ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

気功の効果

2011年12月16日 | 通信-科学・空想

 先週の『隠れた達人』の続き。
 気功の達人Oさんが従姉の腰の施術、従業員の施術などをやった後、只で教えて貰うのは失礼かな?と思いつつも強く興味を引かれたので、いろいろと質問した。

 「人の不具合個所が見てすぐ判るのですか?」
 「武術気功をやっていたので判るのです。武術気功はそういう訓練もやるのです。相手の弱点を見抜くことは戦う上で有利になりますから。」
 「私も若い頃太極拳を習っていましたが、武術気功とは太極拳のことですか?」
 「太極拳もその中に含まれますが、私がやっているのは太極拳ではありません。」
 「沖縄の空手とも違うんですよね?」と訊くと、Oさんはそれには答えず、
 「腕相撲をしましょう」と言う。で、飲み屋のテーブルを挟んでやった。Oさんは2本の指だけを私に握らせる。私も隣の席からの、腰の入らない状態であったので力は十分出せない。で、倒せない。倒せなかったが、腰の入る状態で全力を出せば、Oさんと対等に手を握り合ってやっても倒せそうな感触であった。力勝負なら勝てると思った。
 「なかなか強いですね、では、対等にやってみましょう」とOさんは言う。で、私も席を移り、Oさんの対面に座って、腰の入る状態で、手を握り合って勝負。
 最初に力を入れた瞬間には「倒せる」と感じた。であるが、倒せない。Oさんの手首から先がクネクネと動いて私の力がOさんの腕に伝わらないのだ。Oさんにそう言うと、相手の力を外へ逃がすという方法とのこと。武術気功はそういう技であるらしい。元々の沖縄空手もそういったものであったはずだとOさんは言った。
 そういえば、十数年前テレビで観た沖縄空手の達人は。向かってくる弟子たちの突きや蹴りをさらりとかわし、かわした瞬間相手の体にちょいと触れるだけであった。すると、相手は勝手に転がっていった。それを思い出し「なるほど」と思った。

 その後、「気」についても質問した。
 「20年程前太極拳を習っていて、立禅(気功鍛錬の一種)もやったのですが、それらの動きは体の隅々にまで気を行き渡らせるものと思いますが、気とは何ですか?」
 「気は気持ちというだけのものです。それより呼吸法が大事です。」とOさんは答え、私に呼吸法を教えてくれた。「あなたは気管支が弱いです。それは呼吸が浅いせいです。丹田へ息を送る訓練をすれば改善します。」と助言してくれた。
  私は、気管支が弱いかどうかは不明だが、喉は弱い。何年かぶりにカラオケへ行って歌を一曲歌っただけで喉を痛め、そこから風邪を引いたくらいだ。そして、確かに私は息が浅い。慎ましい性格なので地球の空気を少し吸って少し吐いている。肺をあまり動かさない。そのついでに心臓もあまり動かさない。よって、脈拍も60前後である。
 無意識だと浅い肺呼吸の私だが、翌日からOさんから教わった腹式呼吸を心掛けた。私の血圧は少々高めである。上は140の後半、下は90前後のことが多い。であったが、朝、腹式の深呼吸を30回ほどやってから血圧を測ってみると正常値であった。「ほう」と思って、翌朝から同じようにして毎日計った。毎日正常値であった。友人の整体師Sに訊くと、「気が体を整えて、そういう効果を生む」とのこと。
          

 2011.12.16 島乃ガジ丸


キアシシギ

2011年12月09日 | 動物:鳥

 確たる証拠の黄色い脚

 散歩を趣味としている私だが、今年の夏以降、前のアパートのシロアリ騒ぎ、その後の引っ越し、新居の家具作り、実家の掃除整理整頓、職探し、などなどいろいろあって、以来ほとんど散歩をやっていない。新居近辺の散策もまだ一度も無く、散策場所としていた末吉公園、弁が岳公園、西原運動公園などにもずっとご無沙汰している。
 もう一つ散策場所としていた吉の浦公園にも行っていない。近くの、友人がやっている八百屋へは何度も行っているが、公園まで足を伸ばす余裕が無かった。日記を調べてみると4月以来行っていないみたいだ。あっという間に時が過ぎ去ってしまった。

  吉の浦公園は海浜公園である。そこで海浜植物のいくつかの写真を撮ってある。それらの植物は特に珍しいものというわけでは無く、他の海浜公園でも概ね見ることができる。吉の浦公園で収穫が多いのは植物よりも鳥。他の公園よりも水鳥に出会う機会が多い。何か特別に鳥たちの好む餌があるのかもと思うほど多くの鳥に出会った。
 キアシシギにも何度か出会った。写真を撮って図鑑と見比べて「そうであろう」とは思ったが確信が持てない。その名の通りの黄色い脚を見ることができていないからだ。ところが5月、たまたま用事で近くまで行ったので、南城市の公園を散策した。そこでもキアシシギに出会い、写真が撮れた。そこのキアシシギは脚を見せてくれた。

 
 キアシシギ(黄脚鷸) 
 チドリ目シギ科の野鳥 繁殖地はシベリア 方言名:不詳
 名前の由来、シギについては資料が無く不明。漢字の鷸は広辞苑にあった。黄脚という字も広辞苑にあり、その字の通り、脚が黄色い。で、キアシと付く。
 全長26.5センチ。夏にシベリアで繁殖し、春秋に日本へやってくる渡り鳥。東南アジアで越冬するとのことだが、一部は越冬する。一度目は9月に吉の浦海岸で、二度目は12月に同じく吉の浦海岸で私は見ている。9月のは秋にやってきた旅の途中で、12月のは越冬する個体と思われる。飛び疲れて、沖縄でいいやと思ったのかもしれない。
 写真は去年(2010年)12月と今年5月のもの。『沖縄の野鳥』に「夏羽は顔から首に縦斑、胸から脇に横斑がある。冬羽はこの斑紋がなくなる。」とあり、その通り、12月の写真は冬羽で、5月の写真は夏羽ということになる。
 干潟、入江、海岸、川岸に生息するとのこと。私は海岸で見ている。鳴き声はピュイーピュイーともの悲しく鳴くとのこと。もの悲しい鳴き声を聞いてみたいが、私が遭遇した時は二度とも鳴いてはくれなかった。沖縄では8月から5月まで見られる。
 
 キアシシギ冬羽
 夏羽は顔から首、胸から脇に斑紋があるが、冬羽はこれが消える。

 記:2011.10.25 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野鳥』沖縄野鳥研究会編、(株)新報出版発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行


隠れた達人

2011年12月09日 | 通信-科学・空想

 先週、琉球琴を趣味にしている従姉Kに民謡酒場へ行かないかと誘われた。いつか民謡酒場もガジ丸HPで紹介しようと思っていたので、良い機会だと快諾した。
 民謡ライブは、ベテランの女性ウタシャ(唄者)がいて、若い女性だが上手なウタシャがいて、店のマスターはテレビCMにも出ているコメディアンで、といった民謡酒場についての話は別項に譲るとして、ここではこの日最も興味を引いたことについて。

 従姉のKはその日の朝から腰が痛く、席を立つたんびに「痛っ、痛っ、」と言いながら両手をテーブルについて、ゆっくり、何とか立ち上がって、「痛っ、痛っ、」と言いながら、のそのそと歩いてトイレに行ったりしていた。
 そんな中、隣席に客が入った。初老(60歳ちょい)の男性。その人が席についてしばらくして、またもKが両手をテーブルについて、「痛っ、痛っ、」と言いながら立ち上がり、「痛っ、痛っ、」と言いながら歩き出すと、その男性がKを見て、
 「背中の右側に異常がありますね。」と言う。
 「この人は気功の先生なんだよ」と店のマスター。さらに訊くと、その人はOさんと言い、中国少林寺で武術気功を修行したらしい。武術が専門で整体等は普段やっていないとのこと。Oさんは神奈川に住む倭人、仕事(整体とも武術とも関係のない仕事)でたびたび沖縄に出張があるとのこと。そのついでに空手の指導はやっているらしい。
 友人Sの整体を経験して気功の力を知っている私が、「診て貰え、すぐに治るぜ」と従姉に勧めると、Oさんも「いいですよ」と快く引き受けてくれた。

 従姉をソファーの上に仰向けに寝かせ、脚のふくらはぎ辺りをほんの10秒ほど触り、首の辺りをほんの数秒ほど触って、「もう楽に立てると思いますよ」と言う。半信半疑の従姉が立ってみると、手も付かずにすんなり立てた。
 「まだ完全には治っていないですが、もう大丈夫でしょう」とOさん。
 「はい、全然平気で歩けます。ありがとうございます。」と従姉。
 その後、Oさんは、従業員の一人(60歳ぐらいの女性)も診た。彼女は体のあちこちが痛いらしい、Oさんは彼女の首から肩に触れながら、
 「何か大きな悩み事がありますね、それで夜も眠れないのでしょう?」と訊く。
 女性は肯いて、「睡眠薬を飲まないと眠れないのです」と答えた。
 「その思い悩みが体の不調の原因です。あなたは全てを自分の責任と思って悩んでいますが、そうじゃありません。もっと自分を大事にした方が良いですね。」などとユタみたいなことを言う。「診た人のプライバシーまで解る場合があるので、他の人がいるところでは深く話ができないこともあるんですよ。」と我々に向かって言った。
 
 後日、以上の話を整体師Sに報告すると、「武術を極めると整体気功もできるようになるんだろうな、しかし、精神状態まで判るというのはすごいな。隠れた達人だな」などといった感想。パッと見てその人の不具合個所を見抜き、それを数秒で治し、さらには、心の状態まで言い当てる、Sの言う通り達人であることは間違いない。それをまた生業とせず、公にもしない。「隠れた」というのもその通りだと、隠れた凡人の私も思った。
          

 2011.12.9 島乃ガジ丸


オオスカシバ

2011年12月02日 | 動物:昆虫-鱗翅目(チョウ・ガ)

 とぼけた顔

 接写のできるデジカメを購入してからそうできる時は虫の接写を撮っている。ハチの顔は恐ろしげであることを確認し、アリも悪党面であることを知った。そのついでに、悪党面のアリがハチと同じ膜翅目であることも知った。「さもありなん」と思った。
 カミキリムシの仲間も恐い顔をしている。カマキリの顔もちょっと怖い。バッタの仲間はたいてい挑戦的な顔をしている。チョウの顔は概ね美人である。オウゴマダラの顔は貴婦人のようであった。幼虫の表情は概ね無表情だが、シロオビアゲハの幼虫は可愛い顔をしていた。その他、セミやカメムシ、トンボなどは無表情に見える。
 過日、チョウと同じ鱗翅目だが、気分的にガに分類されているオオスカシバの顔を接写することができた。これは美人とは言えなかった。何ともトボケタ顔であった。

 オオスカシバ(大透かし羽):鱗翅目の昆虫
 スズメガ科 本州、沖縄、東南アジアに分布 方言名:ハベル(ガの総称)
 透明の翅なのでスカシバ。その翅をブンブン鳴らして飛ぶ。腹部に横筋もあるので初めはハチかと思った。尾のほうに毛が生えていて、顔はとぼけた表情をしている。他のガとは一味も二味も違った面白い形。ボケた脳味噌がすぐに名前を覚えてしまった。
 成虫の体の色はうす茶色と黄緑色の2種類あるとのこと。昼間行動するガ。
 前翅長26~30ミリ。成虫の出現時期は3~11月。幼虫の食草はクチナシ。
 
 成虫   
 
 顔  正面からみるとひょうきんな顔をしていた。  
 
 産卵 木はクチナシ。

 記:ガジ丸 2005.9.14  →沖縄の動物目次 →蝶蛾アルバム
 訂正加筆 2011.10.29

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行


自分様の子

2011年12月02日 | 通信-社会・生活

 私の勤める会社は、去年1月に若いMが辞めて、現場仕事のできるのがSさんと私のオジサン二人だけとなった。オジサンと言っても爺さんに近いオジサンなので、肉体労働では無理が効かない。普通は、技術の要る作業を我々ベテランがやり、単純作業や力の要る仕事は若い者がやるのだが、その若者がいないのでオジサン二人はきつい。肉体労働が続くと腰が痛くなったりする。で、残業もできないし、毎日は続かない。
 社長もその辺のことは心得ているので、その年の3月から自分の息子を正式(それまでアルバイトとして時々手伝っていた)を入社させた。息子はSさんと現場に出て、仕事を覚え始めた。一所懸命頑張れば数ヶ月で役に立つ作業員になれるはず。
 息子が覚えるのはしかし、現場仕事だけでは無い。デスクワークも覚えなければならない。書類作成、設計製図、積算等、私の持っている技術である。3月の初め、「すぐに覚えなければならないのが少々、1年以内に覚えなければならないのが大量にあります。家に帰ってからも、休日も勉強しなければ間に合いません。」と社長に進言した。「息子はまだ始めたばかりなので、ゆっくり覚えさせましょう。」と社長は答えた。
 「若いMがやったことも教わったこともない仕事を『私にはできません』と言ったら、『これは仕事だ、できないで済むか!何とかしろ!』ってアンタ怒鳴ってたじゃないか。息子には随分甘いんですね。」と、私は口には出さなかったが、思った。

 社長にはもう一人息子がいて、彼も去年から時々バイトみたいに現場仕事を手伝っていたが、今年からはほぼ常時出勤するようになった。上の息子は社員となって1年8ヶ月、バイト期間も含めると2年の経験を経ている。下の息子もバイト期間を含めれば1年以上の経験を経ている。もう十分に役に立つ作業員になっているはず。ところがだ、
 先日久々に現場に出てSさんと息子二人と私の4人で働いた。現場は肉体労働だ。上の息子が仕事内容を社長から聞いているので彼の指示を待つ。が、彼の指示は曖昧なところが多く、結局、Sさんにどうするか訊く。Sさんが作業の段取りも考えないといけないみたいである。それから、Sさんと私が肉体労働に汗しているのを息子二人がボーっとつっ立って見ていることが多々あった。「なにしてるんだこいつら」と思いつつ、私は注意はしない。肉体労働しながら子供の教育もやるのは面倒臭いからだ。

 帰りの車の中、Sさんに訊いた。
 「あの二人いつもああなの?」
 「うん、指示しないと動かないし、何をしていいか訊きにも来ない。」との答え。
 「2年も経ってまだ仕事を一人前にできないの?」
 「社長から、無理するな、ゆっくり覚えたらいい、と言われているそうだ。」
  Mが辞める前年にもう一人若いTも辞めている。Tは社長の厳しい仕打ちで、2度もストレス性十円禿をこさえた。Mは激痩せした。MやTは社長からすれば、いわゆる人様の子だ。人様の子を預かって会社のために働いて貰っている。自分の子よりむしろ大事に扱わなければならないはず。でも、社長はどうも一般的ではないようだ。他人は他人、様はつかない。自分の子には様が付くみたいだ。技術を要する仕事をし、肉体労働もし、息子たちの教育もやっているSさん、「もう辞めたい」と呟いた。
          

 記:2011.12.2 島乃ガジ丸