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疾走する異端・樋渡啓祐武雄市長インタビュー

2013年02月22日 | 地域・まちづくり
石川秀樹氏のFacebook に掲載された、佐賀県武雄市 樋渡啓祐市長のインタビューを転載します。
必読です!


★疾走する異端・樋渡啓祐武雄市長インタビュー
2012/11/29 佐賀県武雄市役所にて


樋渡さんは日本で最も知名度の低い佐賀県の、その中でも人口5万人の小規模市、武雄市の市長である。しかし今、樋渡さん詣でが引きも切らない。
インタビュー当時も「市立図書館のTSUTAYAへの業務委託」「自治体発のネット通販FB良品の全国展開」「市HPのFacebookページへの全面移管」
「市営ベンチャーキャピタル構想」などで、自治体関係者の話題を集めていた。
今もまた「市職員の年俸制導入」「物価と職員給与のリンク制」「全国学力テストの学校別成績公表」「体罰で小中学校全調査、そして公表へ」など、
物議をかもす施策を次々と打ち出している。そして「FB良品」の国際進出をめざして今ごろはシンガポールで商談会に参加していることでしょう。
これらのニュースはすべてFacebookで事前に告知している。Facebook発→マスメディアを動かすというのが樋渡さんの戦略だ。昨年の11月末、武雄市役
所で樋渡啓祐市長にFacebookの話題を中心にインタビューした。

■   □   ■

―武雄市が力を入れている「F&B良品」が、東京ビッグサイトで開かれた「東京ビジネスサミット2012」で特別賞を受賞しました。おめでとうござ
 います。市長は担当職員の福田史子さんの名前を入れてFacebookに書き込みをされていました。いつも市の職員の名前を出すんですか?

樋渡啓祐市長 公務員は匿名でなくちゃいけないってのは変なタブーで、個人が集合して組織というのはできている以上は、その中心になっている人の
 名をちゃんと出してやるというのが基本的なスタンスですよね。

―職員の名が出ている方が反響がいいような気がします。

樋渡 そうですね、みんなそれを求めていると思いますよ。武雄市役所とか僕とかいうのも悪くはないけど、次の興味はマクロを構成しているミクロの人
 はどうだろうって、なりますもんね。

―そういう意味ではFacebookというのは独壇場ですね。

樋渡 元々「非匿名」だしね、そりぁそうだと思いますね。僕らがやっていることに対してはすごく親和性が高いと思います。

■Facebookには思っているままを書いている

―きのう佐賀新聞に「武雄市内に福祉避難所がない」ということが報じられ、それを読んだ市長は即座にFacebookに「これはいかん、すべての責任は私にある。
 今年度内に、福祉避難所を複数設置することにしました」と書いていました。この率直さには驚きました。「いいね!」も1000近くついていました。

樋渡 「いいね!」の数を増やそうというのじゃなくて、自分の思っていることをそのまま書いているだけなんでね。よく「これ狙ったでしょう」とかいわれ
 ますが、全然。一部の人にはそう見えるかもしれないけど、そんなことをすると大部分の人は白けますよ。自分の思っていることをその時の感情で書くと
 いうのが大事だと思っているんで。

―Facebookを書くときに、「職員に向かって」という意識で書くことはないですか?

樋渡 ないです。僕の頭の中では職員も市民もないですね。政治家なんでね、もちろんここの市役所を率いているという思いがないわけじゃないんだけど、それ
 よりも政治家、ステイツマンなんで自分の主義主張を述べるということにつきます。あんまり誰それを意識して書くということはないですよ。
 それをやった瞬間、白けるんですよ、それ以外の人たちは。「俺たちはかやの外かよ」って。市民も職員も分けへだてなく、おもしろいって思ったことを書く。

―外から見ていると、今度の記事にしてもかなり踏み込んで書いています。

樋渡 それもあえて踏み込んでいるってことじゃなくて、思っていることを素直に書く。僕の中でタブーってないんですよ。ここまで、とかいうのが。
 ここ以上、ここ以下というのがないから。いや、だから批判もいっぱいいただきます。まあ、仕方ないですよね。そういう風にコントロールしていないから。

■僕は反権力、反権威

―それは、昔からですか?

樋渡 昔からですね。僕は反権力ですから。反権力、反権威ですね。まず疑ってかかりますもんね。だからそうはいっても矛盾なんですよ。自分は権力もって
 いる立場にあるからね。だけど反権力とか反権威であることは、いや、権威は尊重しますよ、尊重はするけども、それまでには疑いますよね、やっぱ。
 「本当に権威なの?」とかね。「これは権力を支持してるだけじゃないのか?」って。だから権力や権威をかさに着る人に対しても徹底的に攻撃しますもんね。

―リコール騒ぎというのもそんな感じ?

樋渡 そうですね、完全に感情ですよね、お互い「感情」。もちろん僕の場合、「経営」ってのもありましたけど。(大赤字の市立)病院を経営しなければなら
 ないってのがあったんで、僕は経営はできないから、それでは民間にお任せしますって。

■F&B良品は年度内に20自治体に広がりそう

―(職員さんに出していただいたコーヒーがうまかったので)武雄温泉街を歩いていたらコーヒー屋さんで「F&B良品に出店しています」というポスターを見か
 けました。

樋渡 僕らはそういう人たちを応援するという役割があるし、地域の所得向上というのをしなければ地域として成り立っていかないからね。

―2011年11月7日からだから、ちょうど1年たちました。

樋渡 現在、全国の6自治体が参加、年度内に20自治体くらいいきますね。

―牧之原市(静岡県)もその20自治体の中に入っていますか。

樋渡 (いずれ)入っていただくことになると思いますが、それよりも早いところが出てきてますもんね、石垣市(沖縄県)とか南栃市(富山県)とか。
 12月中にやるというところがあります。牧之原市は期待していますよ、あそこは市長(西原茂樹市長)がいいし、かつ産品見ているとすごくいいのがある。
 そういう意味では静岡にはすごく期待しています。

―静岡は一番やらないんですよ。

樋渡 恵まれているからですよ、ある意味。

■Facebookを使って次の一手は?

―日本Facebook学会が11月16日から3日間、武雄市で開かれました。そこで地方自治体にとっての重大発表があると聞いていましたが。

樋渡 ひとつは「F&B良品」のポータルサイトを作って、Facebookをやってない人も入れるようにすること。もうひとつは、(市民がわざわざ)情報公開請求
 しなくて済むようにうちはありとあらゆるものを情報公開します、と。そこにEvernoteとかGoogleを活用します。Evernoteを使うと後で編集しやすいから
 自由にやってほしい。Evernoteにも落としGoogleにも落として、使いやすいようにします。もちろん検索もできるようにします。

―いきなりですけど、Facebookを使って何か「次の一手」みたいなものはありますか?

樋渡 いや、ないです、全然。思いついたときやります。そうそう、基本、僕はやっていることもいっていることも反射神経なんで。(ここで市長に電話が
 入り中断) えーと、なんでしたっけ。次の一手? そのとき考えます。

―こんなことばかり聞かれるでしょう。

樋渡 そう、でも同じこと答えます。僕は反射神経の人間なんで。だから思いついたら、とりあえずやってみる。で、ブログとかFacebookとかツイッターで
 その感触を試す。それがマーケティングなんですね。(市立図書館の)Tポイント導入だってマーケティングですよ。「ああそうか、これだけ反応あるんだ
 よね」とか。
(※武雄市は市立図書館に指定管理者制度を導入し、TUTAYAを運営するCCC(株)に図書館業務を全面委託する。図書館ではTポイントも使えるようにするが、
 この点に関しては反対意見も少なくなかった。なお、図書館にはスターバックスコーヒーも入ることになっている)

―武雄市のホームページを昨年8月、Facebookページに切り替えました。先日、ページへのいいね!、つまり「ファンが2万人を超えた」とありましたが、その
 うち武雄市民はどれくらいいるのでしょう。

樋渡 (市民は)5%くらいじゃないですか。1000人くらいでしょう。うちは人口5万人くらいなんで、いろんな人たちが(直接)いろんなことをいいますよ。
 (市長と市 民の距離が)元々すごく近いんですよ。僕になってからよけいに近くなってるもんね。道を走ってても声掛けてきますよ。
 (※市長は市民ランナーでもある)

■図書館革命「見えてきたら賛同はもっと広がる」

―図書館を見てきたんですが、素晴らしい設計ですね。

樋渡 できてから12年です。14、5億円かかっているんじゃないですか。(隣の超豪華な市民会館も)競輪事業で潤っていた古きよき時代に建った。
 しかし維持費が大変。 図書館なんか、来ている人は常連ばかりですよ。だから「図書館革命」なんです。一般の人たちに開放するというのと、司書さん
 たちをも開放する。図書の整理係に甘んじていますから。カンファレンスだとかレコメンド(図書の推奨)とかを対人でやる、それが本来の司書の役割
 ですよね。

―でも、図書館革命を批判している人は市長の意図を逆にとっていますね。

樋渡 仕方ないですよ、それは。見えないもんだから。CCC(という業界異端児)と僕とという組み合わせだから、すごく反発があるというのはよくわかり
 ますよ。でも、だって例がないから。実際出て来てみると、その批判というのはだいぶ減るんじゃないですかね。
 それは時間の問題だと思ってます。恋愛と図書館は時間ですよ。カエサルがいった通りでね、人は見えるものでしか判断できないですよ。
 ある意味、図書館のロールモデルになると思いますよ。Tポイントもそうだし。
今の「自由」というのは不自由な状態からの自由じゃないんですね。マルクスが生きていた時代の自由と違っていて、今の時代の自由というのは「選択肢」
 の問題なんですよ。こういう田舎っていうのは、元々選択肢がないというのが田舎ということであって、選択肢がないというのが不自由ということなんだと。
 だから、選択肢を提示するというのがすごく大事だと僕は思っています。田舎というのは画一的になりがちなんです。
 それがずっと延長線上をいくと「タブー」になっちゃう。そういうの大っ嫌いなんですよ。

■武雄市で全国のロールモデルを作る

―田舎に限らず、ほとんどの自治体がそうじゃないですか。

樋渡 だから僕らがたった人口5万の辺ぴなところでそれを「できる」「やれる」と提示できれば、ほかの自治体は言い訳できなくなる。
 今までは「いや、前例がない」とか「ほかに例がない」とかいうじゃないですか。でも、武雄がやると言い訳きかなくなる。
 そこが東京都とか大阪府と違うとこなんですよ、僕らの位置づけというのは。東京、大阪がやっても「あれは特別だ」となるけれど、武雄は全国自治体
 1700分の1だから。首長さんたちに言い訳させないようにしようと思います。

―そういえば、市役所の玄関に全国からの視察の掲示が出ていますよね。どれくらい理解して帰っているんでしょう?

樋渡 インパクトは理解していますよ、政治家だから。それが大事なんですよ。『よくわかんないけども、これはスゲェーぞ』というので十分。
 それでどうなっていくか というと、今度は(自治体の)職員が来るんですよ。だから議員には感性で訴える。シビレさせる。
 今度、行政の人が来たらその人たちには理性で訴えかける。そこはマーケティングを分けるんですよ。議員の場合は発信力あるから、Facebookやツイッターに
 書いてくれというんです。そうすると横に広がっていくから。
 ここに物見遊山で来る人はいません。そんな者が来たら僕に怒られますから。「帰れ!」っていいましたよ、何度も。だからみんな真剣勝負。
 反論する人もいますよ。そういうのは大歓迎。自分のやっていることが全部正しいなんて思っていないから。間違っていたら直せばいい。
 最適解を求め続けていれば、将来的にもいい解答が生まれるというのが僕のスタンスです。だから「将来どうするんですか?」といわれても僕には答える術
 がなくて、3年後、5年ごといっても外れますもんね。
 そんなとこに労力を使うよりは、今起こりうること、起こっていることにきちんと誠実に応えるということだと思います。

■武雄市がベンチャーキャピタルに乗り出す

―起業家を武雄市に呼び込むことに執念を燃やしていますね。起業家を市の職員にする案まで考えているとか。

 樋渡 あれはもうダメですね。副市長が反対して、かつ総務省が反対したから。「(公務員の)兼業禁止の規定を超えられないでしょう」っていわれて、
 それはそうだと思いました。その代わりにうちの職員が案を出してきたのは、「市でベンチャーキャピタルをつくりましょう」と。
 単にベンチャーキャピタルといってもおもしろくないから、100億円くらい積み増ししようという話をしてるんですよ、今。しかも審査員が、ただ単に
 審査するんでなくて、OKを出した審査員にベネフィット(利益)を与えようと。出資した会社が大きな利益を出した。あるいは上場したとするじゃないですか、
 そのときインセンティブ(報奨)を審査した人たちに与えよう。
 会社が儲かればもうかるほど、その人たちのところに(利益が)来る、というのを付けようと思っています。

―審査員はどういう人たちがなるんですか。

樋渡 これから考えます。企業家とか僕が信頼する大学の先生とか、シリコンバレーの人とかにします。そういう人たちは卵の状態からもってくるから
 いいんですよ。その人たちは、お金というのはどうでもよくて、「育てたい」というマインドがあるんですよ。そこで損を出したとしたら市がファイナ
 ンスする。これ、マスコミが注目するに決まっていますよ。

■メディアの注目を集める劇場化、「それは意識してやっている」

―市長がやっていることは必ずマスコミに書かせることを意識していますね。

樋渡 もちろんもちろん。書いてもらえるように時期も内容も考えます。場合によっては見出しまで考えますよ。記者会見でも懇談のときでも、そのまんま
 記事になるようにしゃべる。

―僕はFacebookというのは広がりにくいメディアだと思うんです。だから、そこを広げるために市長はマスメディアを使っているのかな、と思ったんです。
 違いますか?

樋渡 そうそう。メディアが僕のFacebookを追いかけてます。

―それは孫正義さんのツイッターもそうですね。

樋渡 橋下(徹)さんもそうかもしれないですね。僕はツイッターよりFacebookの方が好きなんで、そこに書くわけだけど、書いた瞬間にメディアから
 問い合わせが来たりしますもん。

―直接、間接に記者と話し合いをしているようなものですね。

樋渡 そうそう。自分は「メディアだ」と思っているから。だから、その選択肢も増やしているんですよ。ここだと佐賀新聞しかない。
 でもFacebookなら誰でも見られるし、(メディア側の)編集権をなくすことができるじゃないですか。編集権を有するのがメディアだから、テレビでも
 新聞でもラジオでも。その編集権を今度、自分でもてるわけですよ、発信もできるしね。編集して発信するというのがメディアですよね。それを信じる
 かどうかは消費者というか、市民が判断してくれればいい。

■名前が「肩書き」になる時代がやっと到来した

―みながそれをやり出せばすごい市長が生まれるし、普通の人がFacebookをやり本音で書けるようになれば世界は変わる、と僕は思っているんですが。

樋渡 さあ、それはどうですか。変わらないんじゃないですか。でも、さらけ出すという点では今までの媒体と違うんでね、
 緊張感というか親しみ感というのは今までのメディアではなかったものですよね。発見もあるし。『ああ、あの人がいってるのか』みたいな。
 だから、自分が肩書きになる時代がやっと来たなと思うんですよね。今までは例えば「電通にいます」とか、「朝日新聞社にいます」とか、「財務省にいます」
 「総務 省にいます」というのが肩書き、ステイタスだったじゃないてすか。そんなのってつまんないですよね。
 それよりも自分の名前が肩書きになるといったほうが、よっぽどおもしろいですもんね。だから職員にもいってますが「自分の名前が肩書きになるように
 がんばれ」といってます。例えば「○○△△のいる武雄市役所になれ」って。「その方が絶対に楽しいぞ」というのが、やっとわかるようになってきたですね。

―市長在職6年半ですか。そしてFacebookをやり始めて約2年。

樋渡 本格的に使いだして1年ですね。

―市長は有名だからFacebookを使いやすいのだと思っていましたが、使い始めのころのウォールを見てみると、ちゃんと苦労されてますね(笑)。

樋渡 反応、全然なかったです。「選挙にきく」って日経BBかなんかに書いていたから始めたのに、全然反応なかった。『なんじゃ、これ?』でしたね。
 (苦労は)ツイッターでもそうですよ。「有名」という意識はないですよ、全く。

―Facebookを市長のような手法で使うのは難しい。

樋渡 それはどう使ってもいいわけですよ。日記風に書く人もいるし、それは全然かまわない。それこそ選択肢ですよ。僕みたいに使うのも選択肢のひとつ。Facebookについて僕は誰も参考にしてないし、(参考になる人が)いないから。

■“樋渡流”にFacebook本社ものけぞった

―話は変わりますが、今年8月にFacebookの本社に行かれましたね。

樋渡 ええ、行きました。呼ばれたから。「来てください」といわれたから行きましたけど。FacebookもGoogleも、ちょうど時期が合ったからいいなと思って。

―行ってみて、どうでした?

樋渡 思った通りでしたね。こういう集団だからFacebookとかGoogleってのが生れてくるんだろうなってだけですね。行ったから自分が変わったとかいうことはないです。むしろ僕らの発言に向こうが驚いていた。Facebookの本社はのけぞつてましたね。例えば、市のホームページを全部Facebookページにしたとか、うち(武雄市)のイントラ(組織内ネット)をFacebookにして非公開のグループにしてるのにびっくりしてましたから。なおかつFacebookで通販やるに至っては、ほんとにのけぞっていました。
日程が合わなくてマーク・ザッカーバーグには会えなかったですが、後で広報が上げたら、彼も驚いていたそうです。

―世界中にどこにもないということですね。

樋渡 そうそう。だから、ビッグワンでなく、オンリーワンを評価するアメリカの先取り精神、っていうのは感じましたね。アメリカというのは、問題はいっぱいあるけれども、イノベーションが生まれるというのはそこにある。いいものはいい、って。日本の場合は、「これを他の人はどう思ってる?」ってなるじゃないですか。あんなところにイノベーションなんか生まれるわけがないし、僕みたいな政治家、登場しませんよ。
話は変わるけど、僕が存在しているってことに関していうと、それは非常に不思議ですよ。普通、落ちますよ、このタイプは。まず間違いなく落ちる。だってもう、議会で暴言吐いて名誉棄損を受けてるし、住民訴訟で21億円の損害賠償請求を受けてるしね。普通は阿久根市長と同じで、普通の市民だったらすごい拒否感をもちますよね。もってる市民もいますけど、だけどみんな笑ってますもんね。「あー、また始まった」みたいな(笑)。
人気はやはりあるんでしょうね。だから図書館で市民アンケートをとったら、7割が賛成。新聞記者がいってましたけど「この7割というのが樋渡さんの支持ですね」と。図書館イコール樋渡だとみな思っているわけだから。

―7割というのはすごい支持率です。

樋渡 体感温度でいえばもっとありますよ、今。ただ、僕の場合は余計なこといいますからね。あと、ものすごく言葉足らずだったり。そうそう、そりぁ、誤解はいくらでも……。意図している部分もあるし、『おーっ、こう来たよね』と意図しないものもある。絶えずやっぱ劇場化ですよね。

―劇場をつくることを意識していますか?

樋渡 それは、してますね。劇場化というのは一石十鳥くらいの効果があるんですよ。メディアが反応する、あるいは市民が感応する、職員が揺さぶられる、で、自分の意識もわかりやすくなりますもん。副次効果として反応を得やすくなるとか。だから劇場化は絶えず意識してます。

―自分自身、引けなくなりますしね。

樋渡 ほんとほんと。図書館だって病院だって(リコール騒ぎの要因となった市立病院の民間移管問題)みんなそうですよ。こんだけ矢のように批判されると嫌にもなりますよ。『でも、いっちゃったしな。もうルビコン河渡っちゃったし』ということが、何度もありますよ。

■リアルが一番、声掛けしてくれる市民がいることが大事

―10月24日にシニアFacebook講習会がありましたね。市長が講演した。反響はどうでした?

樋渡 100人くらいだったですかね。でも、あれは動員。平日ですしね、兼業農家が多いから集まりっこないですよ。

―ということは、武雄市民自体にFacebookが普及しているということではなさそうですね。

樋渡 全然。普及しないと思いますよ、僕は。しなくていいと思ってますから。だって、リアルが原則ですもん。リアルをないがしろにしてこういうデジタルの世界が、というのは異様な世界でね。やっぱりリアルが大事ですよ。もうあくまでFacebookやソーシャルネットワークというのはリアルの補完ですよ、市民にとっては。
まあ、そうはいっても、今までのIC寺子屋に900人以上が受講して平均年齢が65歳を越していてね、でなおかつ今、順番待ちってことはやはり関心が生れている。その主な人の意見を聞いてみたら、「Facebookページを見たい」とか「意見をいいたい」とか、あるいは僕に「文句をいいたい」とかという人たちがいるんで、ある意味、ちょうど過渡期かもしれないですね。

―市民のFacebook活用、あながち無理ではないじゃないですか。

樋渡 でも僕は市民にFacebookを使えとかっての、全然期待していないですけど。だけどその辺歩いているとみんな声を掛けてくれるから、リアルで。それが一番ですもんね。

■現場で働ける「市長」が自分にとっての最適解

―衆院選が近付いていますが、応援に行かれないですか。

樋渡 行きません。僕は好き嫌いが激しいし、行ったら落ちたなんてことになると困るから。支持政党はないですよ。自分党。この指止まれです。どことも組まない。いろんなところから「うちに入れ」とかいわれるけど、しがらみ作りたくないから。義理があるからこれをしなくちゃならないというのは嫌だから。

―知事選に出たいと思うこと、ありませんか?

樋渡 まったく興味ないですね。おもしろくもなんともないもの、あんな中間管理職。

―国会議員はもっと何もできないですね。

樋渡 そうそう。だから市町村長が一番おもしろい。だって、現場の司令官だから。こんなおもしろい仕事ないですよ。

―でも今の政治を見ていて、こんなていたらくだから俺が、と思わないですか?

樋渡 それを僕は現場でやりますから。向き不向きというのがあるんですよ。僕は議員とかには向かない。大きな組織を率いることもできない。僕には今の感じがジャストフィットですよね。適性というのがあると思います。

―それではもったいないと思いますが。

樋渡 だからそれは、ここでロールモデルを立てて、参考にしたいところはどんどん使えばいいし、反面教師にしてください。そっちの方が(国会議員として地方を変えようとするより)早いですよ。FB良品だってそうだし、図書館もそうなるでしょう。僕らはここで、(地方自治体が「だからやれない」という)言い訳できないモデルをつくる。

―なんだか、やりたいことは全部やったような気がしませんか?

樋渡 全然しません、そんなもの。まだいくらでもありますよ。400のうち成し遂げたのはまだ4つくらいですよ。やりたいことはあっても、タイミングが早すぎるとかというのがあるんですよ。

―それだとあと何年もかかりそうですね。

樋渡 だから、死ぬまでやろうと思って。落ちるまで。4年ごとに是非については有権者に判断していただく、ということだと思いますけどね。

―市庁舎の建て替え計画も進んでいるとすると、後は観光ですか?

■普通の人のための「ダボス会議」を武雄市で

樋渡 観光も今、進みつつありますね。それは流れに沿って。
あとは、どこにもできない観光をやうと思ってます。スイスのダボスのようになればいいなと思っているからFacebook係をつくったし、来年は図書館のシンポジウムのでかいのをやりますけど、ここに来ればいろんな人に会えたり、知を共有したりとか、発信できる場にする。ザルツブルグは音楽祭で集めるじゃないですか。ダボスは知の交流拠点といわれますけど、ダボスの場合は経営者とか政治家とかのだけど、うちは「市民のダボス」にしたいんですよ。いろんなやる気のある人たちが来て、そこでいろんなものを共有する。うちは温泉というアドバンテージもあるから。そこでまたいろんなことを考え、また休んでもらう。

―武雄市に視察に来たら武雄温泉に泊ってほしいですよね。

樋渡 うん、それは僕も考える。しかし温泉というのはいくらでもあるし世界遺産もあるわけだから、それ(温泉)で売れるというのは無理で、他にできないことをやるというと、僕らが観光資源になるということ、行政が資源。

―ということはやはり、Facebookの出番がありそうですね。

樋渡 そう思います。


 


地域医療連携ネットワーク

2013年02月13日 | 医療・福祉
■市民の健診データは必要ないの?

魚沼基幹病院(仮称)を中心に魚沼地区にある医療機関のデータベースを結ぶ医療連携ネットワークに期待する
ものは大きい。患者さんの加療履歴を共有できることは、患者さんにとっては、いちいち紹介をお願いして
自分で動かなくても、医療機関の連携で必要な治療を受けることができるようになるし、多忙な医療機関か
らも省力化が期待できよう。

医療連携ネットワークについて、2月5日の医療対策室を迎えての会派勉強会でも勉強させて頂いた。
その中で出された問題だが・・・。

各種の健康診断や健診データも必要ではないの?

保健課に聴いた・・重要な課題です。しかし他の健保組合が実施した健診データはありません。・・というような
こたえ。

現在市には国民健康保険加入者で、市が行った健診データしかありません。
市立病院で実施した人間ドックや健診データは確保できるとしても、国保以外の健康保険組合で実施したデータは
入りません。なんとも中途半端。

市では様々な市民のための健康維持や病気予防のための事業を展開しているが、最も重要な市民の健診データすら完全に入手して
管理できていない・・・。いやできない。
それでまともな市民の健康管理などできるのだろうか?
各健康保険組合の仕事といえばそれまでだが、どうにも納得できない。
健診データくらい健保組合の壁を越えて共有できないのか?

データベースがもしも漏洩されて悪用されたら?

その心配はもっともだが、そんなことを心配していたらIT活用なんて進まない。
漏洩できない、漏洩されない「完璧な」仕組みなど存在しない。都度ベストを尽くすしかない。
また仮に漏洩された場合、市民にどんな問題や災難が降りかかるのかも検討し、防御策も検討しておかねばならないだろう。
「この頃、やたらに高血圧に効くとか言う健康食品のセールスやDMが来るな・・まてよ?」そんなことも起こりうるかも知れない。
しかし、そんな「危険な」社会の動向にも注視して、自己防御していくのも市民の努めかも知れない。
第一、今は多くの医療機関で患者データをコンピュータ管理しているとも思うのである。

以上、ネットワークの課題と思えたので簡潔に報告。

素朴な疑問・・この連携ネットワークに市(保健課)も入るんだよね ?

 Facebook 腰越晃

 


 

ブログ6周年

2013年02月12日 | Weblog
ブログ「南魚沼~わが故郷から~」を立ち上げたのが2007年2月、もう6年が経過した。
ホームページの「言いたい放題」の更新が面倒なこともあったし、写真を使いたいこともあって
ブログに変更しようと思ったのが始まり。
最初の頃はyahooとgooの2本立てで始めたが、レイアウトの選択の多さやカテゴリー管理がしやすく、
写真がいろんなパターンで豊富に使えることが決め手となって、gooに落ち着いた。
カテゴリー設定は悩ましい。テーマを何にするか、今もそうだが設定したカテゴリーのいくつにも
当てはまる記事もある。そのときの気分で決めているのが実のところ。
記事が1,000項目を超えているので、カテゴリーを変更したときに、各々の記事を新たなカテゴリー
に分類し直すも手間のかかる仕事だ。

6年を振り返るといろんなことを思う。
当時はまだ工事中だった牧之通りも立派に完成したし、大原運動公園も構想が固まり工事にも入った。
中之島地区や上田地区を中心に12年に一度の卯年まつりのことや議員としての活動を通じた様々な学びの
機会やエピソード等々。
書くべきことは多くあるが、書ける内容は限度があり、自制することも多いし、書いた後でまずいなと
思って訂正や削除をすることもある。

ひところは匿名で寄せられるコメントの取り扱いに困ったこともあった。
ほとんどコメントは来ないので、オープンで公開していたのだが、コメント内容によってやむを得ず選択して
公開という手段を取った時期もあった。
匿名で名前を明かさず書き込み、衆目におくことができるのもネットの掲示板やコメントの特徴だが、如何に
実名を明かさないで好きなことを書けるからといっても、限度があるように思う。
明るく前向きで建設的な内容であってほしいと思う。

時々本ブログについてご意見を頂くこともある。文章が多い、固い、意見がおかしい・・等々、あまり良い
内容は少ないが、ありがたいと思っている。
しかし、自分の性格上、内容を変えていくのは難しいし、受けの良い内容にしようとも思っていないことも
あって、今のままでいきたいと思っている。

最近はアクセス数も減少して存亡の危機という状況だが、どこまで続けられるかわからないが、やれるところ
まで書き込み続けたいと思う。

   
(写真掲載第1号 2007年2月17日 八海山 同年3月3日 牧之通り 、2008年10月2日 市歌発表)
  

(2009年2月14日喜平次と与六、同年5月国体歓迎の花 塩沢小、同年6月中之島育成会テニス教室)
    

 

藪神センターの体育館は賑やか

2013年02月08日 | Weblog
ひと月季節が早く巡ってきたような暖かい日が続いていたが、一転してきょうは寒い一日だった。
雪が降ったりやんだりしているが、積雪はほとんど増えていない。
当地では昨年の半分くらいの積雪で、平年並みというより少雪に近いようにも思う。

午後から訪問した大巻と藪神地区センターで、地域コミュニティと自治体の分館業務や公民館事業のあり方について、
いろいろと意見交換ができて良かったと思っている。
来月は社会教育委員会と教育委員会の意見交換会も予定されており、大変参考になった部分もあった。
大巻センターで作成している「屋号付き電話帳」を初めて見て「これは良い」と思えたし、できれば住宅地図に
名前と電話番号と屋号をいれたようなものがあれば、とても便利だと思った。何に便利か?・・・(^_^)v
大巻で実施されているヨガ教室など各種教室には塩沢や大和地区からも大勢の参加があるそうだ。

藪神センターでは、暖かな体育館でゲートボールが行われていた。
画像撮影をしてここに載せたかったが、カメラを持参していなくて残念だった。
また行きたいと思う。
大勢のゲートボーラーの皆さんが、元気よく楽しんでおられた。
最近はグランドゴルフでの体育館使用も多いようで、使用予定が記入されたホワイトボードでは、空いている日はほとんど
ない。みなさんホントに元気だ。(^^)
体育館の床に敷かれていたのは何と呼べばいいのだろう。「人工芝カーペット」?
あれ、市内の体育館全部に常備したら、冬もゲートボールもグランドゴルフもサッカー練習とかフットサルとか、多くの
屋外スポーツが冬でも出来るようになるね。暖房の問題はあるかもしれませんが。


 

新六日町病院整備

2013年02月06日 | 医療・福祉
■新六日町病院整備について

1月31日、市議会の全員協議会で市側から新六日町病院整備について説明があった。
病院との検討から建設位置を変更、新たに必要となる用地取得の地権者同意が得られたことや概算整備費用
について、開院までの整備スケジュールが明らかにされた。
簡単に報告したい。
①スケジュールは、平成25年度実施設計・各種の申請、市道付替・上下水道付替、新病院建設工事(平成26年末まで)
 が行われ、平成27年度から開院トレーニングを開始、同年6月の開院を目指す。
②概算整備費用は、新潟県から南魚沼市への用地の譲渡、各種工事費用など総額で約40億円を見積もる。
 県補助、地域医療再生基金からの支援、合併特例債使用などで2/3、1/3が市病院事業の実質負担となる。

(以下説明資料から)
建設位置・・右手(東側)ピンクの部分は仮設駐車場)


1F 平面図


2F 平面図