フランソワ・オゾン監督。
何を繰り出してくるか
読めない人。
「婚約者の友人」69点★★★☆
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1919年、第一次大戦後のドイツ。
アンナ(パウラ・ベーア)は
婚約者のフランツを戦争で失った。
フランツを忘れられないアンナは
友人(ヨハン・ファン・ビューロー)から交際を申し込まれても、
首を立てに振ろうとしない。
そんなある日、
アンナはフランツの墓に
静かに花をたむけている青年に出会う。
彼の名はアドリアン(ピエール・ニネ)。
フランス人で、戦前からフランツの友人だったという彼に
アンナは徐々に親しみを感じていくのだが――?!
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第一次大戦後のドイツを舞台に、
戦争の爪跡と愛を描いた作品。
予想外にクラシカルでした。
戦争に引き裂かれた恋人たち。
敵味方である隣国どうしの、悲しき“心の分断”。
そして、そうした憎しみを超えた“愛”。
それらを捉える筆致はなめらかで
モノクロの映像がしっとりと美しく
純粋さの現れのような
ヒロインの黒目がちな瞳もとても美しかった。
婚約者を戦争で失ったヒロインの前に現れる
「婚約者の友人」。
思い出話を聞きながら
ヒロインの閉ざされた心に、かすかな赤みが差していく。
でも、実は彼は●●●●で……という展開。
さあ、なんでしょう?(笑)
まあ、そこはナイショだけど
これが自分が思っていた予想とはちょっと違ってて、
けっこうひっかかった。
しかも
ヒロイン自身が
“婚約者の友人”になってしまう――という
なんとも「え!」な展開が辛い。でもわりと好き(笑)。
さあ、オゾン監督、どんなトラップを仕掛けたのか?
しかし
「いま、なぜ、こういう作風を?」と
ご本人にとても聞いてみたくなりました。
★10/21(土)からシネスイッチ銀座ほか全国順次公開。
「婚約者の友人」公式サイト