昼公演で切腹と城の明け渡しを見守ってシャバにでて、ちりとてちんのお弁当付き鑑賞会のための吉田玉助さんによる解説に合流。
お楽しみのお弁当を持って再び場内に入場しました。
【夜公演】
祇園祭礼信仰記 (ぎおんさいれいしんこうき)
金閣寺の段
爪先鼠の段
近頃河原の達引 (ちかごろかわらのたてひき)
四条河原の段
堀川猿廻しの段
「祇園祭礼信仰記」7年前に鑑賞したときの感想読んでもさほど自分の知識が深まっているとは思えない今日この頃。ええんです。文楽はエンターテイメントだから。先ほどまで、我々に文楽人形について語ってくださっていた玉助さんが舞台に。
金閣寺に有名な画家、雪舟の孫娘夫婦が幽閉されている。夫婦っていっても雪姫は若い娘で悪もんである松永大善はエロ攻撃。
ところで雪舟の孫になってるけど、雪舟は禅僧であったので子どもはいない。父親は狩野雪村ってことになってるけど、雪村も禅僧…。
実在の人物を使っての二次創作、作者の妄想全開。
桜の木の下でしばられた雪姫は祖父がつま先でなみだを集め鼠を描いたように、つま先で桜の花びらをつかって鼠を描く。
一般によく知られている雪舟のエピソードは江戸時代の創作らしく、文楽はそのあたりを膨らませて書いたのでしょう。
なんのかんのとあって最後の大立ち回りは玉助さん扱う筑前守久吉は桜の木をつたって金閣寺を登っていくスペクタクル。
桜咲き乱れる舞台のあつらえに大きく動く舞台と見ごたえたっぷり。
ババ様が愛宕山状態になるのでそれもお楽しみに。
ちりとてちんの豪華弁当を休憩時間の25分の間に。
和菓子が二個も!一個はお持ち帰り。お店でいつも食べている味にプラスしての満腹な内容でした。
「近頃河原の達引」
落語「堀川」の猿回しはここからの発想。
前半になぜおしゅんと伝兵衛が心中せねばならないのかという喧嘩の場面があります。ここにかかるのは御簾内より上方唄「ぐち」。しっとりとした曲をBGMに…殺傷沙汰。
後半からは遊女おしゅんの母と兄の住む家へと場面が変わります。ここからでも話は分かるので、ぜひ幕見でも聞いていただきたい。本当に台本がよくできているのです。
まずは、おしゅんの母が手習いで教える三味線、弟子との二挺弾き。舞台に二挺、床の二挺がシンクロ。
貧しい暮らし向きながら根っから明るい猿回しの兄、与次郎。最初の出番は一瞬ながら観客に強烈な印象を残すお猿さんに場内くすくす。
おしゅんは心中を覚悟をして家に帰ってきているけれども、母と与次郎は止めたい。文字の読めない二人はおしゅんに伝兵衛宛への退き状を書かせて満足して寝ているところに、くだんの伝兵衛がやってきます。
別れさせたい二人に告げられるのは自分のために起こった事件で罪を犯してしまった恋人と死にたいというものでした。
妹の覚悟を知った与次郎は最後に婚礼の猿回し(最初のお猿さんとその子猿)をしてみせて、二人を送りだします。
与次郎明るさ、お猿さんたちの愛らしさが際立てば際立つほど切なさが増します。
中西らつ子さんから頂いた解説によると、このあと疑いが晴れ伝兵衛は無罪放免になるとか。国会図書館のウェブで床本閲覧できます。
ところで与次郎の喰いっぷりにくぎ付けになっていまして、おおきな白ご飯が消えた瞬間を目撃できて満足。