ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ソウル・パワー

2010-04-15 23:53:12 | さ行
これはうまい音楽ドキュメンタリーでしたね。


「ソウル・パワー」74点★★★


まずは初っぱなから
“ゲロッパ”ジェームス・ブラウン(以下JB)の
丸太のような(失礼!)
ムチムチファンキー衣装に
釘付けになりました(笑)


1974年、ザイール(現・コンゴ)で
モハメド・アリの試合といわば抱き合わせで行われた
伝説の音楽祭
「ザイール‘74」。

JBやB.B.キングなど
並みいる黒人ミュージシャンたちが
アフリカの地に「故郷帰り」した超貴重なライブの様子を

「モハメド・アリかけがえのない日々」(1996年)を
手がけた人が発掘してきて
まとめた映画です。


まず、この映画は編集がうまい。

音楽モノにありがちな
延々とステージを流すタイプじゃなく

豪華なラインナップなのに
ほぼ1アーティスト1曲という
めちゃ潔い編集ぶりなんですよ。


これだとダレることもなく
「もうちょっと聴いていたい!」と
かえって盛り上がるんですねえ。


で、ステージの高揚の合間に
舞台裏のアーティストたちの底抜けに明るい会話や
彼らとアリとの交流の様子、

さらにザイールの情景なども交え
歴史的意味や時代性も盛り込んでます。


これは、もとの撮影隊のメンバーの
志が高かったのでしょう。

ザイールの人々や状況を
きっちり撮ったフィルムが残ってたのが幸いです。


そしてその思いをきちんと生かした編集をし、
ドキュメンタリーとして
非常によくできていると思いました。


祖国アフリカを離れて幾世代。
その彼らがアフリカの地でライブをすることの感慨が
いかばかりかなのか
彼らの会話から見て取れました。

モハメド・アリがこんなこと言ってます。

「アフリカはジャングルだと聞かされてたけど
車も走ってるし、ビルもあるし

こんなに平和だ。

毎日殺人が起こってる
ニューヨークのほうが

よっぽどジャングルだ」

ほんと、賢い人だったんですねえ。


★6/12からシネセゾン渋谷ほかで公開。

「ソウル・パワー」公式サイト
コメント (2)
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ぽつったー

2010-04-15 16:47:08 | ぽつったー(ぽつおのつぶやき)
ぽつおのつぶやきtwitter、やってみました。

@potuoです。

今日みた映画をとりあえず
つぶやいていこうかなと思います。

でもまだ
ぜんぜん使い方わからんし

やる、のかな・・・これ・・・←超および腰。
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第9地区、そんなにいい?(笑)

2010-04-14 17:03:06 | ぽつったー(ぽつおのつぶやき)

昨日、週刊朝日の
例の「ツウの一見」取材で

山本政志監督にお会いしたのですが


最近みた映画の話になったとき
第9地区、オレ全然わかんなかった」って!

もう番長、小躍りしちゃいましたよ♪

なんか評論家すじ
みーんな高評価なんですもん。
週刊朝日の星取りも評者全員4つだし
twitterでもすごい騒ぎなんですって?

うわーぜんっぜん、わかんない・・・
番長、センスずれてる?
とすっごく不安に・・・

でも、

ワタシは間違ってなかった!(笑)←単純。

いや~
同じ印象を持つ人がいるってうれしいもんです(涙)

いや、みなさんがどう見たか
ぜひ知りたいです~
コメント (3)
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ブライト・スター いちばん美しい恋の詩

2010-04-11 17:00:58 | は行
今年の上半期NO.1は
おそらくこれじゃないかな、と。

「ブライト・スター」90点★★★★


「ピアノ・レッスン」の
ジェーン・カンピオン監督の最新作ですが
映像も人物描写も
奇跡のように繊細で
美しい!素晴らしい!の一言です。


1818年、ロンドン郊外。

詩人として頭角を現し始めた
ジョン・キーツ(ベン・ウィショー)
隣人の長女ファニー(アビー・コーニッシュ)に出会う。


外出にも必ずお目付役がつくような
この時代にあって

ファニーは得意のお裁縫に生き甲斐を見出し
「詩やロマンでは食べられないけど、洋裁でなら食べていけるわ」
なんて
自分の意見をハッキリと口にする
自立心に溢れる聡明な女性だった。


そんな彼女にキーツは惹かれ、
またファニーもキーツの優しさに惹かれていく。

しかし
ファニーは良家の子女。
貧乏なキーツはなんとか詩で大成し、
彼女と結ばれることを願うが・・・というお話。



実在の詩人ジョン・キーツは
文学作品や映画でよく引用される人気者。
こんなロマンスがあったとは
知りませんでした。


互いにないものを補完しようと惹かれ合う
キーツとファニーの個性の描き分けなど
人物描写もきめ細かいんですが

それを盛り上げる映像センスが
本当にため息ものです。


冒頭わずか数分、
草むらいっぱいに干されたシーツが
風にはためく遠景で
あっさりノックアウトされました。


シーン終わりに多用される
一瞬「ゆらり」と揺れるような
カメラワークには
人の目線のような体温を感じるし


自然光の差し込む窓辺で
読書をしたり、裁縫をする人々の姿は
フェルメール絵画そのまんまの美しさ。


それも
単なるカッコだけの美しさでなく

光乏しいこの時代には
みんな必然として窓辺に集まって用事をしてたんだなと
リアルに理解させてくれるような
意味と説得力を含む映像なんです。


リネンのやわらかさ、
風にふわっとゆれるカーテン
陽光きらめく庭、
一面に咲く野のラベンダー・・・

いままで見たどんな時代劇より
完璧で美しいと思いました。


重要な役者である
ソックス猫(足の先だけが白い黒猫ちゃん)まで
カンペキっす。


★初夏、Bunkamura ルシネマほかで公開。

「ブライト・スター」関連サイト(英語版)
コメント (4)
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パーマネント野ばら

2010-04-10 13:52:41 | は行
夏木マリさんと
いまブームの土佐弁がいいですわ。

「パーマネント野ばら」69点★★☆


高知の港町に
娘を連れて出戻ってきたなおこ(菅野美穂)と
母(夏木マリ)、
そして町の人々をめぐるドラマで

田舎のオバチャンたちの下ネタトーク
夏木マリさんの存在感で笑わせつつ

やがて悲しき秘密が
浮かび上がってくる・・・というもの。


泣き笑いのようななんとも言えない
感傷を持たせる映画で
サイバラ作風を
なかなか忠実に描き出していると思いました。


また
どこか哲学ふうなタイトルが
実は主人公の母がやってる
パーマ屋(しかもほぼパンチパーマ専門!笑)の名前だったりと

意外性が随所にあり
最後のオチに至るまで
スッと一本筋を通しています。


さらに特筆すべきは
女優たちのメイクも衣装も
舞台美術も小道具も

笑っちゃうくらい
リアルにダサい!ところ。

いや、ここまでオシャレじゃないスタイリングをするほうが
難しいだろ実際、というくらい。
とてもいいですね。拍手。


ダメ男にひっかかる女たち、というモチーフは
いささか飽きた感じもしますが

同じサイバラ原作
「女の子ものがたり」より
数十段レベル上です、ハイ。


★5/22から全国で公開。

「パーマネント野ばら」公式サイト
コメント (2)
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