ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

オオスカシバ

2011年12月02日 | 動物:昆虫-鱗翅目(チョウ・ガ)

 とぼけた顔

 接写のできるデジカメを購入してからそうできる時は虫の接写を撮っている。ハチの顔は恐ろしげであることを確認し、アリも悪党面であることを知った。そのついでに、悪党面のアリがハチと同じ膜翅目であることも知った。「さもありなん」と思った。
 カミキリムシの仲間も恐い顔をしている。カマキリの顔もちょっと怖い。バッタの仲間はたいてい挑戦的な顔をしている。チョウの顔は概ね美人である。オウゴマダラの顔は貴婦人のようであった。幼虫の表情は概ね無表情だが、シロオビアゲハの幼虫は可愛い顔をしていた。その他、セミやカメムシ、トンボなどは無表情に見える。
 過日、チョウと同じ鱗翅目だが、気分的にガに分類されているオオスカシバの顔を接写することができた。これは美人とは言えなかった。何ともトボケタ顔であった。

 オオスカシバ(大透かし羽):鱗翅目の昆虫
 スズメガ科 本州、沖縄、東南アジアに分布 方言名:ハベル(ガの総称)
 透明の翅なのでスカシバ。その翅をブンブン鳴らして飛ぶ。腹部に横筋もあるので初めはハチかと思った。尾のほうに毛が生えていて、顔はとぼけた表情をしている。他のガとは一味も二味も違った面白い形。ボケた脳味噌がすぐに名前を覚えてしまった。
 成虫の体の色はうす茶色と黄緑色の2種類あるとのこと。昼間行動するガ。
 前翅長26~30ミリ。成虫の出現時期は3~11月。幼虫の食草はクチナシ。
 
 成虫   
 
 顔  正面からみるとひょうきんな顔をしていた。  
 
 産卵 木はクチナシ。

 記:ガジ丸 2005.9.14  →沖縄の動物目次 →蝶蛾アルバム
 訂正加筆 2011.10.29

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行


自分様の子

2011年12月02日 | 通信-社会・生活

 私の勤める会社は、去年1月に若いMが辞めて、現場仕事のできるのがSさんと私のオジサン二人だけとなった。オジサンと言っても爺さんに近いオジサンなので、肉体労働では無理が効かない。普通は、技術の要る作業を我々ベテランがやり、単純作業や力の要る仕事は若い者がやるのだが、その若者がいないのでオジサン二人はきつい。肉体労働が続くと腰が痛くなったりする。で、残業もできないし、毎日は続かない。
 社長もその辺のことは心得ているので、その年の3月から自分の息子を正式(それまでアルバイトとして時々手伝っていた)を入社させた。息子はSさんと現場に出て、仕事を覚え始めた。一所懸命頑張れば数ヶ月で役に立つ作業員になれるはず。
 息子が覚えるのはしかし、現場仕事だけでは無い。デスクワークも覚えなければならない。書類作成、設計製図、積算等、私の持っている技術である。3月の初め、「すぐに覚えなければならないのが少々、1年以内に覚えなければならないのが大量にあります。家に帰ってからも、休日も勉強しなければ間に合いません。」と社長に進言した。「息子はまだ始めたばかりなので、ゆっくり覚えさせましょう。」と社長は答えた。
 「若いMがやったことも教わったこともない仕事を『私にはできません』と言ったら、『これは仕事だ、できないで済むか!何とかしろ!』ってアンタ怒鳴ってたじゃないか。息子には随分甘いんですね。」と、私は口には出さなかったが、思った。

 社長にはもう一人息子がいて、彼も去年から時々バイトみたいに現場仕事を手伝っていたが、今年からはほぼ常時出勤するようになった。上の息子は社員となって1年8ヶ月、バイト期間も含めると2年の経験を経ている。下の息子もバイト期間を含めれば1年以上の経験を経ている。もう十分に役に立つ作業員になっているはず。ところがだ、
 先日久々に現場に出てSさんと息子二人と私の4人で働いた。現場は肉体労働だ。上の息子が仕事内容を社長から聞いているので彼の指示を待つ。が、彼の指示は曖昧なところが多く、結局、Sさんにどうするか訊く。Sさんが作業の段取りも考えないといけないみたいである。それから、Sさんと私が肉体労働に汗しているのを息子二人がボーっとつっ立って見ていることが多々あった。「なにしてるんだこいつら」と思いつつ、私は注意はしない。肉体労働しながら子供の教育もやるのは面倒臭いからだ。

 帰りの車の中、Sさんに訊いた。
 「あの二人いつもああなの?」
 「うん、指示しないと動かないし、何をしていいか訊きにも来ない。」との答え。
 「2年も経ってまだ仕事を一人前にできないの?」
 「社長から、無理するな、ゆっくり覚えたらいい、と言われているそうだ。」
  Mが辞める前年にもう一人若いTも辞めている。Tは社長の厳しい仕打ちで、2度もストレス性十円禿をこさえた。Mは激痩せした。MやTは社長からすれば、いわゆる人様の子だ。人様の子を預かって会社のために働いて貰っている。自分の子よりむしろ大事に扱わなければならないはず。でも、社長はどうも一般的ではないようだ。他人は他人、様はつかない。自分の子には様が付くみたいだ。技術を要する仕事をし、肉体労働もし、息子たちの教育もやっているSさん、「もう辞めたい」と呟いた。
          

 記:2011.12.2 島乃ガジ丸