いつまでもいつまでも
見ていたいような。
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「港町」74点★★★★
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想田和弘監督、観察映画第7弾。
しみじみ沁みて、今回かなり好きだ。
前作「牡蠣工場」でおなじみ、岡山県の牛窓を舞台に
そこに暮らす年老いた漁師、魚屋さんなど数人と
猫たちを映す観察ドキュメンタリー。
モノクロームの画面はいつにもまして静かで、テーマも声高でない。
そのささやかさが、観客をより対象に没入させるんだと思う。
漁師と漁に出て、魚が網から外される様子が延々と続き、
魚屋さんが魚を店先に出すまでの過程も延々と続く。
しかし見ていてちっとも飽きることがない、この不思議(笑)。
ここにあるのは
やがて消えていくかもしれない空間と時間。
そのなかでめぐる、人と人との関わり。
それを
たゆとうように、ながめながら、いろいろを考える。
これぞ「想田ブランド」というか
「想田監督の目」を信じてよし!という感じですね。
同じ話を繰り返すおばちゃん=クミさんと、
耳の遠い老漁師=ワイちゃんの会話のもどかしさなどには
なんだか、自分の親と接してるような、既視感もあっておもしろい。
でも、例えばワン・ビン監督の「苦い銭」とかとは違って
そこに暮らしたような感じではないんですよね。
あくまでも、ストレンジャーの視点。
監督自身も、奥さんでプロデューサーの規与子さんも
けっこう会話に入ってきているのに、この距離感は、なんだろう。
で、そののちに見えてくる
明るいクミさんの複雑な家庭の事情に「えっ」となる。
最終的には
やっぱりいろいろあるわなあ。
人生はウロウロと行ったり、来たりだわなあ、いう思いが
じわーんと残るのでした。
「AERA」にて、想田監督にインタビューさせていただきました。
AERAdotに記事、あがっています~。
映画と併せて、ぜひ!
★4/7(土)からシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開。