ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

人事を尽くさず天罰を受く

2012年09月21日 | 通信-その他・雑感

 沖縄島最接近時には910ヘクトパスカルに達すると予想され、「強さも大きさも過去最大級の台風です、最大級の台風対策をお願いします」とラジオも言っていた台風15号は、最大瞬間風速70mの予報が40m程度に留まり、被害は少なかった。
 「今年は台風の当たり年」と15号の話で前にも書いたが、15号が沖縄島を襲ったのは8月26日、それから3週間が経った9月15~16日にもまた、沖縄島は台風に襲われた。台風16号だ、16号は何と15号を超える勢力、905ヘクトパスカルで最大瞬間風速は75mと予想された。5泊6日の「宮古諸島巡りオヤジ二人旅」から沖縄へ帰ると台風接近中となっていた。沖縄に着いたのは9月14日の4時頃、家に着いたのは5時頃、すぐに宜野湾の畑、金曜日の職場を回って台風対策をする。
 翌日15日、西原の畑へ行き、作成途中で強度がまだ十分でない畑小屋を補強した。板を打ち付けたり、重しを乗せたりなどの補強。

 『人事を尽くして天命を待つ』は「人間として出来るかぎりのことをして、その上は天命に任せて心を労しない。」(広辞苑)のことだが、台風対策で言えば、出来るかぎりの補強をして、あとは「なるようになるさ」と平然としていれば良いとなる。
 畑小屋の補強を終えて、私は確かに、「なるようになるさ」と平然としていた。しかしながら、畑小屋の補強に「人事を尽くした」とは言えなかった。

  畑小屋の左側の柱、中央の柱、右側の柱それぞれの前後にアンカーを設けている。前の柱の手前アンカーから屋根を回して後ろの柱後方のアンカーまでロープを張り、小屋が風圧で浮き上がるのを防ぐためのアンカーだ。台風15号の際に、中央の柱のアンカーにはロープをかけた。その時の小屋はまだ壁板を貼っておらず、受ける風圧もそう強くは無いと予想し、補強ロープも中央の1本で十分と判断した。
 ところが、台風16号がやってくる時の畑小屋は多くの壁板が貼られている。暴風の風圧を強く受けると予想された。畑小屋に板を打ち付けたり、重しを乗せたりの補強をした後、「これで大丈夫かなぁ、不安だなぁ」と思い、右側、左側の柱にもロープをかけようかという考えが頭をよぎった。ロープを買いに行って、2ヶ所にロープをかけ終えるまでには1時間以上かかる。「面倒だなぁ、よし、後は運を天に任せよう」と、人事を尽くさぬまま天命を待つことにし、私は実家の台風対策に向かったのであった。

  台風16号が通り過ぎたのは17日のお昼前、さっそく畑小屋を見に行った。「グワーン」と頭の中で鐘が鳴った。畑小屋の被害は大きかった。右側の柱2本が10センチほど浮き上がっている。そのため、小屋がやや傾いてしまった。これを直すには、柱を埋め込む穴5個所を全て掘り直し、柱を再設置しなければならなかった。
 また、基礎ブロック上に乗せている部分も数センチ浮き上がり、全体が後方に8センチほどずれてしまった。そのため、後方が基礎ブロックからずり落ち、その衝撃で基礎ブロックの4枚が浮いてしまった。これを直すには、小屋を持ち上げ、基礎ブロックを設置し直し、全体を手前にずらさなければならなかった。大仕事となってしまった。
 今朝のニュースで「台風17号が発生」とあった。今度は人事を尽くすつもり。
          
          

 記:2012.9.21 島乃ガジ丸


キャッサバ芋

2012年09月21日 | 飲食:食べ物(材料)

 そこはかと無いジャガイモ

 キャッサバという名の観葉植物があることを私は若い頃から知っていた。タピオカという名の澱粉があることはそれからずっと後、オジサンと呼ばれる歳になってから知った。もっとも、オジサンと呼ばれる歳になってからもう20年ばかりは過ぎているので、タピオカの存在を知ってからもそれくらいの年月は経っている。
  「キャッサバの塊根を磨り潰して採れた澱粉がタピオカである」ことを知ったのはそれよりもまだずっと後だが、それでも、少なくとも10年くらい前には知っている。芋が食えるのであれば、自給自足芋生活を目指している私なら早速畑に植えても良さそうなものだが、「塊根を磨り潰して澱粉を採る」のは面倒そうだと思い、躊躇っていた。

 「タピオカの芋はそのまま煮て食べても美味しい」と、脱サラ農夫の友人Tから聞いたのは去年の初め頃だったか、それからしばらくして叔父からも「タピオカからは澱粉も採れるけど、芋を煮て食べたりもする。」と聞き、「これはぜひ畑に植えなくては」と思ったら、その叔父から「挿し木で簡単に増えるから今度取りに来たらいい、何本か準備しておく」と話はとんとん拍子で、すぐに貰いに行った。去年6月のこと。
  貰った枝を8本ばかり早速挿し木した。それらはすくすく育って大きくなって、その年の12月には地上部が枯れた。キャッサバ芋の掘り時だと思ったが、その頃はたぶん甘藷も採れていて、キャッサバ芋まで消費する余裕が無いと思って、掘らなかった。

 一旦地上部の枯れたキャッサバは、温かくなるとまたすくすく育ち、大きくなって、夏には去年の2倍位に広がった。「今年の冬は食わなきゃ」と思っていたら、8月初めにやってきた台風11号のお陰で、キャッサバの1本が根こそぎ倒れ、その根に芋がいくつも着いていたのを発見し、「食えそうじゃ無ぇか」と、収穫して食った。
 キャッサバ芋は大小合わせて8個ばかり。その半分を煮て食った。形は甘藷(サツマイモのこと)だが、食べると味も食感もホクホクのジャガイモにほとんど近い。食感はジャガイモより少し固め、味はジャガイモよりも無味無臭かもしれない。
 煮たキャッサバ芋、繊維が縦に流れていて、指で縦に割ると簡単にほぐれていく。中央に細いけれどもとても固い繊維が1本走っていて、それは食えないので取り除き、適当な大きさ(フライドポテト位の)にほぐし分けたキャッサバ芋をバターを絡めるようにして炒める。形はバラバラのデコボコだが、これはもう匂い(バターの匂いだが)も味(バターの味だが)もジャガイモのバター炒めと区別できないものであった。

  「ジャガイモよりも無味無臭」と書いたが、そうでは無いかもしれない。どう表現したらいいのか喩えが見つからないのでそう書いた。とにかく癖はほとんど無い。
 後日、残ったキャッサバ芋を蒸して食ってみた。塩などで味を付けなくてもそのまま普通に食えた。なので、何かしらそこはかとない味があるのだと思われる。とはいえ、その日、その蒸したキャッサバ芋のほとんどはマヨネーズを付けて食った。たぶん、塩を付けて食えば日本酒の肴になると思うが、その日の酒はワインだったので。
 
 
 
 
 キャッサバ(cassava):鉢物・野菜
 トウダイグサ科の常緑低木 原産分布はブラジル、中南米 方言名:キーウム
 キャッサバという名前の由来は文献に無く、不明。原産地の言葉かもしれない。学名の属名はManihotと言い、和名の別称としてマニホットとある。
 方言名のキーウムは木の芋という意味。ただ、『沖縄植物野外活用図鑑』は方言名をタピオカとしてあった。タピオカはtapiocaと書き、たぶん英語。地下に大きな塊根ができ、それから採れる澱粉をタピオカという。沖縄では古くから馴染みのある食べ物で、澱粉も塊根もその親であるキャッサバも共にタピオカと呼ぶこともあったのであろう。
 高さは3mほどに留まり、細い葉は涼しげな感じを受ける。で、観葉植物としても利用されるのであるが、しかし何といっても、タピオカ澱粉は大事な食料。サツマイモと並んで、熱帯地方の重要な主食の一つとなっている。そのまま煮て、食える。

 記:2012.8.31 ガジ丸 →沖縄の飲食目次