先週の『隠れた達人』の続き。
気功の達人Oさんが従姉の腰の施術、従業員の施術などをやった後、只で教えて貰うのは失礼かな?と思いつつも強く興味を引かれたので、いろいろと質問した。
「人の不具合個所が見てすぐ判るのですか?」
「武術気功をやっていたので判るのです。武術気功はそういう訓練もやるのです。相手の弱点を見抜くことは戦う上で有利になりますから。」
「私も若い頃太極拳を習っていましたが、武術気功とは太極拳のことですか?」
「太極拳もその中に含まれますが、私がやっているのは太極拳ではありません。」
「沖縄の空手とも違うんですよね?」と訊くと、Oさんはそれには答えず、
「腕相撲をしましょう」と言う。で、飲み屋のテーブルを挟んでやった。Oさんは2本の指だけを私に握らせる。私も隣の席からの、腰の入らない状態であったので力は十分出せない。で、倒せない。倒せなかったが、腰の入る状態で全力を出せば、Oさんと対等に手を握り合ってやっても倒せそうな感触であった。力勝負なら勝てると思った。
「なかなか強いですね、では、対等にやってみましょう」とOさんは言う。で、私も席を移り、Oさんの対面に座って、腰の入る状態で、手を握り合って勝負。
最初に力を入れた瞬間には「倒せる」と感じた。であるが、倒せない。Oさんの手首から先がクネクネと動いて私の力がOさんの腕に伝わらないのだ。Oさんにそう言うと、相手の力を外へ逃がすという方法とのこと。武術気功はそういう技であるらしい。元々の沖縄空手もそういったものであったはずだとOさんは言った。
そういえば、十数年前テレビで観た沖縄空手の達人は。向かってくる弟子たちの突きや蹴りをさらりとかわし、かわした瞬間相手の体にちょいと触れるだけであった。すると、相手は勝手に転がっていった。それを思い出し「なるほど」と思った。
その後、「気」についても質問した。
「20年程前太極拳を習っていて、立禅(気功鍛錬の一種)もやったのですが、それらの動きは体の隅々にまで気を行き渡らせるものと思いますが、気とは何ですか?」
「気は気持ちというだけのものです。それより呼吸法が大事です。」とOさんは答え、私に呼吸法を教えてくれた。「あなたは気管支が弱いです。それは呼吸が浅いせいです。丹田へ息を送る訓練をすれば改善します。」と助言してくれた。
私は、気管支が弱いかどうかは不明だが、喉は弱い。何年かぶりにカラオケへ行って歌を一曲歌っただけで喉を痛め、そこから風邪を引いたくらいだ。そして、確かに私は息が浅い。慎ましい性格なので地球の空気を少し吸って少し吐いている。肺をあまり動かさない。そのついでに心臓もあまり動かさない。よって、脈拍も60前後である。
無意識だと浅い肺呼吸の私だが、翌日からOさんから教わった腹式呼吸を心掛けた。私の血圧は少々高めである。上は140の後半、下は90前後のことが多い。であったが、朝、腹式の深呼吸を30回ほどやってから血圧を測ってみると正常値であった。「ほう」と思って、翌朝から同じようにして毎日計った。毎日正常値であった。友人の整体師Sに訊くと、「気が体を整えて、そういう効果を生む」とのこと。
2011.12.16 島乃ガジ丸