今回はVicenzaの街の写真を見ながら、読んでくださいね。
タイトルを「ユーロスターの中でのエピソード」としたほうが良かったかも。
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元々 この旅のメンバーは3人でした。
ところが そのうちの一人(ここではAさんと呼びますね)に
どうしても旅をあきらめなければならない事情が発生し、
その結果 淋しいけれどロザンナ先生と私の二人で旅することになったのでした。
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3人で行く旅の計画中に、
Trenitaliaのサイトでお得なキャンペーンをみつけました。
ミラノからヴェネツィアの日帰り往復料金が、
朝出発、帰りは最終でという条件でしたが
ユーロスターを使ってたった30ユーロで行けるというキャンペーン。
しかも往復プリマクラッセ(1等車)。
安~い!ひょっとして片道料金より安いかも!
ほんまかいな・・・・さんざん疑って調べた結果、
ホンマでした。時々こんなキャンペーンがあるみたいです。
その当時、まだヴェネツィアを訪れたことがなかったAさんに話してみたら、
そんなに安いのならぜひ行きたいと返事が返ってきました。
そうだよね、行こう行こう!
ミラノに滞在している我々にとって、
朝早くても夜遅く帰ってきても問題ないし、ピッタリのキャンペーンだよ。
というわけで、3人分の往復チケットをネット予約したのですが、
その彼女がヴェネツィアどころか旅そのものに行けなくなってしまったのです。
どうしよう・・・
チケットを無駄にしたくないし、なんなら他の街に行ってみようか。
途中で降りるのはいいんだよね。
で、行先変更!
我々が目指したのは、ヴェネツィアの手前、
まだ二人が行ったことがない街、「Vicenza(ビチェンツァ)」です。
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朝、予約したユーロスターに乗って出発です。
プリマクラッセの車内は快適、サービスのジュースやお菓子もいただいて
新聞も読んで一段落したころ、ロザンナ先生が小さな袋を取り出しました。
それは「ドライマンゴー」。
最近先生は映画のお供にドライマンゴーを持って行くそうです。
ポップコーンはかさばるし、喉が渇くけど、
半生タイプのマンゴーは適度に甘く、飲み物も必要ないから、とのこと。
「どうぞどうぞ」と勧められ、二人であれこれしゃべりながらマンゴーをつまんで
いたときでした。
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ビックリしました。
「あなたはひょっとしてスーパーマリオ?」と思わず言ってしまいそうになるほど、
その姿形がそっくりな車掌さんが現れました。
検札です。
その彼が私たちを見て「Che buon profumo!」「いい匂いだなあ!何の匂い?」
と、聞いたのです。
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「マンボー~ウッ」で始まる歌、、昔 流行ってましたよね。
ロザンナ先生はあの感じそのまんまで、「♪ マンゴ~~」と延ばした後、
「ウッ!」っと言ったのです。
なんと「マンゴ~」「ウッ」のそのとき、
立っているその車掌さんも「ウッ」とジェスチャー入りで答えたのです。
周りは大爆笑! そのジェスチャーはまたまたマリオそっくりだし・・・
私、イタリア人のお二人に座布団を10枚あげたいくらいでした。
で、車掌さんもマンゴーをロザンナ先生からもらって食べたのですよ。
そんな人いる~?
今でもマリオのイラストを見ると、あの車掌さんを思い出して笑ってしまいます。
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爆笑マンゴーからしばらくして、ユーロスターが駅に停まりました。
それがどこの駅だったのか忘れたのですが、
電車は止まったまま動く気配がないのです。
初めは「イタリアにはよくあること」とのんびり構えていたのですが
外がなんだか騒がしくなってきました。
遠くに白衣を着た人が見えます。担架も・・・
一人のシニョーラが困ったような顔をして、うろうろしています。
彼女の話ではこの電車の中で急病人がでたそうです。
それで臨時停車し救急車を待っているので電車が動かないのだと。
自分はメストレで他の電車に乗り継ぐのだけれど、このままでは間に合わない、
マンマミーア!
彼女の心せくのがよくわかり、
何年か前のクロアチアからの大移動を思い出してしまいましたよ。
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こんな状態で長く停車していても何のアナウンスもないユーロスター。
30分は停まってたでしょうか。
また 何事もなかったかのようにスーッと発車したのです。
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「こんなことがあるんだ」
「Vicenzaで降りて帰りもVicenzaから乗るのはやめようか」
「始発のVeneziaからきっちり乗ったほうがいいかも」
「そうだね、一応Veneziaに行っておこう」
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救急隊の担架で運ばれて行く女性を見て、混乱したんでしょうね、私たち。
一応Veneziaに行く、なんてことしなくてもよかったね・・・
と思ったのは、その日の夜、
Veneziaのサンタルチア駅発のユーロスターを待っていたときでした。
その訳はまた追って・・・。
とにかくVicenzaへ。