スキアヴォーニ河岸の散歩の帰り、私たちはまたまた寄り道をしました。
が、そのお話をとばして、このレストラン
Corte Sconta コルテ スコンタ を
ご紹介します。
といっても、この「寄り道」がなかったら、きっと巡りあえていなかった
レストランなのです。
まあ、聞いてください。(美味しかったお料理の写真と共に)・・・
一番上の写真がお店の入り口。
ここの通りは狭く、偶然みつけた陶器のお店を通り過ぎた辺りでみつけました。
それも一旦通り過ぎてから、「ちょっと気になるんやけど」と引き返し、
「写真だけ撮っとこう、面白い看板やわ、空豆のデザインやろか?」
(後でわかったのですが、空豆と思っていたのはCorte ScontaのCとSをデザイン したものでした。)
「なんのお店やろね、中は暗くてわからへんけど、きっと食堂的なもんかな」
「ここは、裏かな?入り口はもっときれいやろし・・・」
カシャっと撮影。
そしてそこからも迷いながらの散歩の帰り、見慣れた広場へ到着。
そのサンザッカーリア広場は前回も今回も何度も通ったので、ここまでくると
ホテルはすぐそこなのです。
この日はVenezia滞在の最終日。
「まだまだ行ってないとこあるねえ。そういえば、ホテルの人たちがすすめて
くれたレストランまだひとつしか行ってないねえ」
「たくさん教えてくれたからなあ」
私たちが今回滞在したホテルは小さいのですが、
従業員(アルバイト?)の数は、その割りに多いような気がしました。
テーブルが五つくらいしかない朝食ルームの厨房に、5人くらい白いエプロンの
人がいて、時にお客より多いことがあったり、レセプションには
午後、夜、と何人か入れ替わって応対してくれました。
皆 親切で感じが良く、聞いていないのに「お勧めレストラン」を
教えてくれるのです。
イタリアでは 家族や知人のお店を勧めてくれることがよくあるので
地図に書き込んでくれたり、名刺をもらっても「絶対に行かなきゃ」とは
思わないのですが、その中のひとつ、ホテルに一番近いレストランにまだ
行っていないことを思い出しました。
実は、前の日 そのレストランの前を通ったとき、
とても混んでいるようだったのであっさり諦めてほぼ隣の空いているレストランに
入ったのでした。
そしてその結果、まあまあの味の夕食になってしまったこともあり、
Venezia最後の晩餐はホテルのお姉さんのおすすめに従おう、と
出かけたのでした。
ところが・・・
お店が見当たらない。
暗い路でよくよく見ると「定休日」の札が立っていました。
があ~ん、せっかく勇んででてきたのに~
ホテルから近いから、ガイドブックも地図も置いて来たし、戻るのも面倒。
「そうだ!昼間 気になってたとこ行けへん?
バールでもなんでもこの際ええやん」
「そやな」
記憶を遡らせて進んでみると、5分もかからずに到着。
「ええ!こんなに近かったんや。」
「寄り道しなかったら、あっという間や」
「はて、何の店やろ?中に人がいるけどここは裏口かな?」
「表に廻ってみよう」
と、運河の方向に入り口を探してもない・・・
「やっぱり ここが入り口かも」
「ええい、入っちゃえ!どうにかなるって」
というわけで、一番上の写真の入り口から入った私たち。
中に入ったとたん、すごい活気が伝わり、
「ここは美味しいかも!」と直感しました。
「あのう、予約していないのですが・・・」
「ここはシーフードだけのお店ですがよろしいですか?」
「もちろん!」
多分私たちが予約なしできた最後の客?
その後、次々と訪れる人たちでお店は満席状態となりました。
「メニューはあるけれど、今日のおすすめを説明しますと・・・
ぺらぺらぺら・・・」と、早口のイタリア語のカメリエーレの言葉を信じて
「本日のセレクション」をオーダーしました。
それが、今日の記事のほとんどを占めます写真。
何より新鮮で、魚好きの日本人にはうれしい限り。
でもこの時点でもお店の名前は知らなかったのです。
お隣のテーブルのパルマから遊びに来られているというご夫妻に
「このお店は美味しいのですか?」とこっそり聞くと
「とてもおいしいですよ。私たちもそれで来ているのです。
あなたたちはどうしてここを知っていたの?」
「実は紹介してもらったレストランが定休日で・・・」
「それは、ラッキーでしたね。」
自家製パスタや、別腹のドルチェで満腹になり、大満足した私たちでした。
場所はわかりにくいけれど、感じがよくて美味しいこのお店がとても気にいり、
「ここは穴場かも。きっと誰も知らないよ。また来たいね。」
「しかし、何ていう名前なんだろね。」
ゆっくりドルチェを楽しんでいたとき、後ろの本棚に日本語のガイドブックを見つけ ました。
「このお店が載っているの?」
「ああ、確かあったと思うけど・・・」と お店の人。
そこではじめてこのお店の名前が「Corte Sconta」(隠れた中庭という意味)だと
知りました。
「わっ、もうすでに紹介されてるやん、すごいな このガイドブック!」
今度は予約してこようね、とホテルの部屋でふと持ってきていた「地球の歩き方」
のレストランのページを見た私。
”隠れ家レストランとしてすっかり有名になってしまい、いつも予約でいっぱいの
人気店”として、写真入りで紹介されていました。
なあんだ、知らぬは我らばかりなり、だったのかも。
そして、つい最近読み返した陣内秀信氏著の「ヴェネツィア 水上の迷宮都市」にも
p65にその名をあげて、「隠された魅力的レストラン」として堂々と
紹介されていたのでした。
どちらも新刊とはいえないVeneziaの案内書。
こういうインパクトがないと記憶しない、という頭の構造になっている
我が脳にもしっかりインプットできました。
今度は地図なしでもお店にたどり着けるはず。
もちろん、予約もしっかりして出かけましょう。
本日は長い記事になってしまいましたね。
最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。