ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ピリペンコさんの手づくり潜水艦

2009-09-11 01:32:56 | は行
その人が真剣であればあるほど
おかしくて笑ってしまうことってある。

この映画、試写室でも大ウケでした。

「ピリペンコさんの手づくり潜水艦」81点★★★

評判高い
「山形国際ドキュメンタリー映画祭」で
市民賞(観客賞)を受賞した注目作。

ウクライナののどかな村で
お手製の潜水艦作りに夢と情熱をかける
年金生活者ピリペンコおじさんの
ドキュメンタリー。


「新しいバッテリーが欲しいよう…」と言えば
奥さんに
「私の年金は貸さないよ!」と
とピシャリとやられ


試運転で池に潜れば
天井からボタボタと水が漏れてくる!(爆笑)


そんなピリペンコさんが
村の人たちに見守られながら
ガレージでコツコツ潜水艦を作る姿が
心底あったかくて、心底笑えるんです。


それに
娯楽も何もないけど
中身のタップリ詰まった田舎での暮らしぶりが
実に魅力的。


屋外にテーブルを置いて
隣人たちとウォッカをガンガンあおり、
食事をして、歌って、笑い合ったり。


画面の端々に
必ず犬やネコがちんまり写っていたり。


作り物ではない、本当にスローで豊かな
暮らしが見られます。


映画「めがね」や「プール」が
描きたくて、描ききれなかったものは
きっと、これでしょ。


★10月下旬からシアターイメージフォーラムほか全国順次公開

ちなみに前の席でドクター中松さんが見てました。
まさにピッタリ…(笑)
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クヒオ大佐

2009-09-09 19:24:49 | か行
ぶほっ!と噴くほど、笑っちゃいましたよ。

「クヒオ大佐」70点★★☆

1970年代~90年代の日本で
アメリカ人パイロットを装って
女性を次々にだましたという

バリバリ日本人の
実在詐欺師をモデルにした話。

そんな事件、ホントにあった?
知らなかったなぁ。


映画のほうも
クヒオを演じる堺雅人のつけっ鼻からして
もうウソくささ全開。


クヒオのキャラだけではもたなかったけど
中盤、クヒオにカモられる女(松雪泰子)の
ちょいワルな弟(新井浩文)が
登場してからの展開がいい。


エンディングのクレイジーケンバンドの歌が
またおかしくて(笑)

これだけ笑えればコメディとして上出来です。


ただ113分は長すぎ。

もう少し
うまく縮めたほうがよかったな。


「笑ってるうちに、早く終わってくれ~」と
ずっとやきもきしてました。


★10/10から渋谷シネクイントほか全国で公開

※9/21~25「第2回したまちコメディ映画祭in台東」特別招待作品。

 いま注目の映画祭「したコメ」。
 9/14発売の「週刊朝日」にぽつお番長の「したコメ」記事、載ります。
 どぞヨロシク
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ファッションが教えてくれること

2009-09-07 22:43:12 | は行
「プラダを着た悪魔」のモデルになった
名物編集長のドキュメンタリー

「ファッションが教えてくれること」90点★★★★


これ、めちゃくちゃおもしろい。


雑誌「ヴォーグ」の編集長で
ファッション界に絶大な影響力を持つ
アナ・ウィンターが主人公。


スタッフが集めた洋服に
かたっぱしからダメ出ししたり
莫大な労力とお金をかけた写真を
あっさりボツにしたり

あの映画、全部ホントだったのね(苦笑)


しかも実物のほうがメリル・ストリープより
冷静で美人なぶん、さらに怖い(笑)。


ただ見てると
彼女の原動力や行動規範も納得いくし
一冊の雑誌ができるまでの
過程もよくわかって楽しい。


なにより注目なのは
どんなに彼女に打たれても、立ち上がる
エディター(編集者)、カメラマン、スタッフみんなの
切り替えの上手さと

「いいもの作りたい」という
クリエイティブに対する志の高さ。


特にアナとよく対立する古参スタッフの
ユーモアと、切り替えし、
処世術が素晴らしい。


すべての仕事人の共感を得るはず。

ぽつお番長も
「文句ばっかり言ってないで、やんなきゃな」と

やる気をもらいました。

★11/7から新宿バルト9ほかで公開

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カールじいさんの空飛ぶ家

2009-09-06 16:04:11 | か行
12/5公開でまだ先だけど、まいっか。


ピクサーの
「カールじいさんの空飛ぶ家」63点★★☆

妻に先立たれた頑固じいさんが
家に風船をつけて冒険に出る、という話。


いつもどおり、絵も話も達者で
悪くはないんだけど
今回は“いいハナシ”すぎた。


亡き妻との思い出を守るという設定が
「つみきのいえ」にそっくりだし

なんというか
しんみりさせすぎ。


良質なピクサー作品に「毒」は必要ないけれど
誰にもウケそうな“いい話”には
あまり興味がないなあ。


オモチャ大好き、クルマ大好き、と
趣味に走りまくっていたり(トイストーリーやカーズ)

飲食店とネズミ、というタブーに挑んでみたり(レミーのおいしいレストラン)
“イカしたオタク集団”的な、気分を取り戻して欲しい。


それにしても
「24時間テレビ」のTシャツデザインは
まんまこれですね。




★12/5から全国で公開。
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パリ・オペラ座のすべて

2009-09-05 05:04:28 | は行
この映画、ダイエットにおすすめ。

「パリ・オペラ座のすべて」73点★★★


160分もあるけれど、寝たのは5分程度。
優秀なドキュメンタリーです。

バレエ団のレッスン風景や上演をじっくり写し
ナレーションもインタビューも一切ナシ。

「ただそこにいて、見る」という
観察映画の巨匠・ワイズマンの職人芸に
引き込まれちゃう。

なにより
バレエダンサーたちの呼吸や筋肉の動きが
本当に美しくて
こちらの姿勢もピンと張る。

そして自分の鈍った体を反省。。

ということで
実際、ジム通い復活させて
3日で1.5キロ落としましたぞ =3

あ、たいしたことないですか。

★10/10からBunkamura ル・シネマほかで公開
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