去年(2015年)2月、冷たいものだけでなく熱いものを飲んでも歯が沁みたので、久しぶり(7年ぶりくらい)に歯医者へ行ったら「歯周病ですね」と診断された。「歳相応だ、放っておけ」と放っておいたら、今年8月初め頃から激しく沁みて強い痛みも感じるようになった。「虫歯かな?」と思って9月30日、鏡の前で口を開け激しく沁みる右下奥歯を触るとやはりそこが痛い。動かすと歯がグラグラした。
歯をグラグラさせたのが拙かったのか、その後ずっと右下奥歯辺りに違和感が残り、四六時中痛みを感じる。堅めの食べ物を右下奥歯で噛むと激しく痛い。冷たいもの熱いものも右下奥歯へは送れない。何もしなくても鈍痛はずっとある。
・・・と同じような内容のことを10月4日付ガジ丸のお話『ろうかの足音』に書いているが、その後、右下奥歯の鈍痛はその数日後8日か9日辺りには治まった。物を噛み潰すのは左奥歯に任せっきりであったが、「動かさないものは衰える」と思い、柔らかい食べ物は右奥歯でも噛むようにした。柔らかい食べ物とは豆腐やバナナなど。バナナはタイミング良く畑から収穫できていて、10月上旬はバナナが昼飯となった。畑からは柔らか食材のヘチマやトウガンも収穫できていて、朝飯晩飯のおかずになっている。
10月12日、右下奥歯の痛みはほぼ消えた。せんべいを噛むとまだ痛いが、豆腐、バナナ、トウガンなどの柔らかさから、ニンジン、オクラなどの少し堅めの野菜まで右下奥歯で噛み潰すことができるようになった。まったく違和感がないわけでは無い。右奥歯を上下で強く噛みしめると、下の方が少し動くのを感じ、痛みも少しある。右下奥歯に歯ブラシを当てゴシゴシ磨いている時にも痛みがある。が、我慢できない痛みではない。
いずれにせよ、8月9月の痛みに比べればずっと良くなっている。右下奥歯を指でグラグラさせたのは9月30日、その後四六時中痛みを感じていたのだが、放っておけば2週間ほどで治るんだと思い、そして、「グラグラさせて刺激を与えたのが功を奏したかも」と考え直し、12日の夜にも右下奥歯を指でグラグラさせた。そして、
昨日(20日)の時点での右下奥歯の状況は、歯ブラシでゴシゴシした時にはちょっと痛いが、何もしなければ痛みは無い。歯茎の違和感もほとんど消えた。冷たいものを右下奥歯に送っても大丈夫、肉も右下奥歯で噛み潰すことができるようになった。
右下奥歯の状態が改善したわけは、「右下奥歯をグラグラさせて刺激を与えた」お陰なのか、「堅いものを右下奥歯では噛まないようにした」お陰なのか、素人には結論を出せないのだが、もう1つ、そのお陰かもしれないと思われるものがある。
夏の間、毎日のように口にしていた甘いお菓子を、映画『あまくない砂糖の話』の影響もあって9月下旬から食べなくなった。糖分は、自作のウージ(サトウキビ)汁を料理や飲物に使い、それで補っていたが、10月上旬はバナナも加わった。この後はまた、ウージ汁を頻繁に使用し、甘いお菓子はキスチョコ1個を2日に1回食べる程度となる。砂糖は歯にダメージを与えるらしい。砂糖を控えたのが奥歯に良い効果を与えたのかもしれない。が、これも断言はできない。素人実験は計画的ではないので結論は出ないのだ。
もう1つ改善したこと、「160超えが普通、170を超える日もあった。脈拍数も70近い数値」は、血圧150前後、脈拍数60ちょい超えにまで落ち着いた。
記:2016.10.21 島乃ガジ丸
先週のガジ丸通信『本音の歌、建前の歌』に「私の流行歌はキャンディーズ、ピンクレディー、吉田拓郎、井上陽水あたりで止まっている。その後、私の興味は高田渡、友部正人、いとうたかお辺りへ向かい、オジサンとなってからは私の音楽趣味はクラシック、ジャズ、沖縄民謡がほとんどとなり・・・」と書いているが、
小学校、中学校、高校にかけてはテレビの歌番組も大好きで、よく観たり聴いたりしていたので、その頃の流行歌は今でも覚えているものが多くある。歌手名で言うと、フランク永井、橋幸雄、舟木一夫、西郷輝彦、三田明、美空ひばり、江利チエミ、園まり、ちあきなおみ、越路吹雪、GSバンドのいくつか、などなど数え上げればきりがない。
ただ、私は洋楽についてはほとんど知らない。友人達の多くが夢中になっていたビートルズでさえも好んで聴くということは無かった。有名なベンチャーズもローリングストーンズも、その作品は、「あー聞いたことがある」ものは2、3曲あるだろうが、タイトルは何一つ思い出せない。私は間違いなく洋楽オンチである。
ちなみに、ここで言う洋楽とはポップスのことで、日本語で言えば「西洋の流行歌」であり、クラシックや古い映画音楽、ジャズやブルースなどの洋楽は少し知っている。
高一の頃、クラスにT子という運動神経抜群の、さっぱり性格の女子がいて、私は仲良くして貰っていた。彼女から『ノックは3回』とかシルヴィーバルタンとかを教わった。しかしながら、彼女から洋楽の録音テープをいくつも貰ったけど、私はそれらのほとんどを覚えていない。何言ってるか解らない歌、私の好みにはならなかった。
そんな中、彼女が「これいいよ」と強く勧め、歌詞の意味も教えてくれたのがあり、洋楽オンチの私でも「オッ!」と思ったのがある。ボブディランの『風に吹かれて』。彼女から聞いた歌詞も良かったが、少ししゃがれた声、語るような歌い方に惹かれた。
ボブディランがノーベル文学賞受賞というニュースを聞いて、T子を思い出した。高校卒業後の40年ほど前、東京高円寺で偶然会ったきり会ってない。その後、結婚し、アメリカで暮らしているという噂を聞いた。元気かなぁ・・・という話は置いといて、
ボブディランがノーベル文学賞受賞というニュースを聞いて、「画期的なこと、良い事じゃないか、あって然るべき」などと思い、そして、もう1つ思うことがあった。
先週のガジ丸通信『本音の歌、建前の歌』に「A先輩から高田渡、友部正人の存在を教えて貰い・・・」と書いているが、その時聴いたLPレコードは、高田渡の『系図』と友部正人の『にんじん』であった。私は彼らの歌に感動した。特に、友部正人の歌は、これまで私が聴いていたフォークソングとは異質であった。彼は詩人であった。
ボブディランの歌が文学なら私が感動したシンガーソングライター友部正人も文学ではないかと思い、そして、「あー俺は、音楽を音としてでは無く、言葉として聴くのが好きなんだ。だから、言葉の意味が判らない洋楽が苦手だったんだ」と気付いた。
先週金曜日、ネットのニュースで「ボブディランがノーベル文学賞受賞」を見ながら、今日家に帰ったらギターを弾いて『にんじん』やら『一本道』など歌ってみようと思い、その通り、家に帰ってギターを手にし、歌ってみた。歌は覚えていたが、長い間声を出して歌うことをしてこなかったせいか、声が出なかった。使わぬ筋肉は衰えていた。
記:2016.10.21 島乃ガジ丸
高校時代は共にラグビー部で、高校卒業後は共にお笑い芸人を目指した2人が、数年後にコンビを組んで、そのコンビ名がタックルス・・・という話ではない。
昔、どのくらい昔か私の脳味噌は記憶していないのだが、沖縄を舞台に、アメリカ人の原告と沖縄人の被告という裁判の小説があった。著者は確か伊佐何某、これも私の脳味噌は正確に記憶していない。ただ、その裁判の中でウチナーグチの「クルス」がキーワードになっていたことを覚えている。クルス、私はそれまで「殺す」の沖縄語読みとばかり思っていたが、クルスは「殴る」という意味であることをその小説で知った。
タックルスはラグビー好き漫才コンビの名前ではなく、ウチナーグチの1つ。タッは、先週の記事タッピラカスでも書いてあるように「叩っくるす」の「叩っ」が詰まったものか、あるいは、ただ単に強調を表す接頭語ではないかと素人なりに考えている。
沖縄語辞典には動詞としてクルスンがあり、クルスはその活用形だと思われる。クルスンの第一義は「殺す。主として動物を殺すのにいう。」で、第二義は「打つ。殴る。」とある。その説明の中にソーグルシという言葉もあり「ほんとに殺すこと」という意とあった。人を殺すという意味ではソーグルシを使うのかもしれない。
私の感覚では、これまで多くの沖縄芝居を観てきた経験から言うと、人を殺すという意味ではシナスが使われるのではないかと思う。シナスは沖縄語辞典に無い。シヌンがあって「死ぬ」という意。シナスは「死ぬ状態にしてやる」ということだと思われる。
ちなみに。「死ヌン」は主に動物などが死んだ場合に対して使い、人の場合は「マースン」を使う。「ィエー(ねぇー)、スイ(首里)ぬジラータンメー(二郎爺様)やマーサンでぃやー。」、「ヰー(はい)、ヤシガ(だけど)、ナー(もう)百余トータンディ(百歳過ぎていたんだって)、ソーシチ(葬式)んグスージ(御祝い)ぬグトゥ(事)ヤタンディ(だったって)。」という風な会話となる。
私は争い事が嫌いで、これまでの長い人生で殴り合いのケンカをしたことは、小学校で1回、中学校で1回あるのみ。しかも、その2回とも冗談の喧嘩であった。
私は喧嘩を嫌う大人しい少年であったが、周りの友人達には気の荒い者も多くいて、彼らはたびたび本気で喧嘩していた。その際、殴り合いを始める前に、
「ヌー(何)!」
「ヌーが(何だ)!」
「スミ(やるか)!」
「死ナサリンドーヒャー!」
「クルサリンドーヒャー!」
などといった言葉が交わされ、掴み合いになったり殴り合いになったりする。
上記の「死ナサリン」、「クルサりン」は共に受動態で、能動体で言うとそれぞれ「死ナスン」、「クルスン」となり、ケンカではそう言う場合もある。もちろん、「タックルサリンドーヒャー!」も「タックルスンドーヒャー!」も使う。攻撃する意志がより強烈になる感じがする。「ウチ(打つ)クルスンドーヒャー!」も使う。これも強烈だ。ちなみに、シナスンの頭にタッやウチが付くことはない。語感が悪いからと思われる。
以上は、先週紹介した「タッピラカス」も含め、沖縄でケンカする際の常套句である。そういう機会に巡り逢えたらぜひ使っていただきたい。念のため付け加えておくが、私はけしてケンカを勧めているのではない。ケンカする際はそれらの言葉を使うと迫力が出ますよと言っているだけ。ちなみに、ケンカは逃げるが1番と思っている私なら、
「スミ!(やるか!)」
「墨、・・・筆を使って書道ですな。」
「タックルス!(たった殴(くる)す!)」
「タックルするように半紙に向かう訳ですな。」
「シナス!(殺す!)」
「しなやかにということですか?」
「ウチクルス!(打ち殺す!)」
「いえいえ、お宅まで伺うほどではないです。」
などと言ってみたい。「バカにしているのか!」と殴(く)るされるかもしれない。
記:2016.10.14 ガジ丸 →沖縄の生活目次