本作でカンヌ3度目受賞の
ルーマニア出身、クリスティアン・ムンジウ監督!
「エリザのために」72点★★★★
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ルーマニアの医師ロメオ(アンドリアン・ティティエニ)には
イギリス留学を控えた
高校生の娘エリザ(マリア・ドラグジ)がいる。
が、ある朝、通学途中に
エリザは暴漢に襲われてしまう。
大事には至らなかったが
エリザの動揺は大きく、留学のための試験に失敗しそうだ。
あんなことさえなければ、成績優秀で留学できたのに――。
父ロメオは、なんとか娘の夢を叶えようと
奔走するのだが――?!
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もしこれがリーアム・ニーソン兄さん主演とか
ハリウッド映画だったりしたら
父の奔走は相手への復讐とか、アクションになっていくのかもしれない。
しかし、ここでの父の奔走は
コネやツテや口利き、といった方面に動くんですね。
朝っぱらから暴漢に襲われてしまう、という状況から
治安の悪さもよくわかり、
こんな場所から、せめて娘を脱出させたいと願う
父の気持ちもよくわかる。
ルーマニアという国の暗部が
浮き彫りになり
職業柄“誠実”で通っている主人公ロメオをじわじわと包み込み
「こんな社会で、誠実とは何か?」「ルールとは?」を
我々にも問うてくるんです。
結局、ルールって
自分の都合でいかようにでも変化するんだよね、って話で
人間の弱さや、さがを
共感できる日常の範囲内でじっくり描き、魅せてくれました。
しかも
エリザ役のマリア・ドラグジは
ミヒャエル・ハネケ監督の「白いリボン」に出ていたあの少女!
今回も、印象、つええ。
★1/28(土)から新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開。
「エリザのために」公式サイト