2019年上半期第161回直木賞受賞作。文芸春秋社刊、361頁。
江戸時代の大阪・道頓堀。
そこに渦巻く人々の熱気を、人形浄瑠璃の舞台へと昇華させた近松半二(1725~83)という(浄瑠璃)作家の破天荒な生涯をたどる。
全編大阪弁の一人称で語られる濃密な物語に圧倒された。ご一読をお勧めします。(お勧め度:★★)
選者寸評:高村薫氏
「作家と素材の幸運な出会いが生んだ傑作だと思う。浄瑠璃という素材が作者の言語感覚を刺激し、表現を引き出して、大阪弁の一人語りと浄瑠璃の台詞と道頓堀の賑わいの声などが渾然一体となった言語空間に結実しているのは、まさに創作の奇跡というものでもある。」