ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

いろとりどりの親子

2018-11-17 13:58:11 | あ行

 

人はみんな、違うのさ。

 

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「いろとりどりの親子」70点★★★★

 

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「普通」とはちょっと違う子を持つ、親と子のドキュメンタリー。

かつて自身も親子関係に苦悩した

ゲイの作家による、大ベストセラーが基。

 

といってもセクシャリティの問題だけじゃなく

実にさまざまな「違い」があることに驚きます。

 

10年で300以上の親子を取材した

原作者で語り部でもあるアンドリュー・ソロモン氏の案内で

映画は6組の親子を取り上げる。

 

自閉症の息子とのコミュニケーション法を探り

苦悩の日々を続けた両親が

あるきっかけでそれを見出した話や

 

ダウン症の子の可能性を示そうとした両親の努力と

それに応えた息子の話、

 

人生を謳歌する低身長のカップルなど

 

それぞれの親子のとてつもない苦労と困難に思いをはせつつ、

お互いを受け入れ、共存することで人は成り立つのだと

力強く、思わせてくれる。

 

一番、ハッとしたのは

犯罪を犯した息子の家族のエピソードだったなあ。

この視点は珍しいと思った。

 

 

ただね、こういう良作を前に、野暮を承知でいいますと

音楽使いなど、やや「いい話」を盛り上げすぎてる感もあり

ちょっと「善オーラ」がまぶしすぎるなあと。

案内役・ソロモン氏のお宅や暮らしぶりがあまりにリッチなのも

「ふうん」とか。

(心、せま!(苦笑)。実際、彼の父親は大会社の元会長。もともと超セレブらしい。しょうがないよね)

 

「ファミリーを持つことが“幸福”」という印象も

ちょっと型にはまった感があるなあとか

 

そんなふうに思うのは

ワシがひねくれてるからなんでしょうね、はい、ホント、すいません。

 

★11/17(土)から新宿武蔵野館ほか全国順次公開。

「いろとりどりの親子」公式サイト

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おかえり、ブルゴーニュへ

2018-11-17 12:45:26 | あ行

 

ブルゴーニュの畑の四季の

まあ美しいこと!

 

「おかえり、ブルゴーニュへ」70点★★★★

 

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フランス・ブルゴーニュ。

ドメーヌ(ワイン生産者)の長男ジャン(ピオ・マルマイ)が

10年ぶりに実家に戻ってくる。

 

ジャンは10年前、家を飛び出してから音信不通だったが

父が病気だと知り、戻ってきたのだ。

 

ジャンはオーストラリアで自らのワイナリーを立ち上げていた。

 

家業を受け継ぐ妹(アナ・ジラルド)は久々の再会に大喜び。

別のドメーヌの婿養子になった弟(フランソワ・シビル)は

喜びながらも、複雑な感情をぶつける。

 

そんななか、父が他界。

 

兄妹は遺されたブドウ畑や家の相続に頭を悩ませることになる――。

 

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ファミリー・ストーリーとしては軽めでまあ普通だけど、

ワイン知識欲が満たされるのが、たまりません。

 

ブルゴーニュの畑の四季をしっかり追っていて、

さらに収穫、除便率から糖度の計測、醸造まで、

まあソムリエ協会の教本のごとく(笑)、しっかり描かれている。

 

ワインに詳しくなくても

大地に根ざし、自然と対話しながら行われる

「農」という営みの豊かさを

いっぱいに吸い込めると思います。

 

監督は「猫が行方不明」(96年)「スパニッシュ・アパートメント」(01年)でファンの多い

セドリック・クラピッシュ。

この監督はストーリー展開も人物も

どこかもっさりしてるというか

 

プレス資料に書かれた映画評論家・川口敦子さんの

「野暮ったさすれすれの」という表現がピッタリで

 

ワシには、少々「もたっ」と「イラッ」としてしまうところがある(笑)

 

この映画も

畑を売るのか売らないのか、

兄貴がオーストラリアに残した彼女との仲はどうするのか、

いけどもいけども答えは出ず、堂々巡りでイラっとする。

 

まあそこが人間臭いと、人気でもあるのかな。

兄妹、家族って、ややこしくも、なんかいい、ってのはある。

 

 

「ブルゴーニュで会いましょう」(16年)って映画もあったけど

あちらのほうが「ドラマっぽい」エピソードが多かったので

なんか、その話と混ざってしまうのだった(笑)。

 

★11/17(土)からヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開。

「おかえり、ブルゴーニュへ」公式サイト

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