ニュースな現場のドキュメンタリーなのに、
なんと静かで美しいのだろう・・・!
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「海は燃えている」75点★★★★
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アフリカ大陸に近い
イタリア最南端の島、ランペドゥーサ島。
人口5500人の小さな島に
アフリカや中東から毎年5万人もの難民たちが海を渡って押し寄せている。
「ローマ環状線、めぐりゆく人生たち」の
ジャンフランコ・ロージ監督が
その島にカメラを向けたドキュメンタリーです。
アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門にノミネートされ
最有力ともされています。
「ローマ~」を知っている方は
「なるほど」と思うかもしれませんが、
普通に
「難民問題を描いたドキュメンタリー」と思って見ると
きっと想像を裏切ると思うんです。
ニュースっぽさやセンセーショナリズムはゼロ。
本当に驚くほど静かな作品なんです。
しかも詩的というか、美しいくらい。
映画のほとんどは島に暮らす
12歳のサムエレ少年の日常を写していて
野山を駆けまわって遊び、おじさんと漁に出ると船酔いしてしまう
屈託のない少年のキラキラとした日々。
少年の家族の食卓や、ふだんの暮らし。
そんなひとつひとつのシーンは、
まるでアキ・カウリスマキ映画の一コマにも見えるほどで
そんな島の人々暮らしを縦糸に
難民を乗せた船からひっきりなしに鳴るSOS信号や
海上で保護され、島のセンターに移され身体検査を受ける
難民の映像が挟まるんです。
その対比、つながり。
その手法が、見事に響く。
そして、ここで起きている問題に、目を向けさせるんですね。
そこでいま起きていることを知らせるために
こんな方法があるんだなと
思わせてくれる映画でした。
来週2/14(火)にアップされる
通販生活web「今週の読み物」で(現在は「息の跡」(2/18公開)小森はるか監督インタビューになっております)
ジャンフランコ・ロージ監督にインタビューをさせていただきました。
この映画の意図するところ
じっくり聞いておりますので
映画と合わせて、ぜひ!
★2/11(土)からBunkamura ル・シネマほか全国順次公開。
「海は燃えている」公式サイト