第13回ちりとてちん杯が終わりました。
すでにあげたとおり、大会へ一番にエントリーした葉櫻さんは実行委員会の皆様のご厚意により、本大会に出場なさいました。
予選の日、四十九日だったそうです。
あなたの「宗論」は、前日染雀先生が代わりになさいましたよ。出るのを忘れて先にいっちゃうなんて本当にあわてんぼうですよね。
訃報の後にご本人に向けて書いたメールを貼ります。またいつか一緒に落語会しましょうね。その頃にはあちらでちりとてちん杯パート2ができるかもしれません!
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葉櫻さん
えらい慌てて行ってしまわれましたね。葉櫻さんは案外粗忽だったので(失礼!)、こっちにいろいろ忘れ物をしてはりますよ。あちこちに。
福井県でも観光地に行くためにロッカーに荷物を入れてそのまま北海道に帰ってしまったことはみんなには内緒にしておきます。zoom偲ぶ会で言うたけど。
葉櫻さんとはじめて会ったのは忘れもしません、いつやったかいな(お約束)。忘れられるはずがありません。
福井県福井市での第一回ちりとてちん杯の楽屋でした。それは池田の社会人落語日本一決定戦の一年前でした。
前年にNHK大阪制作の朝ドラ「ちりとてちん」が放送され、そのファンブックの広告でちりとてちん杯の募集を見つけたのはきっと葉櫻さんも一緒だったのでしょう。
葉櫻さんはわたしたちに出会う前にドラマ「ちりとてちん」フリークの方々とブログを通して交流しておられました。その時のブログのHNはミルさん。愛犬の名前だったそうです。
当時、素人落語の面々は落研OBの繋がりや落語教室内だけの活動をしていたひとが大半で、全国規模で応募条件のしばりが{女性であること}だけの大会なんてはじめてでした。
今まで個々で活動していたわたしたちが初めて大海原の中で仲間に出会ったのです。
ここにおったんか!!
その日にはじめて会ったもの同士だったのに、意気投合するのに時間は必要ありませんでした。
特にうるさかったですね、大阪府から来たひと(わたしは兵庫県から来たひと)。
その楽屋にて衝撃の告白をするのです、あなたが。
「北海道からきました」
え~、遠いところから。飛行機で?時間とお金がかかりましたね。
「はじめて高座にあがります」
は?
はあ?
はああああああ?!
聴衆一同絶叫。騒音レベル。
「いままで一回も人前でやったことないんです。習ってもいません。でもやりたくてきました」
そんなひとがいるでしょうか。粗忽もここに極まれり(天国に向かって:葉櫻さん、言い過ぎた。ごめんなさい)。
落語に対する情熱とドラマ「ちりとてちん」への想い。ひとかたならぬものを感じました。が、無謀すぎる!!!
北海道からの出場者ということもあり、葉櫻さんの出番は最後。
もうひとつの会場はキャンセル者がでていたこともあり、先に終わって続々ともうひとつの会場にひとがやってきました。
そこへ葉櫻さんがトリとして高座に上がったのです。
北海道のひと、はじめての高座って言ってたけど大丈夫かなあ。
ちょっとだけ心配していました。
その心配もなんのその。めっちゃくちゃ面白かった!
ネタは「湯屋番」(6分)でした。ここに先日河鹿さんからFBに書かれたコメントを貼ります。
初めて会ったのは、第一回めのちりとてちん杯女性落語大会の予選の待機している部屋でした。
上下もわからず、何もわからず、とにかく落語が好きなんですと。
それで北海道から飛行機で参加
その時の高座はもちろん上下無茶苦茶なのに露の都師匠始め会場全体が笑いの渦の中でした。
(尼乃家河鹿さん、10/16FBへのコメント)
会場はまさに興奮に包まれました。
はじめて出会う「落語」で繋がった仲間たち(もうその時点で仲間やった)に興奮して、そして、葉櫻さんのあの高座。
いまも鮮明にその興奮を覚えています。会場の景色を覚えています。葉櫻さんの高座の姿を覚えています。マッサージチェアで揉まれているところね。
ただ、都師匠が「おもしろいねん、おもしろいねんけど、これ通したらあかんと思うねん」と講評されたことを葉櫻さんは怒ってましたww
葉櫻さん、あれはあれで最高の誉め言葉ですよ!!
ドラマ「ちりとてちん」では、「その道中の陽気なこと」というのがキーフレーズでした。
草若師匠の中のひとが旅立たれたときも多くのファンがつぶやきました。
葉櫻さんにもその言葉を送ります。
その道中の陽気なことぉ!!
今までありがとうございました。
満福亭ゆ乃月