ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

楽じゃない楽しみ

2012年12月21日 | 通信-その他・雑感

 「楽」とは何か?と考えてみた。「楽な仕事だ」といった場合の「楽」は体力的にも精神的にも「易しい」という意味で使われることが多い。「楽して生きたい」といった場合の「楽」は「何の苦労も無く」という意味で使われていると思う。
 今年7月中旬から始めた300坪の畑なっぴばる、一人手作業でやり続けている。鎌での草刈りや、鍬での土を耕す作業は体力的になかなかハードである。夏の間は特にきつくて、家に帰るとぐったりだった。一人手作業での畑仕事は楽では無い。
 「楽したい」と思わぬことも無い。ただ、「楽とは何か?」と考え、働かずとも一杯金があり、毎日たっぷりの自由な時間があり、豪華な家に住み、高級レストランで食事し、海外旅行にも行き放題などが「楽」とすると「それはつまらない」となる。「働かずとも食って行けて、毎日寝そべってテレビを観る」なんてのももちろんつまらない。

  播く予定だった種のほとんどを播き終わって、なっぴばるは今、溜池作りと除草作業が主な仕事。手作業による草刈りは便所(和式)座りして行うので腰が痛い、溜池作りも穴掘りは力仕事だし、縁石や敷石設置作業は同じく便所座りなので腰が痛い。
 溜池作りも除草作業も肉体的に苦しいので、その作業そのものは「楽か苦」かと言えば「苦」になる。ではあるが、刈り取った後の地面を見ると「おー、きれいになったじゃねーか」と自己満足に浸ることができる。溜池作りも出来上がりつつあるのを見て満足するし、完成した時の達成感を想像すれば大きな楽しみとなっている。
 楽しみと言えばもちろん、一番の楽しみは作物の収穫とそれを食べることだが、今育ちつつある作物の成長を見ているのも楽しみだし、畑小屋作りも、台風による試練もあったが、とても楽しかったし、今設計中のトイレ作りもきっと楽しいはず。
          

 「楽しい」とは何か?と考えてみた。「楽しい」の楽と「楽」の楽は同じ字だが、広辞苑を引くと「楽しい」は「満足で愉快な気分である」となっている。一方、「楽」は「心身が安らかでたのしいこと」とあり、その説明文の中にある「たのしい」を言いかえると「心身が安らかで満足で愉快な気分であること」となる。両者ほとんど同じ意味のようだが、「楽しい」には「心身が安らか」という条件はつかないようだ。
  そう、ワクワクしたりドキドキしたりするのは「心が安らか」とは言えないが楽しい場合がある。スポーツなどで身体を動かすことは「身体が安らか」とは言えないが、そのスポーツを好きでやっている分にはとても楽しい。
 私の一番の楽しみである作物の収穫、病害虫の被害も無く、無事作物が育ってくれることを願っているが、農薬を使わないと決めている以上、それは作物の生きる力に頼る他ない。病害虫の不安は大きい。畑仕事で腰に痛みを感じ、腕にも肘にも膝にも少々の痛みを感じ、この先、一人手作業を続けて行って体力が持つかどうかの不安もある。

 それでも全体的に見れば畑仕事は楽しい。楽じゃないけど楽しい。それはたぶん、私に余裕があるからだと思う。畑の芋を掘れば取りあえず食ってはいけるという余裕だ。昔はきっと楽が楽しいことだったに違いない。毎日が厳しい労働で、病気、怪我、飢えなどで死が傍にある。そんな中で得る「楽」は、「楽しみ」に直結したのであろう。
          

 記:2012.12.21 島乃ガジ丸


ミサゴ

2012年12月21日 | 動物:鳥

 水を探るタカ

 私が借りて(まだ仮)ているなっぴばるにはいろんな鳥がやってくる。年中いるイソヒヨドリ、ウグイス、セッカ、カラスなどの他、今の時期はセキレイの類やシロハラが目立つ。そして、上空には毎日多くのサシバが舞っている。
 サシバは大きく、飛び方もカッコいいのでよく目立つ。であるが、そのサシバよりもっと大きく、もっとスマートなタカの類が空を時々舞っていることに気付いた。ある日そのタカがなっぴばるの向かいの森にある、高い枯れ木の梢近くの枝に停まった。

  写真を撮って調べるとミサゴという名であった。いかにもタカ科らしい容姿をしているが、タカともワシとも付いていない。『検索入門 野鳥の図鑑』に「ミサゴという名は水深いことを指し、水に飛び込んで魚をとる習性から来ている」とある。
 そこで、知識不足の私に疑問が生まれる。「何で水深いことがミサゴという名になるんだ?」と。ミから水は想像できる。ミからはまた、深(ミとも読む)も想像できる。しかしサゴからは何も想像できない。サゴって何だ?砂子か?三五か?
 なんて悩んでいたのはほんの2、30分。「そうだ『動物名の由来』があった」と本棚から取り出しページを捲る。あった。それには納得できる説明が明快にあった。

 
 ミサゴ(鶚・雎鳩)
 タカ目タカ科の冬鳥 欧州、アジア、北米に広く分布 方言名:タンタグ
 名前の由来は『動物名の由来』に解りやすく納得できるように書かれてあった。「水探(みさぐ)で、水中の魚を捕食することによる」とのこと。
 全長、雄は54~55センチ、雌は63~64センチで、翼開長は160センチもある大型のタカ。鳴き声はキッ、ピッだが、あまり鳴かない。
 上空をゆっくり滑翔し小さく旋回する。時折、停空飛翔(ホバリング)もする。海岸や湖の上を旋回し、上空から急降下して、体全体を水面に突っ込んで魚を捕える。
 日本では四国九州以北から北海道にかけて繁殖し、冬季には北日本から琉球列島へ南下する。河口、海岸、ダム湖などに生息。単独でいることが多く、樹上の高い所によく停まる。見られる時期は9月~5月。単独で樹上の高い所にいるのを9月に私は見た。
 
 正面顔
 いかにもタカ科らしい精悍な顔。
 
 食事中
 獲物がぶら下がっている。何か?はっきり見えないが鳥の頭のように見える。
 
 飛翔

 記:2012.12.15 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野鳥』沖縄野鳥研究会編、(株)新報出版発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行
 『検索入門 野鳥の図鑑』中村登流著、株式会社保育社発行