去年5月、部屋にシロアリが発生し、畳、床板、床下の木材が大被害を受けた。リフォームしてもらったが、シロアリの巣、あるいは卵が残っていたようで今年もまた、5月の終わりにシロアリが発生した。1万円以上分のシロアリ殺虫剤を床下に使用して、取りあえずの駆除はしたが、シロアリは床下だけでは無かった。壁を食い、天井を食っていた。またもシロアリ殺虫剤を買い、目に入る戸棚などの駆除はしたが、むろん、シロアリはまだまだ多くいる。敵の本隊はきっと天井にいる。駆除は困難と諦める。
で、引っ越すことにした。お盆後アパート探しをする。当初、今と同じ家賃3万円の安アパートでも敷金礼金など含め引っ越し費用は十数万必要だ、それだけの金を使うと、今でさえ畑の芋を頼りにしている日々の暮らしがさらに貧しくなる。金も無いし、しばらく実家で暮らそうかと迷っていたが、有難いことに、最近のアパートは敷金礼金無しというのも多くある。それなら大丈夫、ということで、アパート探しを続ける。
先週金曜日、2件目の不動産屋を訪ね、2件目の物件を見せてもらった。即決した。家賃3万5千円前後、2階の角部屋、フローリング、ワンルームなどという私の希望にかなったからということと、敷金礼金無し、仲介手数料無し、最初の一か月分の家賃サービスということだったので即決。さらに、実家へも畑へも交通の便が良い、宜野湾市立図書館が徒歩圏内にある、周りに緑が多いなどというおまけの好条件もあった。
10畳のワンルーム、オッサン一人生活するには十分の空間、その程度なら掃除も30分で済む。新生活が始まったら毎日掃除して、毎日清々しい気分で過ごしたいと思っている。角部屋なので二か所の窓を開ければ風も通るだろう。よって、クーラー付きだが、クーラーを使わない生活もできるだろう。昨日から引っ越し作業を始めていて、新生活は明日か明後日には開始できる予定だ。楽しい生活になりそうな予感がする。
1993年12月に、実家から首里石嶺のアパートに越した。19年近く住んでいたことになる。小学校一年から高校一年までの約10年、今と場所は一緒だが建物は違う実家で暮らした。高校二年から大学を卒業するまではあちこちで一人暮らし、沖縄に帰ったのは1982年3月、それから今のアパートに越すまでの約11年間は現在の実家で両親と暮らしていた。ということで、私が私の人生で最も長く暮した家は2011年8月31日まで住んでいた、シロアリに食われている首里石嶺のアパートということになる。
旅好きの私はたぶん放浪癖もあり、同じ場所に住むことを好まない性格だと思われる。そんな私が19年近くも同じ家に住んだ。コンクリートが剥がれ、カビが沁みついているボロアパートに何故それほど永く住んでいたかというと、住み心地が良かったからだ。畑付きだし、周りに緑が多いし、静かだし、近所は穏やかな人が多いし。
人生で最も永く住んでいた家を出る。住み慣れた家を出る。残念な気分も多少あるが、しかし、これ以上シロアリとの同居は無理。最近、シロアリに体を齧られている夢を何度か見て、夜中、脂汗かきながら目覚めたことがある。それはもう、精神的にも肉体的にも健康に悪い。残り少ない人生、楽しくない時間はなるべく避けたい。
住み慣れた町を出るのは淋しいが、新しい出会いに期待している。
記:2011.9.2 島乃ガジ丸