自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★兼六園の楽しみ方①

2005年05月12日 | ⇒トレンド探査
 金沢の兼六園は意外にも雨で映える庭だと思っています。散歩しながらそのように感じることがよくあります。ついでに私なりの兼六園の楽しみ方をいくつか紹介します。

  大人の時間が流れる「時雨亭」

 兼六園で大人の作法が楽しめるのが茶室「時雨(しぐれ)亭」です。ここで味わう抹茶は心が和みます。茶席の静寂、広がる庭園、洗練された作法、季節の和菓子など「完成された文化」を感じさせます。最近、和装の女性からお辞儀をしてもらったことはありますか…。これだけでも感動ものです。大人の時間が流れます。



 次は、この茶室を出て銅像を眺めましょう。実はこの銅像は世界的に有名です。世界で最もばかばかしいと認められる業績に贈られる「イグ・ノーベル賞」(米ハーバード大学制定)の2003年度授賞者が金沢大学の広瀬幸雄教授です。「金沢市内のブロンズ像がハトに人気のない理由の化学的考察」のテーマで化学賞を受賞。この研究テーマとなった「金沢市内のブロンズ像」が兼六園の日本武尊(やまとたけるのみこと)の銅像なのです。兼六園の周辺にはカラスやハトが多いのに、なぜ日本武尊にはこれらの鳥が止まってないのだろう、なぜカラスやハトのフンの汚れがないのだろうと、広瀬氏は兼六園を散歩しながら考えたそうです。平成の改修工事の際、銅像の成分を調べたところ微量のヒ素が含まれており、この「ヒ素のにおい」を鳥が嫌うという「世界的な発見」になったというわけです。

 日本武尊を見上げてみよう  
  
 兼六園に詳しい下郷稔さん(元兼六園管理事務所長)の話では、この改修の際に「巨大なブロンズ像は兼六園にふさわしくない、園外に移設を検討しては」との意見が文化庁からあったものの、下郷さんたちが「慰霊碑には歴史的な意味があり、台座の石積みにも価値がある」と断ったそうです。結果的に、この銅像に思わぬ価値が生まれ、残してよかったというわけです。兼六園にお立ち寄りの際は、本当にカラスやハトが止まっていないか、検証してみてください。これが兼六園の私流の楽しみ方です・・・。

→12日(木)午後・金沢の天気 
コメント (2)
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