2023年下半期第170回直木賞候補作、書き下ろし、文芸春秋社刊、364頁。
大正末期から戦後間もなくまでの東京・下町を舞台とする良家の嫁と元芸者の女中頭の物語。
ところが、東京大空襲が二人の運命を変え、今度は、三味線の師匠とその女中という関係逆転の成り行き・・・。
彼女らを見守る著者の穏やかな眼差しと筆運びに共感しつつ読んだ。ご一読をお勧めします。(お勧め度:★★)
選者評~三浦しをん氏
「市井に生きる女性の生活と人生に焦点を当てながら、説得力をもって時代のうねりを描くという試みが成功している。独特の肌ざわりと余韻が残るのは、この作者にしか書けない、ちょっと変わった着眼点が随所にあるからだろう。」