ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

一喜一憂の連続台風

2013年10月11日 | 通信-環境・自然

 今年は記録的干ばつがあり、記録的暑さの夏があって、そして、例年なら夏はまだまだ続く9月の初めから「今はもう秋?」と疑うような風が吹いた。
 9月初めの風は台風の影響によるものと私は判断していた。そしてその通り、その後4~5日は夏の気候が戻った。でも、台風はその後も続々発生し、沖縄島を直接襲うことは無かったが、遠くから影響を与え、秋風?と思うような涼しい風を流してくれた。そうこうしているうちに彼岸も過ぎて、疑うこと無い秋風となっていた。
 秋が早く来たからといって農夫に困ることは何もない。むしろ、肉体的には大いに助かっている。長袖Tシャツが30分でびっしょりになり、着替えの長袖Tシャツがもう1枚必要だったのが、今は1枚で済んでいる。日中の日差しはまだまだ熱いのだが、風は秋なので、汗は、シャツをびっしょり濡らすほどではない。

 過日、ヤンバル大宜味村から知人のTさんが那覇に用事で来て、そのついでに私とも会ってくれた。Tさんは有機無農薬農夫であり、玄人並みの大工をやり、料理は大得意で農夫仲間のパーティーなどの際は主任コックとなり、川に入ってスッポンやウナギ、海に潜ってイカ、タコ、貝や魚を獲ってくる漁師にもなる生活万能人。
 「このあいだ潜ったら海の水が冷たかった、例年より早く秋になっている。海の水が冷たいと、もしかしたらもう、今年は台風が無いかもしれない」とTさんが言う。「そういえば、台風は海水温が高いとその熱をエネルギーとして発達するんだったな、Tさんの言うことは正しいかもな」と私は思った。ところがしかし、生活貧能人である私が「さもありなん」と納得した生活万能人Tさんの予想は、当らなかった。

  先週土曜日(5日)、台風23号が沖縄近海にやってきて、宮古島と沖縄島を午前中から暴風圏に巻き込んだ。宮古島は今年何度目かの台風であるが、沖縄島が暴風圏に入ったのは今年初。前日に、ある程度の台風対策は実家も、宜野湾の畑も、300坪のなっぴばるも終えていた。ただ、なっぴばるで気になる箇所があったので、土曜日の朝、強風の中なっぴばるへ出かけ、気になる箇所を気にならない程度に補強した。
 その日は夕方から那覇の大きなホテルで友人の娘の結婚披露宴があった。出かけた。披露宴は滞りなく済み、畑が心配で明日 も朝早く出勤を予定していた私は、友人たちを残して9時には失礼した。ホテルへの行きも帰りも、披露宴の間も、そして、実家に着いて寝るまでの間も、いかにも台風の暴風圏らしい風は吹いていたが、心配していた程では無かった。「これなら、畑にも大きな被害はないかもしれない」と期待した。

 翌朝、実家から直接畑へ行く。期待通り大きな被害は無かった。バナナが4~5本倒れて、パパイアが1本傾いている程度。畑小屋には何の不具合も無かった。ホッと一安心したいところだが、しかしそうはいかなかった。台風24号が沖縄島に向かっているというニュースがラジオから流れた。非常に強い台風とのことであった。
 24号は噂通りの強さで、月曜日の午後にやってきた。ではあったが、予想進路の北寄りを通ったので沖縄島中南部ではそう激しい風は無かった。お陰さまでさらなる被害は無く安堵。大雨で裏の沼に水が戻って、さらに安堵。一喜一憂の連続台風であった。
          
          

 記:2013.10.11 島乃ガジ丸


リョウリバナナ

2013年10月11日 | 飲食:食べ物(材料)

 果物としてもいける

 300坪の畑なっぴばるを借りた時、既にそこにはいくつかの作物が植えられていた。前に借りていた友人の脱サラ農夫Kが植えたものだ。ニラ、ニンニク、甘藷、ニガナ、ウコン、バンシルー、アセロラ、パパイア、バナナなどがあった。
 Kが植えたバナナは彼によると「島バナナ」とのこと。実は小さいが味が良く、人気のバナナで高い値段で売れるもの。貧乏の私にとっては換金作物のエースだ。ところが今年は長く続いた干ばつで実着きが悪かった。今のところ1房しかない。
 なっぴばるの東隣の畑はなっぴばるとの境界近くにたくさんの、ざっと数えて40~50株のバナナが植えられている。植えられてはいるが収穫はされていない。持ち主が年取って畑仕事ができなくなって放っておかれているとのこと。
  隣のバナナはKによると「リョウリバナナ」とのこと。「料理ってことか?火を通して食うってことか?」と訊くと、「そう、東南アジアでは主食になっているらしい。青いうちに収穫して焼いたり揚げたりするようだ。イモのような味がする」とのこと。
 その隣のバナナはいくつも、見える範囲でも今6房の実を着けている。その内3房はなっぴばるの敷地内に実を垂れ下げている。なっぴばるの敷地内に垂れ下がっていたものは他にも2房あり、それらは8月末~9月に倒れ、既に私が収穫している。

  敷地内に落ちた果実はその敷地のものという法律が確かあったはず。よって、私は堂々と収穫したわけ。そして、さっそく料理してみた。Kの言う通りイモのような味、イモより水分が少々多めできめが細かいかもしれない。味は淡白、甘みも少ない。
 私は皮ごとオーブンで焼いて、蒸し器で蒸しての2通りの調理で食べたが、蒸した方が食べやすいと感じられた。次はソテーしてみようと思った。
 ソテーしようと思って2週間が過ぎて、「あっ!バナナ」と思い出して、バナナを入れてあった袋を開くと、リョウリバナナは黄色くなっていた。そういえばKが「熟したら普通のバナナと同じく甘くなるよ」と言っていたのを思い出して、で、食べてみた。甘みは少々落ちて酸味が少々強かったが、確かに普通の果物のバナナの味であった。 

  文献に「甘みは少なくでんぷん質、ヤニ臭や渋みをもち生食できない」とあったが、それは未熟のものの場合で、完熟したものは普通のバナナの味で甘味もある。
 茎は太く大型で、花序は60~150センチ。隣の畑のもの、いくつか実を着けているが、花序の長さはだいたい90センチ内外。6~12段着いている。
 煮たり焼いたり天ぷらなどにして食す。干しバナナにもされる。皮は、手では剥きにくいのでナイフで剥く。青いものを皮を剥いて、すりおろして、それを丸めて油で揚げるという料理もある。熟すと黄色くなり、皮も手で簡単に剥ける。ただし、それは隣の畑のリョウリバナナに関して言えるもので、他の品種のリョウリバナナについては不明。
 
 
 
 リョウリバナナ(料理甘蕉)
 バショウ科の多年草 東南アジア原産 方言名:バサナイ
 名前の由来、資料はないがおよそで分かる。生食では無く料理して(火を通して)食べることからリョウリ(料理)であろう。甘蕉はバナナの漢字表記。
 別名にサンカクバナナとあるが、おそらく「果実は角ばり」からサンカク(三角)だと思われる。ただ、私の写真のバナナは三角では無く四角。文献の写真にタヒチ島のリョウリバナナがあり、それは「四角に角ばる」とあった。リョウリバナナにもいくつか品種があって、最初の頃によく見かけたものは三角に角ばっていたのだと思われる。
 ちなみに学名はMusa paradisiasa L.

 記:2013.10.5 ガジ丸 →沖縄の飲食目次