したそう。

しかし、これをやるには相当の危険があることが
見ていてもわかる。

なぜ彼がそこまでするのか?が
見るうちに感じられてくると切ない。

彼は加害者たちの後悔や、懺悔の欠片でもいい、
それに触れることで心のケリをつけたいんでしょう。

しかし、それはなかなか果たされない。

アディ青年の思いの行き先はあるのだろうか――。
「アクト~」を見た方はもちろん
これ単体でも、見ることできますので
おすすめです。

★7/4(土)からシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開。
「ルック・オブ・サイレンス」公式サイト