ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ボブという名の猫 幸せのハイタッチ

2017-08-24 23:57:56 | は行

ボブ様に会っちゃったもんね~(自慢?←イヤなヤツww)


「ボブという名の猫」74点★★★★


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ロンドンで路上演奏(バスキング)をして
生計を立てている青年ジェームズ(ルーク・トレッダウェイ)。

彼は麻薬中毒のホームレスで
依存を断ち切ろうと、更正プログラムを受けているが
街の人々は彼に厳しく
日々、満足な食事にもありつけない。

ようやく支援センターの助けで
アパートをあっせんしてもらったその日、
部屋に茶トラの猫(ボブ本人)が迷い込んでくる。

ケガをしている猫を放っておけなかった彼は
猫の世話をすることに。

その先に、思わぬ運命が
待っていることをジェームズはまだ知らなかった――。


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麻薬中毒だったホームレス青年が
ノラ猫を助けたことで自分が助けられた――という実話を基にした物語。


ジェームズ自身による原作本は
続編合わせて世界で1千万部超のベストセラーとなり
いまやボブは“世界一有名な猫”。

ボブは映画でも自分自身を演じていて
その堂々たる役者ぶりとオーラに感動!ですが

なにより
ボブと出会うことで、人生を踏み出せた若者の物語に
胸打たれる。
「ジェームズえらいな、よくがんばったね」と
声かけてあげたくなる映画なんですね。


ボブと出会う前、
ロンドンの街の人々がホームレスのジェームズに
ものすごく冷たい様子にショックを受けたんですけど
実際、このとおりらしいっす。


そんな状況で、何の支えもないなかで、
どうしたってジェームズは薬物と手を切れない。

でも、迷い込んだ猫を助けたことで
彼の運命が動き出すんです。


ボブを肩に乗せて、路上演奏に行くジェームズは
ものすごく注目されるようなり
いままで、関心を示さなかった人々が
ジェームズを認識してくれるようになった。


「この猫は幸運を呼んでくれたんだ」的な話は
実際よく聞くんですが
でも、それは当然なんだよね。

事実、人は誰かの面倒を見ることで
思いもかけず、自分が立ち直ったりする。

誰かを助けることで
実は自分が助けられている。

誰かがいてくれるだけで、人はがんばれるんだ。

そんな真理が、実話の重みをともなって胸を打つんです。


映画はさらに
彼とガールフレンドの関係から
より「薬物依存」の深い闇もしっかり描いていて、うまい。

プラス、
原作『ボブという名のストリート・キャット』(辰巳出版)もすごくいいので
併せて読むことをおすすめします。

映画には描かれていないけど
ジェームズがもともと“猫スキル”が高い上級者だったこととかがわかって
猫好きとしてより共感でき、納得がいったところが多かった。


そしてボブとジェームズは
この8月にイギリスから一緒に来日。

『AERA』の取材で光栄にも二人に会うことができ
たっぷりお話聞いちゃいました。

掲載は9/4発売号(予定)です。

ぜひ、ボブの美しさと
ジェームズの生き様を誌面で見ていただけるとうれしです。


★8/26(土)から新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国で公開。

「ボブという名の猫 幸せのハイタッチ」公式サイト
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