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ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

ウチカビ

2011年09月23日 | 沖縄04行事祭り・生活風習・言葉

 あの世の沙汰もお金

 私が敬愛する詩人、山之口獏の作品に『告別式』という題の詩がある。「ある日、私は死んでしまう。あの世で小さい頃に亡くなった息子に会う。息子はむくれている。何を怒っているのだと訊く。」といった前半の概要で、以下は後半。

 お盆になっても家からの
 ごちそうがなかったとすねているのだ
 ぼくはぼくのこの長男の
 頭をなでてやったのだが
 仏になったものまでも
 金のかかることをほしがるのかとおもうと
 地球の上で生きるのとおなじみたいで
 あの世も
  この世もないみたいなのだ

 私が敬愛する唄歌い、高田渡がこれに曲をつけて歌っている。題は同じだが、歌詞は少し変えている。あの世で渡は息子では無く、親父に会う。あの世に行って息子に会うよりも親父に会う人がずっと多かろう、死んだ親父は普通だが、死んだ息子は可哀そうだ。

  沖縄ではお盆のウークイ(送り)の時、ウチカビを燃やす風習がある。ウチカビとは打ち紙と書き、銭型を刻印した紙のことでお金に見立てたもの。あの世へ帰って行くご先祖様たちが、あの世でお金に困らないようにと持たせる意味合いがある。ウチカビは供えるのでは無く、燃やす。燃やした煙があの世へ届くらしい。
 山之口獏も貧乏だったので「あの世もこの世もないみたいなのだ」と嘆くが、私もまた貧乏人なので、ウチカビを燃やしながら「あの世に行ってまでもお金が必要なのか」と溜息が出る。私には子供がいないのでお盆になっても御馳走もなければウチカビも無い。私のような者は、あの世でも働いて金を稼がなければならないのだろうか。
     

 記:2011.9.16 島乃ガジ丸 →沖縄の生活目次


頑固ジジィは誰?

2011年09月23日 | 通信-社会・生活

 友人のMがギャンブル好きの女好きでたくさんの借金を抱えた。私の3倍位の給料を貰いながら私からまでも借金したことについては、「オメェーよー、貧乏人の俺から金を借りるのか」と文句を言い、なかなか返さなかったので、しつこく催促もしたが、「ギャンブル好きの女好き」については、それが彼の生き方なので私は何の文句も無い。
 Mは仕事を辞めて、その退職金で全ての借金を返済した。退職金は給料に見合った大きな額で、借金を完済した後も多額が残り、彼は今、左団扇状態である。まともな人間なので遊んで暮らしているというわけではない。資格取得に現在励んでいる。

 大学の大先輩Aさんと時々飲みに行く。飲みに行くたんびに「人生は演技だ」などと自分の生き方を自慢され、「君も演技しなさい、一流の人間になりなさい、儲けることを考えなさい、結婚もしなさい」などとたっぷり説教される。前に一度、それらの一つ一つについて「お言葉を返すようですが」といちいち反論したのだが、それでもAさんはしつこく説教する。なので、それ以降私は反論はせず、黙って聞き流している。
 「畑耕して、芋植えて、芋掘って、芋食って生きてやる」という私の生き方が、Aさんはどうやら不服のようである。あるいは、そんな生き方が嫌いみたいである。一流メーカーの服を着て、車はベンツというAさんの生き方に私は何の文句も無い。文句は無いが、そんな生き方を目指しなさいと言っているのであれば、それは嫌である。

 先週木曜日から今週月曜までの4泊5日で八重山与那国周遊の旅に出かけた。「貧乏なのによく旅する金があるもんだ」と思われるかもしれないが、引っ越しのためにと何とか工面した金が十数万あった。ところが、引っ越しにかかる費用は最初の家賃も含め4万円ちょっとで済んだ。で、旅もできたわけ。なことはさておいて。

 今回の旅には同伴者がいた。同伴者は残念ながら男で、私と同年代のオッサン。大学時代からの友人Rで、埼玉に住み、東京の会社に勤めるサラリーマン。
  4泊5日のほとんどの時間をRと一緒に過ごした。それだけ一緒にいると互いの行動や思考に違いがあることが判る。Rはよく食う。朝飯はご飯を3杯食う。3杯食いながら食べ終わる時間は一杯の私と変わらない。Rは早食いでもあるのだ。夜の居酒屋でもRはよく飲みよく食べる。飲む量は私と同じくらいだが、食べる量は倍以上だ。満腹になるまで食うのが彼の幸せらしい。私は概ね腹六分で済ませる。
 店のメニューやガイドブックに載っている人気ナンバーワンというのも彼の好物であった。私は自分が食いたい物を食いたいので、他人の評価をあまり気にしない。
 Rはまた、速足でもある。周りの景色を見ずにスタスタ歩いて行く。私は周りの景色を眺めながらのんびり歩く。なので、Rと私との間に距離のできることが多かった。

 なんてことを書きながら、「頑固な奴だ」と思った。誰が?・・・ギャンブル好き女好きのMでは無く、生き方を押しつけるAさんでも無く、早足大食いのRでも無い。私は、人には人それぞれの生き方があるさと思っている分、他人の生き方に寛容だが、自分の生き方を他人に合わせようなどとは思わない。そう、私こそが頑固ジジィなのだ。
          

 記:2011.9.23 島乃ガジ丸