先週の、計算すると、水曜日の朝のこと。テレビから「戦いはアトム以下で始まる」といった内容のアナウンサー(大塚さんだったかもしれない)の声が聞こえた。まだ布団の中でぐだぐだしていた私は、その寝ぼけた脳味噌で考えた。「戦う?アトム以下で?・・・アトム以下ということは10万馬力以下ということだ。1馬力は、確か大人の男を1秒間で1m持ち上げる力だったはず。10万馬力だと、10万人の男を“あー”と言う間に1m持ち上げる力だ。そんな力以下で戦うというのはどういうことだろう?誰が戦うのだろう?どんな戦いなのだろう?・・・などなど気になって、目が覚めてしまった。
出勤して、仕事の合間にパソコンで調べる。1(フランス)馬力は正確に言うと、1秒当り75kg/m。10万馬力とは、7500トンの重さのものを“あー”と言う間に1m持ち上げる力ということになる。ジャンボジェット機が燃料満タン、乗客と荷物を一杯積んで約350トンというから、7500トンというとそのおよそ20機分。確かに鉄腕アトムはジェット機をも軽く持ち上げていた。すげぇー力だ。そんな力での戦いとはいったい。
旧暦で言うと正月二日、新暦だと昨日の10日木曜日、その朝、テレビはサッカーの話題でもちきり。前夜は一人で旧正月をし、民謡に浸っていて、私はテレビを観ていなかった。若い頃はプロ野球、大相撲、プロボクシング、ラグビーなどよく観ていたが、オジサンになってからはスポーツ観戦に興味を無くしてしまっている。「勝った負けたと騒ぐじゃ無いぜ」といった気分。試合なんて所詮他人事だろう、そんな他人事に熱狂するサポーターの気持ちは、私の気分とは遠く離れている。たかが玉蹴りだろう?
「アトム以下」の謎は、日曜日の情報番組を観た時に解けた。「北朝鮮戦まで、あと三日です」とのアナウンスがあって、その「アトミッカ」を聞いて、気付いた。先週水曜日の朝、(たぶん大塚さん)は「戦いは後六日で始まります」と言ったのだ。
たかが玉蹴りの試合ではあったのだが、面倒な問題を多く抱えている北朝鮮と日本の試合は、勝ち負けとは別な意味で興味はあった。もし日本が負けたとしても、日本人のサポーターが北朝鮮の人たちに酷いことをしないでくれと願っていた。中国のサポーターたちのような低レベルの応援になってくれるなと願っていた。そんな私の願いは、まあ、勝ったということもあろうが、叶えられた。ニュースによると、試合はフェアなプレーで終始し、サポーターたちも変に騒がず、すごく良い試合だったようだ。政治とは関わり無く両チームとも十分に(10万馬力に匹敵する)力を発揮できたようだ。それは嬉しい。
記:2005.2.11 ガジ丸