ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

女神の見えざる手

2017-10-17 23:59:09 | ま行

観た直後に「もう一度観たい!」と思った。
そして観させていただきました(笑)


「女神の見えざる手」81点★★★★


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クライアントの要望に応えるため
政党や議員に働きかけ、
政治、マスコミ、そして世論さえも動かす“ロビイスト”。

エリザベス・スローン(ジェシカ・チャスティン)は
業界でも噂のスゴ腕のロビイストだ。

そんな彼女が、銃擁護派の団体から仕事を依頼される。

だが、銃擁護派を擁護できない彼女は
会社を飛び出し
銃規制法案に賛成の立場を取る陣営に参加することを決める。


だが、相手は巨人。こっちは弱小。
いったい、彼女にはどんな作戦があるのか――?!


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いやあ、これは驚きました!
見終わった後の感想は、まさに“激震”。

こちらのほうが数段「ワンダーウーマンじゃん!」と思ってしまいました(笑)

それと
「運命の逆転」(90年)に似たおもしろさだ!って。


自分にはできない相手をハメる技術や、
裏をかく頭脳を持っている人を
見る楽しさ。

頭をフル回転させて
裏の裏の裏まで戦略を巡らせるヒロインに釘付け。


二転三転する複雑な話を
よく整理してあるし。


ロビイストという業種をよく知らなかったんですが
大統領を選ぶのも、世の中の「空気」を作り出すのも彼らなんですねえ。
こわっ。

そしてヒロインが取り組むテーマが
旬テーマであり、我々異国の一般人にもにもとっつきやすい
「銃規制問題」というところもうまい。

いやでも先に起こったばかりの
ラスベガスの悲劇が、痛みとともに思い出されます……。


ヒロインのエリザベスは「銃擁護派」の依頼を蹴って
弱小な仲間とともに、「銃規制」に向けて動こうとするんです。

どう見ても勝ち目のなさそうな戦いに
どんな作戦を立てるのか?

ドラマ的にはこの時点で
すごく“ヒーロー感”あるはずなんだけど
彼女には、驚くほど、それがない(笑)

例えば
彼女が「銃擁護派」を嫌悪するに至る過程とか、身内の過去とか
なんか描かれそうなんだけど、
そんなもの、まったくすっ飛ばしてくる。


動機は人情とかじゃないんだよ!って感じ(笑)
本音はわかりませんよ?。そこがまた、いい。

とにかく
エリザベスは明らかに仕事に人生を捧げており、
寝ることもせず、恋人も作らず、性欲を“お金で処理”し(苦笑)
ひたすら仕事に邁進する。

人格は崩壊し、人間らしさのかけらもなく(笑)
身内にも容赦なく、全てを「仕掛け」まくる。
ゆえに
関わる人間は、強烈な爪痕を残されることもある。

でもね、そんな“働きマン”に
不思議なほど共感できるし、惹きつけられるんですよ。

彼女の硬質なパワー、その破壊力がたまらない。
これは
「エル ELLE」のユペール様と対決させたい…!とマジで思いました(笑)


★10/20(金)からTOHOシネマズ・シャンテほか全国で公開。

「女神の見えざる手」公式サイト
コメント (3)
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