ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

生きるに必要な栄養

2014年09月05日 | 通信-社会・生活

 私の日常の食生活、以前は一日二食であった。朝食はその日一日のエネルギー、車で言えばその日一日動くだけのガソリンを補充するみたいなもの。夕食は生命維持のための栄養補給という考え方だ。朝食の、例えばご飯と味噌汁を一杯ずつ、目刺し4、5本、漬物少々で得たエネルギーは、夕食まで十分持った。ところが、畑仕事で体を動かし汗をたっぷりかくと、朝食でのエネルギーだけでは持たなくなり、朝から夕方まで働く冬場(概ね10月から6月の梅雨明けまで)は朝弁当を作って、昼食も摂るようにした。
 夏の間はだいたい12時頃には畑を引き上げる。なので、弁当を持って行く必要は無いのだが、夏の5~6時間の肉体労働は激しく疲労するので、芋1個とかビスケットとかの軽い弁当を持って行って、畑仕事を終えた12時頃に食べて、家に帰る車の運転中、栄養不足でめまいを起こさないようにしている。事故でも起こしたら大変だ。

  私の食事内容は良質である、と自分では思っている。野菜は概ね自分の畑から採れた無農薬無施肥の自然栽培のもの。7月の台風8号にやられて今は、ニラとネギとオクラくらいしか採れるものは無いが、この一ヶ月ほど毎日ニラとオクラだが、自然栽培の野菜は栄養豊富らしいので、たぶんそれだけで野菜からの栄養は足りていると思う。
 スーパーで買うのは概ね肉、魚、豆腐など。それと、夜の主食であるビール(発泡酒)や心の栄養となる酒とタバコも買っている。朝食と昼食の主食は概ね芋(甘藷)だが、夜もそれでは生き甲斐が無い。楽しみが無けりゃ生きていてもつまらない。
 生命維持のための栄養補給、及び生命活動に要するエネルギー補給が食事の目的の大元だが、それだけでは無いと私は思う。食事をして喜びを感じることも食事の大切な目的だと思う。どんなに辛い仕事であっても、家に帰って美味しいご飯を食べれば、そこに喜びを感じることができれば疲れも吹っ飛ぶというもの。喜びは生きるに必要な栄養だ。
          

  先日、友人E子の母親に久々に会い、久々にユンタク(おしゃべり)した。最近、夫を亡くし一人暮らしとなった老女はデイサービスに通っていると言う。デイサービスでは朝昼晩の3食を提供しているらしいが、その食事が「どうもねぇ・・・」らしい。
 「くぬメェー(前)やシカダンどー、金ちゃんヌードルやたんどー。金ちゃんヌードルとぅキュウリぬ漬物がウヒグヮーでぃユーバン(夕飯)やたんどー」と言う。
 この前はびっくりした・・・金ちゃんヌードルとキュウリの漬物少しが夕食だった、という意味だが、これには私もびっくり。老人にとって食事こそ人生の楽しみ、それがカップ麺ってか?そのデイサービスの職員は、老人達の食事を餌とでも思っているのか?生命維持のための栄養補給を満たすならカップ麺で構わないと思っているのか?

 ちなみに私は、自分の畑は無農薬にこだわっているが、スーパーで買う野菜が、産地は気にするが、無農薬かどうかについてはそう気にしない。私が食べ物に最も気を使っているのは美味しいかどうかだ。美味しく食べることが何よりの喜びとなる。
 もっと贅沢を言わせて貰えば、「好きな人が傍にいて楽しい会話をしながらの食事」が理想だ。好きな人の手料理であれば、それが味に少々不安があったとしても、心の喜びは舌の味覚感覚を麻痺させるだろう。でもそんなこと、もう無いな、残念無念。
          

 記:2014.9.5 島乃ガジ丸


イソカネタタキ

2014年09月05日 | 動物:昆虫-直翅目(バッタ他)

 大雑把性質の罪

 事件は今年(2014年)8月10日に起きた。何の罪もない1匹の小さな虫が、大雑把で細かいことに気付かないオジサン(私のこと)によって、その命を奪われた。 
 オジサンは確信犯ではない。オジサンがほんの少しでも細かいことに気付く性質であったなら不幸な事件は回避できる可能性は大であった。その前日から起きている不思議な現象をオジサンがもう少し深く考えていたなら、事件は起きなかったであろう。

  オジサンの住まいはワンルームの学生向けアパート、部屋の西側は畑になっていて、雑木雑草も多く生えていて住宅街にしては緑豊かである。毎朝鳥の声に起こされ、夏は蝉の声が煩く、夜は蛙が大声で叫び、年中虫の声が聞こえる。
 事件の前日、オジサンは聞き慣れない虫の声を聞いた。ここではかつて聞いたことのない声、よく耳にするコオロギやタイワンクツワムシなどとは全然違う声。
 その声から「これはカネタタキというものではないか?」とオジサンは思った。カネタタキを見たことはないが、昆虫図鑑を何度も捲っ ているのでバッタの類にはそんな面白い名前の虫もいることを知っていた。「鉦を叩く音が名前の由来であれば、この声はそう喩えても間違いないな」と聞こえる良い声であった。
 鳴き声は近くから聞こえた。近いといってももちろん、部屋の中にいるなどとはちっとも思わない。窓を開けっ放しにしているのでその窓の近くだろうと判断した。しかし、声は窓とは反対の、台所の方から聞こえる。「年取って耳も悪くなったのかなぁ」ということにして、そのまま、声の元を探すこと無く1日が過ぎた。

  8月10日の朝、部屋の電灯の上でモゾモゾ動いているものに気付いた。「あちゃ、ゴキブリか?」と思い殺虫剤を手にした。ゴキブリにしては小さく、形も細長いので、「カメムシの類か?」と思い直したが、カメムシは手にすると臭いので「どっちでもいいや」と殺虫剤をその虫めがけて噴射した。虫はよろよろフラフラと机の上に落ちた。
 見るとそれはバッタの類であった。「あっ、もしかしてお前、昨日きれいな声を聞かせてくれていたカネタタキの類か?そうでありゃ悪いことをした、お前だと知っていればこんなことしなかったんだが、頼む、死なないでくれ、良い声していたよ、お前は死なせたくない」とオジサンは祈ったが、ゴキブリ用の殺虫剤は強力であった。

 
 イソカネタタキ(磯鉦叩き):バッタ目の昆虫
 カネタタキ科 関東以南~南西諸島、台湾に分布する 方言名:不詳
 名前の由来は資料がなく不明。カネタタキが広辞苑にあり、漢字表記の鉦叩も広辞苑から。その説明文の中に「ちんちんと鳴く」とあり、ちんちんを鉦を叩く音に見立てたものと思われる。イソ(磯)については、『沖縄昆虫野外観察図鑑』に「海岸のアダン、クサトベラなどの低木林から、やや内陸部のススキ原まで普通に見られる」とあり、海岸にはいないカネタタキに対比して磯と付けられたものと思われる。
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』に「内陸部ではカネタタキと混棲することもある」とあったが、見た目では「雄は翅の先端に一対の黒点を有し」と「翅の長さはカネタタキに比べて小さい」とのことで区別でき、鳴き声でも、本種は「チリチリチリ・・・」という連続音で、カネタタキは「チンチンチン」と鳴くので容易に区別できるとのこと。
 雌は雄よりやや大きく、翅が無い。体長は11~14ミリ、出現は3~12月。
 
 横から
 
 雌

 記:2014.8.27 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行
 『学研生物図鑑』本間三郎編、株式会社学習研究社発行
 『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方』福田春夫、他著、株式会社南方新社社発行


ミドリグンバイウンカ

2014年09月05日 | 動物:昆虫-カメムシ・セミ

 爽やか色の小さな虫

 今(9月1日)、沖縄はまだまだ夏、9月一杯は「熱いぜ!」と怒鳴りたくなる夏が続く。梅雨明けして1週間から10日ほど過ぎて、本格的な夏になって、春にわんさかいたゾウムシ類、サルハムシ、テントウムシ類は少なくなったが、バッタ類がそれをカバーするかのようにぐんと増えた。私が知っているもので、一番に目立つものはタイワンツチイナゴ、これは大きいので目立つ、その他、クルマバッタ、マダラバッタ、ショウリョウバッタなどはその数の多さで目立つ。他にも多くのバッタ類がいるが、何者か不明。

  ミドリグンバイウンカ、淡い緑色をした小さな虫だが、形に特徴があり、体の色が見た目爽やかで、顔に着いたとしてもちっとも気にならない虫で、梅雨の頃よく目にした。参考文献には「成虫の出現は6~10月」とあるので、今も畑のどこかに生息しているかもしれないが、ところが、梅雨明けして暑くなってからは目にしていない。
 あんまりわんさかいるバッタ類に住処を追われているのだろうか?あるいはまた、彼らはオジサン(私のこと)同様、暑いのが苦手な体質かもしれない。ひょっとしたら、「いやいやいや、沖縄の夏って、俺の遺伝子記憶によると、昔はこれほど暑くはなかったぜ、ご先祖様たちは夏の間も畑のあちこちで元気に動き回っていたぜ」かもしれない。
 オジサンも感じている、年々夏の暑さが増していることを。「あんた、それは違うぜ、あんたが暑いって感じているのは年取ったせいもあるぜ」なのかもしれないが。

 
 ミドリグンバイウンカ(緑軍配浮塵子):半翅目の昆虫
 グンバイウンカ科 本州~南西諸島、台湾、中国などに分布 方言名:不詳
 漢字表記の浮塵子は広辞苑にあった。それから想像すると、「宙に浮かぶ塵のように小さなもの」となる。ミドリグンバイの由来については資料が無く不明だが、翅の形が軍配形をしているのでグンバイ、体が淡緑色をしているのでミドリなのであろう。
 体長は6~7ミリ。本州~南西諸島に分布するが、南西諸島での分布の詳細があり、奄美大島、沖縄島、南北大東島、宮古島、八重山諸島とのこと。南西諸島の他に、小笠原にも分布するとのこと。「沖縄では数は少ない、大東島には多い」と文献にあったが、私の畑では5月下旬から6月上旬にかけて数度目にした。成虫の出現は6~10月。
 体は淡緑色をしていて、翅は透明でその淡緑色が透けて見える。翅も淡緑色を帯びており、前翅の脈は緑色をしている。見た目爽やかで、農夫の害にもならない。
 寄主は、「本土ではクワにつくと言われている」とあり、沖縄では「シマグワ?」と?マークがついており、はっきりしていないようだ。畑ではハマイヌビワの葉上にいた。

 記:2014.9.1 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行
 『学研生物図鑑』本間三郎編、株式会社学習研究社発行
 『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方』福田春夫、他著、株式会社南方新社社発行