手塚治虫、宮崎駿、高畑勲氏ら
日本の大巨匠たちにもリスペクトされるアニメーション作家の、いま。
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「ユーリー・ノルシュテイン《外套》をつくる」71点★★★★
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「霧の中のハリネズミ」(75年)などで知られる
ロシアを代表するアニメーションの巨匠
ユーリー・ノルシュテイン氏。
彼が30年以上作り続けている
ロシアの文豪ゴーゴリの名作「外套」のアニメーションは
いまだ完成していない。
本作は
「ラピュタ阿佐ヶ谷」の主宰で
ノルシュテイン氏とも懇意である才谷遼氏が
自らカメラを携え、「なぜ、外套は完成しないのか?」を
ロシアに飛んで直撃取材したドキュメンタリーです。
完成途中の《外套》の映像をはさみながら(これが、またすごい!)
77歳のノルシュテインの頭の中をのぞく
貴重な記録です。
なぜ、完成しないのか?の理由は
長年信頼していた撮影監督の死、自身の病気、
製作パートナーである妻の病気、資金の問題――そしてなにより、自身の気力の問題だ、と話す
ノルシュテイン氏。
しかし、ドキュメンタリーが捉える本人は
いかにもロシア叔父さん、的にお酒を飲みながら、意外に饒舌で、朗らか。
文豪たちの著作をひもとき、語られるその言葉は
哲学者との会話のように深淵。
「世の中は悪意に満ちており、おとなしい聖人にはいじわるなのだ」――
まさに「幸福なラザロ」(4/19公開)に通じるような、
巨匠の言葉に感じ入ります。
そして、なんとそのアニメーション制作の秘密も
公開してくれるんです!
まるで着せ替え人形のような、
細かいパーツを組み合わせる技にびっくり!
「みんなが、あなたを待っているんだ!」――酔っ払った才谷監督の切なる言葉に、
この探訪が、何かのきっかけになれば、という願いをヒシヒシと感じました。
★3/23(土)からシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開。
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