マチカネと聞いてピン!とくるのは、北摂地域をウロウロしているひとくらいだろうか。
かくいうわたしもマチカネよりもマチカネワニという阪大のあたりで見つかったワニの化石のことで知っているくらい。
川西市の本屋をうろうろしていたときに店内のポップを発見「阪大前石橋駅あたりが舞台になっている小説」しかも、阪大前石橋駅あたりでお会いする方が著者や。
そんなわけで、本作は石橋がでてくる。わたしも学生時代に通った町(とはいえ阪大ではない)。モデルになったあたりの30年前の雰囲気を知ってる。本屋はあこや。そして住人ではなかったので知らない景色もある。
北摂地域のちょっとした戦後史。
喫茶店の閉店を前にひとりずつちょっと変わった話を語っていく。
銭湯の中にあった滑り台、マチカネワニの話、反戦運動…話者の人生とちょっとした場所の関わり、連作短編集のようだけど場所が大きな幹となり一遍の小説へ。
待兼山奇譚倶楽部は一冊の本となり、生きた証となる。