「さらば、わが愛 覇王別姫」から15年。
チェン・カイコーが再び京劇の世界に取り込んだ作品。
もうね、「さらば、わが愛」と画面に入力するだけでうるうるしていまうし、頭の中ではレスリーバージョンとサンディ・ラムバージョンの「當愛已成往事」が交互に流れてしまう中毒患者です。
だ・か・ら、比較はしません。てか、比較できませんでした。「花の生涯」は、「花の生涯」で、すばらしい作品でした!好!!好!!!
京劇の偉大なスター<梅蘭芳>の生涯。若い頃を京劇出身の若手ユイ・シャオチュンが演じているのですが、彼と師匠が演じる京劇シーンは圧巻。特に彼は、ほんとーに(力を込めて)美しい!!佳人とはこういう人のことを言うのでしょうか。香りたつような美しさです。
物語は丁寧に梅蘭芳・わん華(本名)と、その周りにいる人を描いていきます。梅蘭芳は、純粋でまっすぐな人。だって、ややこしいことは兄貴や嫁がしてくれてるんだもん。これは籠の中の鳥ということなんだけど…。
だから、レオン・ライ演じる梅蘭芳は、小冬(チャン・ツイイー)に惹かれていくことになります。小冬は男役をする役者、舞台の上で性別を入れ替えた京劇を演じるのです。同じ役者ですから、互いに惹かれるのですが、梅蘭芳は普通の人間として彼女と過ごしたかったんでしょうね。後にキュウ氏が「真実の愛を諦めさせた」とざんげするのですが、あれは「真実の愛」ではなく、子どもの恋だったと梅蘭芳自身も分かっていたように思えます。
後半、歴史の波に翻弄されながらも意志を通す梅蘭芳の姿にも静かな感動を受けます。
2時間半という長さを感じさせない作品でした。