あきない世傳 金と銀 源流篇 (時代小説文庫) | |
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角川春樹事務所 |
待ちに待った高田郁先生の新シリーズです。
今度の舞台は<大坂>そう『銀二貫』に続く上方文化を背景にした物語。江戸時代は江戸だけではない!!この分野は、高田郁先生と朝井まかて先生に今後も期待です。
大坂が舞台でありながら冒頭は今の西宮は津門(つと)からはじめります。今の会社が移転する前は津門にオフィスを構え何年も通っていた身からすると馴染みのある地名。あのあたりの江戸時代の頃なんて想像もしていませんでしたが、学生時代西宮神社の傀儡(人形からくり)について調べたことが。作中にもでてきます。なんせ、情報量が多い。今とも江戸とも違う文化のことを楽しみながら知ることができる一冊。
声を大にして言いたい。
上方芸能愛好者は読むべし。
あ、いや、読まんでも知ってるよ、て方もいらっしゃるかもですが、これでもかってくらい人形浄瑠璃もでてきますから。
物語は、津門で学者の娘として生まれ育った幸が飢饉による家の没落とともに大坂に奉公に出ることになります。奉公に入った先は呉服商。
同じ年頃の丁稚たちが読み書きを教えてもらっているのを遠目に見る幸。もっと学びたかった。
その想いを知った三男坊が番頭にとりなして幸も読み書きをそっと聞くことができるようになるのです。
-知恵は生きる力になる
-物を知ることは生きる力になるんだす
幸のまっすぐな思い、しかし、商家の中では問題がくすぶっており…。
商家の暮らしぶりが事細かく描かれており、落語を聞いて想像していたことが補完できました。ああネタバレになるから書かないけど強く図太い可憐な方もでてこられます。
次巻が待ち遠しい…。