ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

お勧め民謡 国頭ジントーヨー

2011年09月09日 | 沖縄03音楽芸能・美術工芸・文学

 昨年(2010年)12月、十数年ぶりにカラオケ屋へ行き1曲歌った。十数年前にカラオケスナックのお嬢さんに、「オジサンがオジサン臭く無く、しかも、若者ぶっているようには見えず、なおかつ、若い女性に受ける歌は何か?」と訊いて、「スピッツの歌ならいいんじゃない」と言われたので、その日歌ったのは『空も飛べるはず』。
 『空も飛べるはず』は声を張り上げないと歌えない歌であった。それが失敗だった。たった1曲で翌日喉を痛め、そのついでに風邪もひいてしまった。ということで、スピッツは諦める。「若い女性に受けよう」などと不純な理由がそもそも良くない。歌うのであれば、自分が歌える歌、歌いたい歌を選ぶべきであったのだ。

 年が明けてから、聴く音楽の半分は沖縄民謡となった。残りの半分は概ねクラシックなので、覚えようと思って聴いているのは沖縄民謡だけとなる。目指すは嘉手苅林昌。
 嘉手苅林昌については、いずれまた別項で述べるとして、今回は唄の紹介。

 私は同世代の多くの友人たちが、沖縄物は田舎臭い、沖縄民謡なんてつまらないと言っている中、高校生の頃から民謡を聴いていて、その頃既にいくつかは歌うことができた。大学生の頃、添乗員のバイトで町田市のご老人方を案内した際、バスの中でカラオケ大会となり、ご老人達に請われて沖縄民謡を2曲、披露したこともある。
 その時披露したのは『西武門節(にしんじょうぶし)』と『白浜節』、『西武門節』は歌詞の内容も曲も好きだったから、『白浜節』は覚えやすかったからというそれぞれの理由で覚えていた。歌えた民謡は他にもあり、『白浜節』より好きなのもあったが、この2つが、倭国のご老人達に歌詞の意味を説明しやすかろうと思ってのこと。

 そらで歌えて、『西武門節』と並ぶほど好きな民謡がある。『国頭(くんじゃん)ジントーヨー』という唄。デュエット曲なので、一人ではなかなか歌えない。
 『正調琉球民謡工工四(くんくんしい、三線の楽譜)』第一巻から、その歌詞。

 アキト(あれまあ) ナマ(今も) ウンジョウ(あなたは)
 ガンジュ(頑丈) シチ(して) ウタミヨ(居たのネ)
 ぃやーん(お前も) カワランセ(変らないさ)
 ジントヨー(囃子言葉) ムトゥ(元)ヌ(の)シガタ(姿)

 以上が1番、前半を女が歌い、後半を男が歌う。簡単に和訳すると、

 あれまあ 今でもあなたは元気でいたのね。
 お前も変っていないさ 元の姿だよ。
 
となる。この後、「あなたを頼りにしていたから、三十過ぎても私はまだ結婚していないのよ」などと女が愚痴を言い、「戦争があったからしょうがないさ。爺さんとでも結婚すればいいじゃないか」などと男が返す。歌詞をみると女の恨み節のようでもあるが、曲調が明るいのでジメジメしていない。全体にユーモアあり、いかにも沖縄って感じ。
 なお、ジントヨーは、他の唄でもよく使われる囃子だが、「ほんとにそうだ」といった意味合いがある。「ホント、君は元のままだよ」と女性は言われたいだろうね。
     

 記:2011.3.8 ガジ丸 →沖縄の生活目次

参考文献
『正調琉球民謡工工四』喜名昌永監修、滝原康盛著編集発行


男の節穴眼

2011年09月09日 | 通信-その他・雑感

 新居が決まらない内からシロアリアパートの退去は8月31日と決まっていたので、荷物の多くを実家へ運んでいた。新居の正式契約は9月1日で、その日から実家に置いてあった荷物を少しずつ、軽乗用車に積める分ずつを新アパートへ運んでいる。
 荷物を運び入れる前に、当然のことながら新居の掃除をした。「前の人が退去した後、掃除は済ませてあります」と不動産屋の可愛い人妻が仰っていた通り、最初に見た時はまあまあきれいだな、と思ったのだが、よーく見るとさほどきれいでは無かった。

 新アパートは入居者が退去すると業者に頼んで部屋を掃除するらしい。私も退去時の掃除代として1万5千円払った。しかし、改めて良く見ると、部屋は「業者に頼んだ掃除がこの程度かよ!」と思うほどの状態だった。ベランダにもゴミが多く溜まっていた。「いったい、いつ掃除したって言うんだよ!」と愚痴も出る。で、ふと「いったいいつからこの部屋は空いているのだろう」と気になった。敷金礼金無し、仲介手数料無し、最初の一ヶ月間家賃サービスなんていう物件だ、何か「訳有り」かもと気になったのだ。
 で、調べると、2月上旬からこの部屋は空いている。その頃に掃除して以来ってことだから、半年以上掃除していないことになる。なるほど、ならばさほどきれいではないことが納得できる。半年程度なら「訳」も特になかろうと安心する。

 「きれいではない」と私が感じた最大の原因はフローリングにあった。ちょっと見はきれいであるが、よく見ると汚いのだ。不動産屋さんに案内された時は「ちょっと見」しただけで「きれいじゃないか」と満足してしまったのだ。男の眼は細かいところに気付かないと言われているが、私の眼はまさにそれ。節穴の眼であった。
 フローリングの板と板がピッタシ合わさっていなくて、1~2ミリほどの溝ができている。その溝に細かな埃が溜まっている。よーく見るとその埃に気付く。なので、汚いと感じる。「床板を貼ったのは素人だな、俺でももっと上手くできるぜ」と思う。板と板の合わせ目が100あるとしたら、その70くらいには溝が走っている。
          

  薄い金属板で溝のゴミを掻き出し、さらに、デッキブラシでゴシゴシして細かな埃も掻き出し、掃除機で吸い取り、その後、洗剤で拭き掃除をする。溜まった埃に付着していたバイ菌もあろうと、さらに、アルコール除菌剤を撒き、拭き掃除をする。押し入れや棚、靴箱、トイレ風呂場などもアルコール除菌する。長い時間を費やした。
 掃除は新居だけでは無い。お別れする旧居の掃除もした。シロアリの巣がある台所の戸棚を除いて、一応きれいにして大家にお返しした。さらに、実家の掃除もした。仮置きしていた荷物を運び出しながらのついでの掃除。さらについでの布団干し、洗濯。

 そんなこんなで忙しい中、温かいシャワーを浴びて体を休めたいと思っている中、5日から7日の3日間、私は冷たいシャワーに甘んじた。ガスが来ていないのであった。不動産屋に電話すると、「ガス会社に電話して契約しないといけませんと、お渡ししたプリントに書いてありましたが」と言う。そういえばそんなこと言っていたなぁとそのプリントを確認すると、確かにそう書いてあった。私の眼はやはり節穴であるようだ。

 記:2011.9.9 島乃ガジ丸