ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

骨粗鬆インフレ

2013年02月01日 | 通信-政治・経済

 300坪の畑なっぴばるからの初収入は、従姉に半ば強制的に売り付けたホウレンソウ1束の100円、それは今月初めのことで、それ以降ホウレンソウは販売していない。肥料をあげず、水かけもしていない私の野菜たちはすくすく育っていない。ホウレンソウは十分大人なのに市販のそれの三分の一の大きさも無い。それでも、「小さいけれど美味しかったよ」といった従姉からの感想があれば、販売しようと思っていた。
 「あんたのホウレンソウは堅い、昨日スーパーのホウレンソウを食べたら柔らかくて美味しかったさぁ」と数日後、従姉からの感想があった。「柔らかけりゃ美味しのかよ、若い女じゃあるめぇし」と思ったが、ホウレンソウの販売は断念した。
 同じホウレンソウを友人のE子、H子にもあげた。二人からは何の反応も無い、「堅いよ」と文句言うのは悪いと遠慮したのであろう。ところがもう一人、男のKにもあげて、その感想は「お浸しにして食ったよ、シャキシャキしてとても美味しかった」とのこと。Kも私同様「柔らかいもの=美味しい}とはちっとも思わない、流行りものには流されないタイプの男だ。彼は「堅い」を「シャキシャキ」と捉えたようだ。

  先日、何の反応も無かったH子の店(飲食店)に欲しいと言っていたウイキョウを持って行った。その時、私の売り物にならない小さなホウレンソウの話になり、
 「堅いといえばそうかもしれないけど、私はとても美味しかったです」とのこと。彼女は料理人である。彼女が「美味しい」と言えばそれに間違いは無かろう。そういえば、シャキシャキと表現したKもスーパーの仕入れ担当を長くやっていて、いろんなものを食べてその良し悪しを判断してきた。その意味では食べ物のプロである。
 プロの2人が私のホウレンソウを「美味い」と言ってくれた。私自身も美味いと思っているので、私のホウレンソウは美味いに間違いないであろう。ただ、それが売れるかどうかは別の問題で、「堅い=不味い」の世間には受入れられないのかもしれない。
 近所の農夫大先輩の話では、「今のホウレンソウはたっぷり肥料も水もあげてヒョロヒョロ大きく育っていて、中味はスカスカなのだ。だけど、あんたのホウレンソウは堅くても栄養は詰まっている」ということであった。
  私の畑の他の作物、ダイコンもジャガイモも小さい。ダイコンは十分大人なのに、太いものでも直径4センチ程、長さ20センチほどしか無い。ジャガイモも大人だけど、大きいもので直径6~7センチで、4~5センチ程のものが多い。ダイコンは少し苦みがあるが、それでも美味しい。生でも煮ても漬物にしても美味しい。ジャガイモは蒸して食べるとモッチリとした食感で、これはもう、市販のものよりずっと美味しい。
 細胞が詰まっているからホウレンソウはシャキシャキで、ジャガイモはモッチリ食感なのだと思われる。細いけど丈夫でしっかりした骨みたいなものだ。市販のものは骨太だけれど中味はスカスカ(ちょっと言い過ぎかも)、いわば、骨粗鬆症の野菜だ。

 「骨太の何とか」という経済政策が小泉政権の頃にあったと記憶している。今の安部政権もそれに倣うみたいで、日本経済をインフレに導こうとしている。生産者であり消費者である庶民が、明日に希望を持って活動を活発にし、その結果のインフレならいいが、無理やりのインフレは太くても脆いのではないだろうか?骨粗鬆インフレにならないか?
          
          

 記:2013.2.1 島乃ガジ丸


ムナグロ

2013年02月01日 | 動物:鳥

 素人も少しずつ賢くなる

 昨年9月、宮古諸島の旅をした。その最終日、宮古島の東平安名岬、芝を貼られた広場に1羽の鳥がちょこちょこ歩いているのに出会った。写真を撮る。
 旅から帰ってしばらくして、写真の整理をする。整理は写真に写っている内容から「景色」、「人物」、「動物」、「植物」などに分けてそれぞれのフォルダに入れる。動物植物で未知のものはその後、図鑑と照らし合わせて何者か判明させる作業を行う。
  東平安名岬の広場で撮った鳥はきれいに撮れて、大きさもハトくらいあったのですぐに何者か判ると思ったのだが、図鑑にそれと似た鳥は無かった。よって、その鳥は「宮古島動物」というフォルダから「不明鳥」というフォルダに移された。
 ところが、その「不明鳥」というフォルダの中には東平安名岬の鳥と瓜二つの鳥の写真が数枚あった。沖縄島中城村の吉の浦公園で撮った写真、「あっ、同じ鳥だ、しかも、何度か見ている鳥だ」と思い出した。何度か見ているということは珍しい鳥では無いということになる。でも、図鑑には載っていない。そこで、
 「うむ、これは雄雌の違いか、夏羽冬羽の違いだな」と素人の私も気付いた。素人も少しずつ賢くなるのだ。そして、他の図鑑を図書館から借り、調べる。

 ムナグロは、夏羽の色模様は目立つが冬羽は地味。私が撮った写真はいずれも冬羽で、図鑑に載っている写真は目立つ方の夏羽であった。

 
 ムナグロ(胸黒)
 チドリ目チドリ科の旅鳥、または冬鳥 方言名:ターチヂュヤー、ハルチヂュヤー
 名前の由来、資料は無いが容易に想像はつく。胸の色が黒いから。方言名のターチヂュヤー、ハルチヂュヤーも分かりやすい。チドリのウチナーグチはチヅイだがチヂュヤーとも言う。ターは田、ハルは畑のことで、本種が畑、水田で多く見られることから「田んぼのチドリ」、あるいは「畑のチドリ」ということ。
 写真は冬羽で地味であるが、夏羽の色模様は目立つ。「顔から胸や腹の下面のほとんどが黒色で、額から首、脇にかけた上面との間に白い部分がある」とのこと。文献に「最も普通に見られるチドリ類」とあり、私も吉の浦公園などで何度か見ている。しかし、目立つとある夏羽には、残念ながらまだ出会っていない。
 広辞苑に「夏、シベリア・アラスカ西部で繁殖、冬はオーストラリアまで渡り、春秋に日本を通過する」とあり、倭国では春秋の渡り鳥のようである。沖縄では8月から5月にかけて見られるようで、越冬するものもいるようだ。
 畑、水田の他、干潟、草地、海岸などにも生息する。食料は昆虫や甲殻類、ゴカイ、草の実など。鳴き声は「キョパー、キョビッ」とあるが、私は未確認。

 記:2013.1.25 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野鳥』沖縄野鳥研究会編、(株)新報出版発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行
 『検索入門 野鳥の図鑑』中村登流著、株式会社保育社発行
 『西表島フィールド図鑑』横塚眞己人著、実業の日本社発行