埼玉の友人Kが遊びに来て、先々週土曜日(11月24日)、滞在中の友人I氏も一緒にヤンバルへ一泊小旅行へ出かけた。宿泊場所は大宜味村の有機農家Iさん宅。じつはその日、当初の予定では3人で「栄町の飲み屋で一杯」だった。それを急遽変更、変更を提案したのは私。その前の週に知人の有機農家Tさんから「24日に手作りピザ窯を使っての手作りピザパーティーがIさん宅である」と聞いたからだ。
ピザが私の大好物というわけでは無い。手作りピザ窯に興味があり、それでどの程度上手くピザが焼けるかに関心があった。手作りピザ窯で焼いたピザ、大変旨かった。
その日、たまたまイノシシの肉が手に入ったということで、ピザ窯によるイノシシ肉のローストも御馳走になった。以前、同じ場所でイノシシ鍋パーティーがあり、それにも参加させて貰ったが、その時Tさんが「イノシシ肉は生肉の場合は焼いて食べた方がまだ旨い」と言っていた。そして、イノシシのローストはその通り非常に旨かった。
今月24日(よりにもよってクリスマスイブ)に小豆島から友人のOが来沖する。11月12日に「冬休み沖縄いきたい」という短いメールがあり、その後、「こうしたい、あーしたい、どうすればいい?」などと来て、何で一ヶ月も先のことを確定させなければならないんだと内心思いながら「こーすれば、あーすれば」などと返信して、彼の沖縄滞在8泊9日の計画が23日には概ね決まった。しかしその後、Iさん宅でのピザパーティーがあり、ピザもイノシシローストもあんまり旨かったのでOに予定変更を進言した。
「観光バスで沖縄を巡る2日を変更して、ヤンバルへ行こう。Iさん宅に一泊しよう。もしかしたら手作りピザ窯によるピザとイノシシローストが食えるかもしれない」と。それに対する彼の返事は、もちろん「そりゃあいいですね」だったが、その中に、
「手作りピザ窯で焼いた手作りピザとイノシシのローストは、むちゃくちゃリッチですね。都会生活よりやはり田舎生活の方が裕福ですよ。」との感想もあった。
「手作りピザ窯で焼いた手作りピザとイノシシのロースト」は確かに旨い。Oも「美味かろうなぁ」と想像したに違いない。で、少し大げさな感想となったのかもしれないが、私は彼の言う「リッチ」とか「裕福」とかいう言葉に少し違和感を持った。
広辞苑によるとリッチは「豊かなさま。富裕なさま。贅沢なさま」で、裕福は「富んで生活のゆたかなこと」となっている。英語と日本語の違いだけでほぼ同じ意味だ。
「いやいや、手作りピザ窯で焼いた手作りピザとイノシシのローストを食べることは、けして富裕でも贅沢でも無いぞ、そういうことのできる田舎生活だって、けして都会生活より富んで豊かなわけでは無いぞ」と私は思ったのだ。
都会の一流レストランで食べるピザやローストビーフの方がよほど裕福であろう。それらとどちらが美味いかは、私はそういった所でそういったものを食したことが無いので判断できないが、Iさん宅で食べたピザとローストイノシシは最高に美味かった。
料理そのものの味だけでは無い。ピザ窯を作った手間、ピザを手作りした手間、イノシシを入手した手間、それらを調理した手間、そんなこんなの手間が大いなる御馳走だと私は感じた。心が温かくなる。ちなみに、御馳走とは「もてなし」という意味もある。
記:2012.12.7 島乃ガジ丸