ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

身辺整理の時期

2014年09月12日 | 通信-社会・生活

 父が死んだ後の処理において、保険関係の書類、固定資産関係の書類がどこにあるか分からず(結局不明なままのものもいくつかある)、大いに難儀した。家の財産や各自の保険関係についは全て母が管理していたようで、その母が父より先に死んだものだから管理者不在となってしまったのだ。その経験から、私は私の身辺整理をちゃんとやっておこうと決めた。決めたけど、あと10年位は生きるだろうと思い、まだやっていない。
  ただし、財産(たいして無いけど)処分で後の人(弟とか甥とか従姉妹たちとか友人たちとか)が難儀しないためというのとは別の目的で、身辺整理はもう10年以上も前からやっている。たいして無い財産の整理ではなく、持ち物の整理。
 ワンボックスカーに載るだけの持ち物で生活したいと願っている。ワンボックスカーの屋根にソーラーパネルを取付け、車内部のとは別のバッテリーを備え、小さな冷蔵庫とラジオくらいは使用可能な電力を得、車の中に布団を敷き寝られるようにする。いつでもどこにでも行ける状態にする。住所不定無職の男になるわけだが、カッコ良く言えば、住所は地球上であり、職業はさすらいの農夫だ。行った先々で農地を借り耕す。
          

 先日、9月10日の昼前、帰宅する大先輩農夫N爺様に声をかけられた。畑の草取りをしていた私は、手を止めて爺様のいる道端まで行った。「何している?」、「今は草刈です」と少しユンタク(おしゃべり)していたら、ふと、センダングサの花が咲いているのに気付いた。繁殖力が強いので種ができると厄介な草、で、草に近付き、抜いた。
  1本目の茎を抜いた時、右手首にチクっとした痛みを感じた。「棘のある草でもあったか?」と思ったが、気にせず2本目を抜いたら、またも同じ個所にチクッ、そのすぐ後に鼻の穴の中に何かが入る気配を感じたかと思ったら、またもチクッ。で、思い出した。その近くにガヤバジ(チビアシナガバチ)の巣があったことを。
 ブログ『キアシナガバチ』の頁は、その副題を『ハチの経験はイチ』としているが、そこに書いてある通り、私は、ハチに刺された経験は過去に1回だけだった。その記事は2005年8月付けで、その中に「20年ほど前」とハチに刺された時期を書いてある。よって、私がハチに刺されたのは今からだと30年ほど前となる。
 30年も経って「ハチの経験、ニ、サン、シ」がほんの数秒の間に加わった。刺された痛みはたいしたことない。鼻の穴の中の違和感は長く続いたが、手首の腫れも10分後には引いた。痛みよりは、うっかりハチに刺されたことが問題だと私は思った。
          

 「うっかり」が問題なのだ。刺したハチがたまたま小さなガヤバジだったから良かったものの、これがスズメバチ類のような強力な毒バチだったならどうなっていたか?あるいは、藪の中に入って、「うっかり」ハブを踏みつけて、怒ったハブに噛まれたらどうするんだ?「うっかり」ハンドルを切り損ねて対向車と正面衝突したら・・・。
 じつは、運転中にヒヤっとすることがたまにある。雨の坂道でスリップしたこと、子供が急に飛び出して間一髪だったことなど。「うっかり」は年齢と共に増えていくはず。そうなのだ、私は明日の命も不確定なのだ。身辺整理の時期は今なのだと悟った。
 もう一つじつは、ハチに刺される前日、楽しい夢ばかり見る楽天家の私が、その日は何と、脳梗塞で倒れる夢を見た。正夢にならないとも限らない。時期は今なのだ。

 記:2014.9.12 島乃ガジ丸


キスジセアカカギバラバチ

2014年09月12日 | 動物:昆虫-膜翅目(ハチ他)

 鍵か鉤か?

 ウチナーンチュの全体がそうであるのか調査したことが無いので不明だが、少なくとも私の周りのディキランヌー(できない者、特に勉強ができない者という意)であった友人達は鍵と錠とを明確に区別していない。例えば南京錠などのこともカギと呼ぶ。
  「鍵をかけて」の際のカギは概ね正しい日本語としての鍵だが、例えば、駐車場の入口にチェーンを渡して、一方に錠を取り付ける際に「鍵を持ってきてくれ」と、例えば国語が苦手だった友人Oが言ったとすると、彼は「南京錠を持ってきてくれ」という意味で「鍵を」と言っている。長い付き合いの私は迷わず、南京錠を取りに行く。

 高校生の頃はOよりほんの少しだけ国語のできた私は、大学を日本文学科にしたものだから、数年後にはOよりずっと国語ができるようになった。Oと比べればそうだが、大 学時代は劣等生の部類であった。難解な言葉や漢字に四苦八苦していた。
 そんな私なので、今回キスジセアカカギバラバチの漢字を想像した際、カギバラのカギを最初は鍵と判断した。鍵の形をした腹、「そんな腹ってどんな?どれどれ」とキスジセアカカギバラバチの写真をマジマジと見た。が、どうも、鍵の形をしていない。
 大学の日本文学科で劣等生だった私は、劣等生だったお陰で5年も大学に通う羽目になったが、5年も通ったお陰かどうか、腐っても日本文学科みたいになっている。カギには鍵だけで無く鉤という漢字もあることを知っている。鉤が先の曲がった形の物という意味であることも知っている。先の曲がった形の腹、それならありそうだ。

 
 キスジセアカカギバラバチ(黄筋背赤鉤腹蜂):膜翅目の昆虫
 カギバラバチ科 本州~九州、奄美大島、沖縄島、台湾などに分布 方言名:不詳
 名前の由来は資料が無く正確には不明。漢字表記の黄筋背赤鉤腹蜂も私の想像から。腹側に黄色の筋があり、背中側は赤色をしているのでキスジセアカ(黄筋背赤)、腹の基部が曲がっていることからカギバラ(鉤腹)ということにした。
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』に「沖縄では採集例が少なく生態についてはよくわかっていない」とあった。私は私の畑で5月から6月の間に何度も見ている。「幼虫は葉を食べる昆虫の幼虫に寄生するらしい」ともあったが、それについては未確認。私の畑ではアカギの葉上、イヌビワの葉上にいて、しばらくじっと止まっていた。
 体長は7~12ミリ、寄主は昆虫類。腹は黒色に黄筋、背は赤とよく目立つ。
 
 横から

 記:2014.9.7 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行
 『学研生物図鑑』本間三郎編、株式会社学習研究社発行
 『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方』福田春夫、他著、株式会社南方新社社発行


フクダアリバチ

2014年09月12日 | 動物:昆虫-膜翅目(ハチ他)

 身長3.5倍

 昆虫図鑑を見ると、それには各昆虫の大きさが記されている。昆虫の大きさには概ね範囲を示す「~」が付く。同じ種の虫でもそれぞれ個体差があるのだ。もちろん、それは当然のことと私も直感的に理解できる。哺乳類人という種も個体差がある。人類のモンゴロイド種のウチナーンチュにだって個体差はある。色白、色黒、髪ふさふさ、禿げ頭、吊り目、垂れ目、太っちょ、痩せっぽち、のっぽ、ちび、などなど。
  のっぽ、ちび、つまり背の高い人と低い人を比べる。もちろん、大人(成体)で、その雄を比べて見ると、私の周りには190センチ近い人と150センチを少し超える人がいる。2人を並べてみると大人と子供のようである。が、大した差では無い。
 世界には、2mをゆうに超える人がいる。プロバスケット選手などに多い。小さな人の例は知らないが、病気で無い限り140センチくらいではないだろうか。背の高い人が250センチあったとしてもその差は2倍弱。大した差では無い。宇宙人が地球にやってきて、彼らを採集したとしても、二人とも同じ 哺乳類地球人の範疇に入れるだろう。

 フクダアリバチの体長は、記憶している限り、私が今まで紹介してきた昆虫の中では最も幅広い。『沖縄昆虫野外観察図鑑』によると4~14ミリとなっている。4ミリと14ミリでは3.5倍差となる。哺乳類人に喩えたら、身長160センチの人もいれば560センチの人もいることになる。あののっぽのキリンだって4mを超える程度だ。5m60センチは怪物だ、怪獣だ、ウルトラマンを呼ばなければならない。
 宇宙人が地球にやってきて、1m70センチの私と5m60センチの人と並んで立っていたら、おそらく、最初は大人と赤子だと判断するに違いない。

 
 フクダアリバチ(ふくだ蟻蜂):膜翅目の昆虫
 アリバチ科 九州、奄美大島、沖縄に分布 方言名:不詳
 名前の由来は資料が無く不明。福田さんという人が学術的発見をしたことからフクダかもしれないと思ったが、そういった記述は私が参考にいている文献には無かった。アリバチ(蟻蜂)については『沖縄昆虫野外観察図鑑』に「雌は無翅でアリに似ている」とあった。雌の姿をもしかしたら見ているかもしれないが、アリと思って見逃したかも。
 同書に「沖縄では採集例が少なく、稀である」とあったが、雄の姿は以前勤めていた職場で何度も見ていて、今年(2014年)春には私の畑でも見つけた。
 体長は4~14ミリ、成虫の出現は5月から7月と9月から10月。成虫は体全体が鮮やかな赤色で、翅の色は黒っぽく、よく目立つ。幼虫の寄主は昆虫類で「地中にあるハナバチなどの巣に住み、蛹などに外部寄生する」とのこと。
 
 横から

 記:2014.9.7 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行
 『学研生物図鑑』本間三郎編、株式会社学習研究社発行
 『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方』福田春夫、他著、株式会社南方新社社発行