ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

ウイキョウ

2013年02月08日 | 飲食:食べ物(材料)

 憂い今日

 友人の元美人妻Iさん、「元」は「美人」だけでなく「妻」にもかかっているが、彼女は今独りでは無い、パートナー(と彼女が呼ぶ男性)がいて、彼と共同で飲食店を経営している。その飲食店は、昼間は主に和食で彼女が料理し、夜は飲み屋になってパートナーのTさんが主に料理する。彼は洋食のコックなので肴は主に洋食となる。
 そのTさんから「ウイキョウが欲しいんだけど、作れる?」と頼まれた。ウイキョウは英語名をフェンネル(fennel)と言い、洋食ではよく用いられるとのこと。
 頼まれたのはもう三ヶ月も前の事だが、農協にもホームセンターにも置いてなくて、家庭菜園をやっている親戚や知人にも持っている人はいなかった。それが先日やっと、近所のハルサー(農夫)大先輩、87歳の爺様Nさんから頂くことができた。Nさんの畑からウイキョウの苗を6株ほど頂き、私の畑なっぴばるの一角に植えた。

  フェンネルもウイキョウもその名は聞いたことあるが、ピンとこない。沖縄名をイーチョーバーといい、フェンネル=ウイキョウ=イーチョーバーとくれば、その姿がピンとくる。沖縄では有名な薬草の一つ。雑炊の具や天ぷらにして食すことも知っている。
 ただ、食し方は知っているが、私はかつてそれと知ってイーチョーバーを食った記憶は無い。母の作った料理の中にあり、知らずに食べたことはあるかもしれない。

 Nさんからウイキョウの苗を頂いた日、Nさんからはまた、袋一杯のウイキョウの葉も貰った。それを車の後部座席に置く。車の中は良い匂いがした。芳香剤など使わない私の車がデートにも使える車となった。翌日その葉を料理人のTさんへ届ける。
 「ありがとう。でも、欲しいのはウイキョウの根の方なんだ」とのことであった。
  Tさんからは他に、ビート、バジルも作って欲しいと要望がある。平和運動家の婆様Zさんからは薬草いろいろ、ハンダマ、ウンチェー、クミスクチンなどの注文がある。これらの内、バジルを先日やっと植えたばかり、他はまだ何の準備もできていない。
 Nさんから貰ったウイキョウの根が食用になるほど育つには、1年はかかるであろう。せっかく買う人がいるのに私に売るものが無い。300坪の畑なっぴばる、安定した収入(小遣い程度でも)を得るにはまだまだ時間がかかりそうだ。

 昨日は未明の雨で、土が濡れていて畑仕事は難渋した。予定の半分もできなかった。枝豆の種播きがもう一週間遅れている。今日も昨日と同じく未明に雨が降り、畑に入れそうもない。空を見上げると曇り空、憂い今日となっている。
 
 
 ウイキョウ(茴香):葉菜・薬用
 セリ科の多年草 地中海沿岸の原産 方言名:イーチョーバー
 ウイキョウは広辞苑に茴香と漢字があった。生薬として古くから利用されていたらしいので、ヨーロッパから中国へ伝わり、中国で茴香と名があてられ、日本へ伝わった際に、その漢語がそのまま和語になったものだと思われる。
 英語名はfennelという。フェンネル、ヨーロッパでは古くから利用されている薬用・香辛料、果実から採れる精油は石鹸香料などにも使われるとのこと。
 高さは1~2メートル。葉は糸状に裂ける。枝先に長い花序を出し、淡い黄色の花を多くつける。開花期は夏。全体に芳香があるが果実は特に強い。秋に熟す。
 生薬として香味料や薬用に用いられる他、茎葉は野菜としてサラダ、雑炊、魚汁、天ぷらの具などに使われる。果実や精油は健胃、去痰に効くとのこと。

 記:2012.2.6 ガジ丸 →沖縄の飲食目次


骨粗鬆インフレ

2013年02月01日 | 通信-政治・経済

 300坪の畑なっぴばるからの初収入は、従姉に半ば強制的に売り付けたホウレンソウ1束の100円、それは今月初めのことで、それ以降ホウレンソウは販売していない。肥料をあげず、水かけもしていない私の野菜たちはすくすく育っていない。ホウレンソウは十分大人なのに市販のそれの三分の一の大きさも無い。それでも、「小さいけれど美味しかったよ」といった従姉からの感想があれば、販売しようと思っていた。
 「あんたのホウレンソウは堅い、昨日スーパーのホウレンソウを食べたら柔らかくて美味しかったさぁ」と数日後、従姉からの感想があった。「柔らかけりゃ美味しのかよ、若い女じゃあるめぇし」と思ったが、ホウレンソウの販売は断念した。
 同じホウレンソウを友人のE子、H子にもあげた。二人からは何の反応も無い、「堅いよ」と文句言うのは悪いと遠慮したのであろう。ところがもう一人、男のKにもあげて、その感想は「お浸しにして食ったよ、シャキシャキしてとても美味しかった」とのこと。Kも私同様「柔らかいもの=美味しい}とはちっとも思わない、流行りものには流されないタイプの男だ。彼は「堅い」を「シャキシャキ」と捉えたようだ。

  先日、何の反応も無かったH子の店(飲食店)に欲しいと言っていたウイキョウを持って行った。その時、私の売り物にならない小さなホウレンソウの話になり、
 「堅いといえばそうかもしれないけど、私はとても美味しかったです」とのこと。彼女は料理人である。彼女が「美味しい」と言えばそれに間違いは無かろう。そういえば、シャキシャキと表現したKもスーパーの仕入れ担当を長くやっていて、いろんなものを食べてその良し悪しを判断してきた。その意味では食べ物のプロである。
 プロの2人が私のホウレンソウを「美味い」と言ってくれた。私自身も美味いと思っているので、私のホウレンソウは美味いに間違いないであろう。ただ、それが売れるかどうかは別の問題で、「堅い=不味い」の世間には受入れられないのかもしれない。
 近所の農夫大先輩の話では、「今のホウレンソウはたっぷり肥料も水もあげてヒョロヒョロ大きく育っていて、中味はスカスカなのだ。だけど、あんたのホウレンソウは堅くても栄養は詰まっている」ということであった。
  私の畑の他の作物、ダイコンもジャガイモも小さい。ダイコンは十分大人なのに、太いものでも直径4センチ程、長さ20センチほどしか無い。ジャガイモも大人だけど、大きいもので直径6~7センチで、4~5センチ程のものが多い。ダイコンは少し苦みがあるが、それでも美味しい。生でも煮ても漬物にしても美味しい。ジャガイモは蒸して食べるとモッチリとした食感で、これはもう、市販のものよりずっと美味しい。
 細胞が詰まっているからホウレンソウはシャキシャキで、ジャガイモはモッチリ食感なのだと思われる。細いけど丈夫でしっかりした骨みたいなものだ。市販のものは骨太だけれど中味はスカスカ(ちょっと言い過ぎかも)、いわば、骨粗鬆症の野菜だ。

 「骨太の何とか」という経済政策が小泉政権の頃にあったと記憶している。今の安部政権もそれに倣うみたいで、日本経済をインフレに導こうとしている。生産者であり消費者である庶民が、明日に希望を持って活動を活発にし、その結果のインフレならいいが、無理やりのインフレは太くても脆いのではないだろうか?骨粗鬆インフレにならないか?
          
          

 記:2013.2.1 島乃ガジ丸


ムナグロ

2013年02月01日 | 動物:鳥

 素人も少しずつ賢くなる

 昨年9月、宮古諸島の旅をした。その最終日、宮古島の東平安名岬、芝を貼られた広場に1羽の鳥がちょこちょこ歩いているのに出会った。写真を撮る。
 旅から帰ってしばらくして、写真の整理をする。整理は写真に写っている内容から「景色」、「人物」、「動物」、「植物」などに分けてそれぞれのフォルダに入れる。動物植物で未知のものはその後、図鑑と照らし合わせて何者か判明させる作業を行う。
  東平安名岬の広場で撮った鳥はきれいに撮れて、大きさもハトくらいあったのですぐに何者か判ると思ったのだが、図鑑にそれと似た鳥は無かった。よって、その鳥は「宮古島動物」というフォルダから「不明鳥」というフォルダに移された。
 ところが、その「不明鳥」というフォルダの中には東平安名岬の鳥と瓜二つの鳥の写真が数枚あった。沖縄島中城村の吉の浦公園で撮った写真、「あっ、同じ鳥だ、しかも、何度か見ている鳥だ」と思い出した。何度か見ているということは珍しい鳥では無いということになる。でも、図鑑には載っていない。そこで、
 「うむ、これは雄雌の違いか、夏羽冬羽の違いだな」と素人の私も気付いた。素人も少しずつ賢くなるのだ。そして、他の図鑑を図書館から借り、調べる。

 ムナグロは、夏羽の色模様は目立つが冬羽は地味。私が撮った写真はいずれも冬羽で、図鑑に載っている写真は目立つ方の夏羽であった。

 
 ムナグロ(胸黒)
 チドリ目チドリ科の旅鳥、または冬鳥 方言名:ターチヂュヤー、ハルチヂュヤー
 名前の由来、資料は無いが容易に想像はつく。胸の色が黒いから。方言名のターチヂュヤー、ハルチヂュヤーも分かりやすい。チドリのウチナーグチはチヅイだがチヂュヤーとも言う。ターは田、ハルは畑のことで、本種が畑、水田で多く見られることから「田んぼのチドリ」、あるいは「畑のチドリ」ということ。
 写真は冬羽で地味であるが、夏羽の色模様は目立つ。「顔から胸や腹の下面のほとんどが黒色で、額から首、脇にかけた上面との間に白い部分がある」とのこと。文献に「最も普通に見られるチドリ類」とあり、私も吉の浦公園などで何度か見ている。しかし、目立つとある夏羽には、残念ながらまだ出会っていない。
 広辞苑に「夏、シベリア・アラスカ西部で繁殖、冬はオーストラリアまで渡り、春秋に日本を通過する」とあり、倭国では春秋の渡り鳥のようである。沖縄では8月から5月にかけて見られるようで、越冬するものもいるようだ。
 畑、水田の他、干潟、草地、海岸などにも生息する。食料は昆虫や甲殻類、ゴカイ、草の実など。鳴き声は「キョパー、キョビッ」とあるが、私は未確認。

 記:2013.1.25 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野鳥』沖縄野鳥研究会編、(株)新報出版発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行
 『検索入門 野鳥の図鑑』中村登流著、株式会社保育社発行
 『西表島フィールド図鑑』横塚眞己人著、実業の日本社発行