今年は記録的干ばつがあり、記録的暑さの夏があって、そして、例年なら夏はまだまだ続く9月の初めから「今はもう秋?」と疑うような風が吹いた。
9月初めの風は台風の影響によるものと私は判断していた。そしてその通り、その後4~5日は夏の気候が戻った。でも、台風はその後も続々発生し、沖縄島を直接襲うことは無かったが、遠くから影響を与え、秋風?と思うような涼しい風を流してくれた。そうこうしているうちに彼岸も過ぎて、疑うこと無い秋風となっていた。
秋が早く来たからといって農夫に困ることは何もない。むしろ、肉体的には大いに助かっている。長袖Tシャツが30分でびっしょりになり、着替えの長袖Tシャツがもう1枚必要だったのが、今は1枚で済んでいる。日中の日差しはまだまだ熱いのだが、風は秋なので、汗は、シャツをびっしょり濡らすほどではない。
過日、ヤンバル大宜味村から知人のTさんが那覇に用事で来て、そのついでに私とも会ってくれた。Tさんは有機無農薬農夫であり、玄人並みの大工をやり、料理は大得意で農夫仲間のパーティーなどの際は主任コックとなり、川に入ってスッポンやウナギ、海に潜ってイカ、タコ、貝や魚を獲ってくる漁師にもなる生活万能人。
「このあいだ潜ったら海の水が冷たかった、例年より早く秋になっている。海の水が冷たいと、もしかしたらもう、今年は台風が無いかもしれない」とTさんが言う。「そういえば、台風は海水温が高いとその熱をエネルギーとして発達するんだったな、Tさんの言うことは正しいかもな」と私は思った。ところがしかし、生活貧能人である私が「さもありなん」と納得した生活万能人Tさんの予想は、当らなかった。
先週土曜日(5日)、台風23号が沖縄近海にやってきて、宮古島と沖縄島を午前中から暴風圏に巻き込んだ。宮古島は今年何度目かの台風であるが、沖縄島が暴風圏に入ったのは今年初。前日に、ある程度の台風対策は実家も、宜野湾の畑も、300坪のなっぴばるも終えていた。ただ、なっぴばるで気になる箇所があったので、土曜日の朝、強風の中なっぴばるへ出かけ、気になる箇所を気にならない程度に補強した。
その日は夕方から那覇の大きなホテルで友人の娘の結婚披露宴があった。出かけた。披露宴は滞りなく済み、畑が心配で明日 も朝早く出勤を予定していた私は、友人たちを残して9時には失礼した。ホテルへの行きも帰りも、披露宴の間も、そして、実家に着いて寝るまでの間も、いかにも台風の暴風圏らしい風は吹いていたが、心配していた程では無かった。「これなら、畑にも大きな被害はないかもしれない」と期待した。
翌朝、実家から直接畑へ行く。期待通り大きな被害は無かった。バナナが4~5本倒れて、パパイアが1本傾いている程度。畑小屋には何の不具合も無かった。ホッと一安心したいところだが、しかしそうはいかなかった。台風24号が沖縄島に向かっているというニュースがラジオから流れた。非常に強い台風とのことであった。
24号は噂通りの強さで、月曜日の午後にやってきた。ではあったが、予想進路の北寄りを通ったので沖縄島中南部ではそう激しい風は無かった。お陰さまでさらなる被害は無く安堵。大雨で裏の沼に水が戻って、さらに安堵。一喜一憂の連続台風であった。
記:2013.10.11 島乃ガジ丸