質素倹約農夫は、夜の天気予報を聞いて翌日の予定を立てている。概ねは「降っていなければ畑、雨なら図書館、またはその他の雑用」となっている。畑なら弁当の準備をし、図書館なら調べるものの写真整理などをし、雑用ならそれに必要な準備をする。
質素倹約オジサンはまた、ガソリン代節約のため、雑用で他所へ出かける場合は、その近くで済ませることのできる用事もその日の計画に入れる。いくつかの用事を一遍で済ませれば、時間とガソリン代の節約となる。そんな生活をしているので、質素倹約オジサンにとって天気予報は大事。予報が当たってくれないと無駄が出てしまう。
6月1日、天気は曇り、降水確率20%の予報であった。朝、窓を開け外を見ると、細かな雨が降っていたが、「じき止むだろう」と予報を信じ、畑へ出た。
小雨は止まなかったが、ごく弱い。麦藁帽子で十分雨除けになる程度。で、麦藁帽子を被って除草をし、ニラの収穫などをした。「そのうち止むだろう」と思ったのだが、さにあらず、雨はしだいに強くなってきて麦藁帽子では間に合わないようになった。畑小屋に一旦避難する。タバコに火を点けてしばし待つ。・・・雨は止まなかった。タバコを吸い終え暫らく待っても止まなかった。ということで諦めて、9時半には引き上げた。
その後、家とは逆方向にあるスーパーへ寄って買い物をし、さらに遠回りして私好みのパンと玉子を置いてある八百屋へ回ったが、好みの2つは売り切れ。「時間とガソリン代を無駄にしたなぁ」とガッカリしたのも束の間、ふと、畑の物置の扉を閉めていないのに気付いた。しょうがなくそこから畑へ戻り、小雨降る中、戸締りして帰ったのだが、「時間とガソリン代の無駄」が倍になってしまって、「あーぁ」と溜息をつく。
6月2日、天気は雨の予報であった。朝、窓を開け外を見ると、雨は降っていなかったが、空は曇っていて、夜中雨が降ったらしく路面は濡れていた。「じき降るだろう」と予報を信じ、畑へは行かず家でガジ丸HP用の記事書き、昆虫図鑑とにらめっこして昆虫調べなどする。ところが、昼前になっても窓の外、雨は落ちてこない。それでも「そのうち降るだろう」と思って、畑へは行かず、金曜日の職場へ出かけた。
金曜日の職場であれこれ雑用をこなしているうちに午後2時を過ぎた。外を見ると空が明るい。「降らねぇじゃねーか!」と思いつつ、そこを出て、ホームセンターへ行き、バナナ用の支柱材を買って畑へ。畑へ着いた頃は空は晴れて陽が射していた。
畑仕事の予定じゃなかったのでその日は作業着では無く普段着だった。バナナの支柱立てをしているとたっぷり汗をかいた。3着ある作業着なら汗で濡れても構わないが、普段着であるジーンズは1着しかない。洗濯しなきゃならない。無駄な洗濯となった。
6月3日、天気は曇りの予報であった。朝、窓を開け外を見ると、予報通りの曇り空、畑へ出た。4時前から雨となっり、いつもより30分ほど早く帰った。
帰る車の中でふと、「扉を閉めに行ったり、洗濯するのは無駄なことか?」と、昨日一昨日のことを思い出した。「ガソリン代は無駄だったかもしれないが、そもそも無駄な時間ってあるの?」と昨日一昨日の私に問うた。考えた。時間って何だ?と面倒な方向に思考は進みかけたが、結果「生きていたんだったら無駄じゃねーよ」となった。
記:2014.6.7 島乃ガジ丸