
さて ローマ滞在も最終日。
この日 ロザンナ先生は御里帰り、私と旅の相棒はヴァティカン博物館にいっしょに
いくはずで、日本から予約もしたのですが、急遽旅自体キャンセルになり、
一人で行くことになってしまいました。
正直、私の旅はいつも誰かと一緒でした。
「おいしいね」「きれいだね」「ほら、ちょっと見て」・・・
何気ない言葉をかけあいながら、どこかで安心を共有していたのも確かです。
でもいい大人なんだから 一人で歩けるし、この際 徹底的にヴァティカン博物館を
見てやろうやないの。(実は5度目になります)
日本でなら美術館も映画館も一人で満喫してるやん!
などと、自分に言い聞かせ、一人で出かけたのです。
この日も朝から猛暑。
トラステヴェレからタクシーに乗って楽々到着、そうしないと行くまでに
へとへとになってしまいそうなくらいの暑さでした。
予約時間より早めの到着、それでもどんどん入れてくれるMusei Vaticani!(^^)!
今回は徹底的に観る覚悟。
なので、音声ガイド(7ユーロ)を借りました。
この音声ガイド(9か国語対応、もちろん日本語をお願いしました)、
なかなかの優れもの、各美術館の成り立ちから作品の案内までたっぷり。
ここでアドヴァイスをちょこっと。
まずは音声チェックをしてください。
係りの人は一応確認しているようですが、私が借りた音声ガイド1号は雑音が入って
聞きづらかったのです。
「こんなものかな?」とあきらめてしまう前に、申し出てみましょう。
係りのお姉さん「そんなはずでは」という感じで再チェックしたあと、
「これはダメですね。別のをお持ちします。」と、取り替えてくれました。
クリアに聞こえる音声ガイドをお供に、いざ出発です!

↑ エジプト美術館
実は4度も来ているのに足を踏み入れたことがなかったのです。
音声ガイドのていねいな説明を受けながら、写真も撮り、
じっくり観ていると「ここだけでもすごい!」ことがわかりました。

音声ガイドに沿って進むと、今まで来たことがない通路や、
明け離れた窓から初めて見るローマの景色に出会いました。
いつもどこを通っていたのだろう?
初ヴァティカンは1997年、忘れもしない初イタリアでスリに遭い、
しょぼくれた最終日 夫婦で訪れたのでした。
ただ人の流れに沿って、膨大な作品群に圧倒されつつ、
さんざんだったイタリア旅行を帳消しにしてくれるようなひとときでした。
ツアーのガイドさんが案内のときは、時間を割り振りして その人の説明を
聞くだけ。
相棒とはぐれて、ケイタイも通じず、長い間出口で待った時もあったし、
ラオコーンとサンピエトロのピエタを両方ハイライトで観たこともありました。
なので音声ガイドを使ったのは今回が初めて。

音声ガイドについてくる簡単な案内表が大いに役立ちました。
それによると、今回ぜひとも観たいフレスコ画があるのは、システィーナ礼拝堂を
通らなければたどり着けない「絵画館」Pinacotecaにあるはず。

そのフレスコ画が↑ メロッツォ ダ フォルリ Melozzo Da Forlìの
「奏楽の天使」 と日本で訳されているもの。Angeli Musicanti
元々、ローマのサンティッシマ アッポストリ SS・Apostoli 教会内陣の
フレスコ画の一部分でした。
詳しくは こちらに。
各自の入場券の裏にMusei Vaticaniの作品が印刷されているのですが、
前回私の入場券がこのメロッツォのものでした。
「この作品はどこにありますか?」と尋ねたら「絵画館」だとのこと。
きゃっ、急がなくては!
今回は誰もが目指すシスティーナ礼拝堂はただ通るだけにして、
(それでも混んでいるのでスイスイとまでは行かず(^_^;))
休憩もそこそこに、「絵画館」へ。

そしてどんだけお宝~?の絵画館にまたびっくり。
あるはあるは、美術書で見たものや、サンピエトロ寺院で見たはずのラファエロの絵。
本物はこの「絵画館」にあるのです。↑
そして やっとみつけたのが↑の↑の天使。
教会でのフレスコ画保存が困難なときは、こうして剥がされ、大切に保存されるのだそう。
引き込まれるような青い色は天空でしょうか。
すべての天使に会いたい、と今思っている私です。
結局、音声ガイドで徹底的に観るはずだったMusei Vaticaniですが、
たくさん飛ばしてしまいました。
でも 好きなところを時間をかけてゆっくりできたのは、
おひとり様鑑賞の特典でもありますよね。
急いでいるわけは、その①アパートの鍵。
一つしかないので、その鍵を持っていた私はロザンナ先生より早く帰って
いなければならないのでした。
その②は、その夜にあるサッカーのヨーロッパ選手権をテレビで観るためです。
前々回の記事で勘違いで書いてしまいましたが。(^^ゞ

試合後、勝利の歓びに集まってきた人たち。
これは 私たちのアパートの3.5階の窓から撮影したものです。
スタッフが「タワー」ってこのアパートを呼んでいたのが納得できる高さでしょ?
ちょっと住み慣れてきた?トラステヴェレのタワーともその夜でお別れ、
次はミラノへ移動します。